笑って介護日記

笑って介護日記

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 大きな声で笑うと、腹筋も鍛えられて、からだにも、とっても良いらしい、と聞きました。介護の日々のあれこれ、どうぞ、読んで笑ってくださいまし!

No.1 ストレッチャー通院顛末記

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ストレッチャーが入るように、
網戸を外し、母の部屋を大片付け、
外では、トイレに行けないので、
万が一のために、安楽さんとおむつの用意、
防寒のための上着に、車酔いする母の<万が一袋>の用意、
うちの戸締り、ガスの元栓などなど。。

大忙しの私を尻目に、ひたすら鏡の前で、
ポマードたっぷりで、御髪のお手入れする父。。

そう、今日は、久しぶりの母のストレッチャーでの
大学病院での受診の日なのでした。

ストレッチャーで寝たきりの母、
身体は元気だけれど、なんというか。。もの忘れが日課の父、
そして、わたしの、三人の道中、さて、どうなりますことやら。。

その顛末を書きます。

父はひとことで言うと、
<世間体>が服を着て歩いてる、というひとで、
そのうえ、今もって<天動説>、つまり、
<世界は自分を中心に、回っている>を信じており、

そのうえ、真面目なひとにはありがちだけれど、
自分がとっても几帳面なので、わたしや母といった
<ゆるゆる人間>のことは、まずもって許せない!!らしく、

介護タクシーのお迎えが来てくださってから、ずっと

<来てくれてはるのに、何をしてるんや!さっさとしろ!>だの
<車のなかでペチャペチャ喋るな、恥ずかしい!>だの
<そんな恰好(ジーンズ)で行くのか!情けない!!>だのと。。

始終、とにかく、眉間にしわを寄せて怒りっぱなしで(笑)

そのうえ、私や母が
<はぁ~>とか<へぇ~>とか、<はいはい、わかりました♪>
などと、ええかげんな返事をするものだから(笑)

<ほんまに、情けない。。>とお怒りは、ひたすら嘆きへ。。

と、こんなことなら、父をうちに置いていけばいいかと
お思いだと思いますが、日頃母の介護にはまったくの無関心の父
ではありながら、唯一、通院時に

診察券を出すこと、と
お支払をしてお薬をもらうこと、
この2つは、なぜか自分の任務だと思っている風で、何も言わなくても
やってくれます。

というか、やってもらわないと、両手に大荷物を抱えつつ、
ストレッチャーをひとりでひきながら、病院中を駆け回らねばならない
ため
(運悪く、今大学病院が改装中で、あっちの端からこっちの端までと
 なが~~~~~い距離の移動をせねばならないのです)

なので、ありがたいっちゃ、ありがたいのですが。。

今日も、診察が終わって、ストレッチャーで病院の玄関まで
降りてきて、介護タクシーのお迎えを待っていたら、
いくら待っても、父が会計から現れず。。

しばらくして、激怒しながら、こっちへ向かってきて、

<いくら待っても、呼ばれへんのや!!
 前の椅子のとこで、おばあさんらが3人ほどでぺちゃくちゃ
 喋っとったから、聞き逃してしもたんかもしれん。。
 <病院で、大きい声で喋るもんやない!!>って
 叱っておいた。。それにしても、ちっとも呼ばれへんのや! 
 どうなっとるんや!!>

って。。呼ばれるって。。。

<電光掲示板に番号は?番号が、出るやろ?>とたずねると。。

<そんなもん、知らん!>

なんでも、これまで何度も来ているときにも、
ただ、しばらく適当に座って待っていて、受付のひとのところへ行って
<もう、会計できるのんか?>と尋ねては、教えてもらっていた、
ということを、そのとき、初めて知ったのでした。
近所の小さい診療所じゃあるまいし。。

わからなければ、尋ねてば。。とお思いだと思いますが、
世間体が服を着ている、父上には、ひとにものを尋ねる、
などということは、沽券にかかわる、絶対に許されない
行為なのでした。

せっかく、お喋りしながら、待っておられた奥様方、
きっとまた眉間に皺で、怒鳴り散らしたと思われます。
まことに申し訳ないことで、ございました。

で、仕方なく、それを説明するために、玄関付近の
あまりひとさまのお通りにならない、邪魔にならない一角に
ストレッチャーを移動し、母のおなかの上に、通路の売店で買った
お弁当3つを乗せ、

ひとりで大丈夫かとたずねると、
<ぜんぜん、大丈夫~~♪>というお返事だったもので、
父と一緒に、会計まで大急ぎで行かなくちゃと駆け出したところ、

行く途中の通路で、年配のおじいさまに
<こらっ!病院の中を走るな!!!!常識も知らんのか!>
と怒鳴られ、

父は、当然ながら、他人のふりをし(笑)

なんとか番号が出てるのを確認し、父に説明したのち、
会計を頼んで、慌ててストレッチャーのところに戻ったところ、

今度は、ひとりの初老のご婦人が、ストレッチャーの脇に
立っておられて、私が近づくとみると、

<こんな入り口の寒いところに、ひとりでこないにして
 ほっとかはるやなんて、どういうこと!!!!
 風邪ひかはるやないの!お弁当、おなかに乗せてもう!>

と激怒され。。

いやいや、私もそう思ったのだけれど、この一角しか、
通行の邪魔にならない場所がなかったのでありまして、
荷物を持てば、お弁当用の手が足りなかったのでありまするが。。

<はい。。すみません。。ありがとうございます、ご親切に。>

と叱られたのに、何度も、繰り返し、お礼を言って、
見知らぬご親切なご婦人を見送り、

母はただ、
<ええひとやねぇ~。真剣に心配してくれてはるんえ。。
 ああいうおひとが、やはるんやねぇ。。>と感心しきりで、

さらに
<ここ、通らはるひと、みんな、笑うたら、
 笑うてくれはるんえ~>と、嬉しそうに言いながら、
通るひとに、笑いかけ続け。。

る、視線の後方からは、
<あの3人がべらべら喋ってへんかったら、
 こんなに遅うならんでよかったのに。。>と怒りながら
こちらに向かう父が。。

まだ言うか!
遅くなったのは、お父さんが、電光掲示板を見てなかった
からじゃないですか~!さっき、説明しましたやんか~!

さらに、介護タクシーさんがまだ到着してないことを知ると
さらに、なんでや!と怒り、

言わんでもええのに、母がまた、
<お父さん、さっき、親切なひとがやはって、
 こんなとこにいたら、風邪ひく、言うてくれはって。。>

とチクッたもんで、また、こちらに向かって、
<知らんひとに、こんなとこで、叱られて、恥ずかしい!!
 もう、ほんまに、情けないやつ(もちろん、私が)や!
 いいとしをして、何をしとるんや!>と激怒。

でもね、お父さん、
よう考えたら、あなたが、会計できひんかったから、
母をひとりにしなくちゃいけなかったんじゃないでしょか?

<もうええ!そんで、その弁当を、早う、どけなさいな!!>
と、また叱られ(笑)

そういえば。。
待合室の隅にストレッチャーを置いて待ってる間も、
<寝たきりなんやから、なんで先に診てくれへんのや!!>
と、ずっと前から待っておられる皆さんの前で大声で
何度も、繰り返すものだから、

<それは、うちの事情やさかい、そんなこと言われしませんやろ?>
とたしなめようとするも、
<いつまで待ったらええんや!って中に入って言ってこい!!>と
激怒の一幕もあり~の。。

とにかく、もう、身内と言わず、よそのおひとと言わず、
今日は、ほんまによ~~叱られた1日でした(笑)

それにつけても。。

この大学病院に来るたびに思うのは、

ほんと~~に多くのひとが、来てはる。。
こうして、ここに今来てはるひとは、みんな、自分か
もしくは、ご家族か、大事な方か、がご病気なわけで、

これだけの数のひとが、みなそれぞれに、そのために
心の内に、不安や痛みややるせない思いを抱えながら、
生きてはるんやなぁ~と思うと、
誰にとっても、生きていくというのは、
ほんまに大変なことやなぁ~と、いうことです。

そんなことを考えながら、母といたときに、

<お母さん、お母さんはストレッチャーに乗せてもろて
 こうして来て、誰かが、お医者さんと話したり、
 お金を払うたり、お薬をもろたりしてくれはる、からええけれど、
 
 ぎょうさんのひとが、遠いところから電車やバスに乗って
 きゃはって、長いこと待合室に座って待って、
 また遠いところへ帰らはらんならんのやで。。
 お母さんは、幸せやなぁ。。>と言ってみたら、

<ふむ。。>とめずらしく神妙に頷いたので、ふと思いつきで

<お母さんがこうして、なんにもせんでもええのは
 いったい、誰のおかげえ?>と、問いかけてみたところ、

しばらく、病院の白い天井を見つめたあと、ひとこと、

<神さん(神様)のおかげ。。>

そうですか!
神さんのおかげどすか??!
もう、疲れました、わたし。(笑)

最後に。。

こういった、あれやこれやを、実弟に報告すると、

<今日は通院の日やったので、父と一緒に行ってきた。>

<そう、ごくろうさん。>

という、たったこれだけになってしまう、ということが、
なんともはや、口惜しいというか(笑)

この、一見なんでもない、一行のなかには、
どえらい(笑)あれやこれやが、あったというのに。。

実際に、介護しているものの苦労というものを
たとえ、それを、ひとつひとつ、口にされなくても、
(説明するのがもう、面倒くさいっていうのもあるし、
 言っても、代わってもらえるわけじゃないし、時間がもったいない
 っていうのもあるので、詳細を語りはしませんが)

介護に携わっていない家族のみなさんには、ぜひ、想像力を働かせて、
そのシンドさに思いを巡らしてもらいたいものだ、と思うのでありました。

あ~それにしても、今日はよう、怒られた!!(笑)

No.2 体重測定の謎

訪問介護に来てくださってる皆さんとの情報交換のためにも、
毎日<介護ノート>なるものをつけています。

そこに、
食事や尿の量、お通じがあったかどうか、
手足に痛みがあったかどうか、
ご機嫌麗しかったかどうか(笑)etc…
気づいたことを書き込んでいるのですが、

以前は、身長のわりには、かなりのぽっちゃりさん、
だったので、中性脂肪やコリステロール値が高くて、
また体重が重いと、それだけ膝にも負担がかかるので、

体重を、週に1度ぐらい、シャワー浴のあとで
測って、記録しています。で、

数日前に測ったところ、1キロ増えていたのですが、本人曰く、
<今日は、お昼をぎょうさん食べてしもたさかい、
 今だけ、増えてしもうたんやと思うえ。。ずっとやのうて。>
とのこと、

<1キロ。。。。は、さすがに食べてはらへんでしょう?
 お肉屋さんで、1キロお肉、買うたら、どのくらいある?
 あんなぎょうさん、食べたん? 
 そうそう、最近、おせんべい、たくさん食べてたさかい、
 ひょっとしたら、食べてしもてるかもしれんね~>と言うと、

例によって
<ふむ。。。>と考えこんでいる様子、

あ~、ちょっと意地悪な言い方をしてしもたかなぁ、と
プチ反省し、

<ほな、また、ご飯の後とちがうときに、測ってみよな!>
ということで、一件落着していたところ、

今朝、突然、
<ちょっと、ちょっと来てくれへん?
 今、体重はかってますさかいに。。>
とのお呼び出し、あり。

行ってみると、いつもは体重測定をといえば、
<いやや~~~~!!!>と、とっ~~~ても嫌がるはずの本人が
すでに体重計の上に乗った状態で、何事?と思いきや

<ほれ、ほれ!55(キロ)のとこで、とまったはるやろ?
 いつもと一緒え! ほら、見てみ!>
と体重計の目盛りを指差し、ニッコリ!

たしかに、昨日は、56キロ。。。アレ??減ったのか。。
と一瞬、思いながら、体重計を部屋の隅、
いつもの置き場所に寄せようとして、
ふと目をやったところ、なんと!

母が降りたあとの体重計の目盛りが、左に、つまり
-(マイナス)のほうへ1キロ寄っています(笑)

<お母さん、とっても残念なお知らせがあります。>
とただちに、報告。

<へっ?なんでっしゃろ?>とまだ、上機嫌な母。

<残念ながら、目盛りが1キロ、マイナスになってました。
 なので、今現在、56キロが、あんたはんの正しい体重で
 ございます。あの。。。ひょっとして、目盛り、いじらはり
 ましたん?>

と言うと、考え込んでるご様子ながらも、
<そんなことは、してしません!!>と断固たる否定が。

でも、おとなりの箪笥のS字フックに、
リーチャーがひっかかってますやん!!それに、
足の指でも、メモリ調整ダイヤルは、回せますわね!(笑)

でも、まぁ、わかっていても、わざと知らん顔してあげるのが、
<こういう場合の分別ある大人の態度>というのは、
他ならぬお母様からの教えでもあり、

また、1キロでも少なく!という乙女心は、
私にもよくわかるので、もうこれ以上の追求は。。と
情けを発揮しかけたところ、ぽそっと。。

<ノートに。。。それ。。書くのんか?>とのお尋ねあり。

もちろん、正確な体重を記入するのが、
おそばでお使えする私の務めですので。。
と思っていた、矢先に、

<そや、忘れてた!!! 昨日と今朝と、
 おトイレに行きましたやろ?
 お通じがぎょうさんあったさかい、
 やっぱり、1キロは、減ってると思うわ、そうそう!>

でも、1キロは。。。さすがに、ありまへんやろ。。
と正直なところ思いましたが(笑)

これを思い出した(思いついた?)ってことに、敬意を表して、
ノートに記入するのは、次回まで保留することにしました。

 ※母の名誉のために言うと、
  うちの体重計は、なぜか、何度も乗っていると、
  自然に左に少し目盛りが寄るので、
  きっと、人為的にではなく、自然にそうなったんだと思います。

  ただ、それを見て母が<使える!!!>と思って
  体重計に乗ってから、私を呼んだかどうかは、
  不明です(笑)

No.3 <ナニクソ魂>のDNAは。。。

そっくりなクマさん

だいたいにおいて、難というのは、
群れをなしてやってくるものですが、
3つ、4つと重なってくるとつい、
<ため息>のひとつも出るというもの。。。

母の足の静脈炎のお世話を終えて、
椅子に座った拍子に、思わず
<はぁ~~~>と長~~いため息がひとつ。

すると。。

電動ベッドから、ひょっこり頭を上げて
足元のほうをのぞきこんだ母が、こちらを見て、ひとこと。

<なにくそ魂、どっせ!!>と。

以前訪問介護のスタッフさんが、
<いつでも明るうて笑ってはるので、
 こちらが元気をもらって帰るんやけど、
 お母さん、その元気の素は、何なんでしょ?>と

聞いてくれはったとき、

<そら、もう、あれどす、ナニクソ魂どす!
 なにくそ!!、そう思て、頑張るんどす!!>

と答えていたことがあったので(笑)

なにがあったんかしらんけど、
<ナニクソ魂>にて、乗り切れ!!!!との、
ありがたいご忠言らしいのですが、

その<ナニクソ魂>のDNAは、どう考えても、
娘には、遺伝してへんような気が。。。

というか、そもそも、<はぁ~~>という
いつになく長いため息の、もとを作らはったのは、
お母さん、あんたはん、なんどすけど。(笑)

母に言わせると、
リハビリで大事なんも、この<ナニクソ魂>やそうで、
水をいっぱいいれたペットボトル2本を、いっち~!に~~!!と
1日何度も上げ下げする運動のときも、ちいさい声で、

<負けしまへんで!!絶対!誰にも、負けへん!!>って
つぶやいたはるのを、耳にしましたけど。。。

わたしは、敵や、あらしまへんえ。

けど。。
貴殿に負けヘンようには、どないしたらよろしいやろ?
とくに、<ナニクソ魂>のDNAが見当らへんときには(笑)

しかし、まぁ、思い返してみれば、
この10年のあいだに13回の転倒、骨折、脱臼、諸々。。

このHPのもとになった、
<救急医療情報キット>の母の分を作っていて、

ふと<これまでにした大きな怪我や病気>の
表を作っていたら、スペースが全然足らんと、
どんどん表が大きくなっていったのを見て、あらためて
ほんまに、いろんな災難を越えてきたひとやなぁ~と
しみじみ思いました。

自宅介護、というか、
こうやって、自分がなにかと母のお世話をしながらでも、
まったくの寝たきりになっていた、そんななかにも、

思い返せば、母からは、
なにかと教わることの多かった月日やなぁ~と
あらためて、思いました。

<ナニクソ魂>(言葉が荒くてスミマセン!)は
きっと自分のDNAにある!と、信じて、
それを、引っ張り出すべし!と、思っています。

そうか、いっそのこと、<ナニクソ魂!!>って
ゲンコツのイラストに、そう文字入れしたTシャツ作ったら
売れまヘんやろか?と持ちかけてみたところ、

<そんなもん、誰が買いますかいな!!アホらし。。>

とのお返事でした。

No.4 ひろきっとん、の思い出

今回は、<爆笑>のお話ではないのですが、
介護を始めた頃の、思い出話を、書きたいと思います。

母が長いこと寝たきりになる、かなり前のことですが、
何気ない話をしていて、ふと

<もう、会えへんようになってしもたひとのなかで
 誰か、ひとりだけ、会うことができる、って
 言われたら、誰に、会いたいと思う?>

と尋ねたことがありました。
しばらく沈黙があって、ひと言、

<ひろきっとん。。ひろきっとんに会いたいなぁ~>

と母が、言いました。

ひろきっとん、とは、母が小さかった頃に
うちの工場へ、住み込みの丁稚奉公に来ていた
20歳前後の青年で、

まだ小さかった母を、休みの日に、
嵐山へ連れていってくれて
ボートをこぎながら、泳ぎを教えてくれたり、
駄菓子を買ってくれたり、して遊んでくれたんだそうです。

母は、田舎で兄弟の多かった家族の口減らしにと
赤ちゃんのときに、養子に出され、
学校へ通いながら、工場を手伝い、

家業を継ぐために男手がいるからと、
写真だけを見て、父と見合い結婚をして
うちの夫婦養子になったひとなので、

あまり、実の両親にも、育ての両親にも、
会いたい、という思いが薄いのかも、しれません。

ひろきっとんは。。
当時は丁稚奉公、というかたちで、
うちにも、住み込みで仕事を手伝ってくださっていた、
丁稚さん、が何人かおられたそうで、

そのひとたちのことを呼ぶときに、よく
<○○どん>と名前のうしろにつけて読んでいたらしく、
ひろきっとん、も、おそらく、
ひろきちさん、か、ひろきさん、か本名はそういう
名前だったと思われます。

<どんなひとやったんやろう。。>と母の話を聞きながら、
ひろきっとんに会うてみたいなぁ~と、よく思いました。

そして、
数ヶ月前のある日、押入れの箪笥で探しものをしていたときに、
古いアルバムばかりが入った桐の箱を見つけました。

古い、白黒の写真ばかりが、沢山貼り付けてあるなかに、
一枚、お町内で、出征される兵士を見送る会、のような
写真がありました。

笑顔でも、厳しい顔でもなく、やや心細げな、
さびしそうな、でも優しそうな顔で、
ひとり真ん中に、青年が立っており、

その脇に、若い女性が座っておられ、
少し離れたところには、まだ小さい女の子が二人並んでいました。

その女の子のひとりに母の面影があったので、
その写真だけ、はがして、持って出て、母に尋ねたところ、

<あ~、そうそう、これ、これ、わたしえ。。
 そうそう、ほんで、これが、ひろきっとん!! 懐かしいわ~>

ひろきっとんの隣に座っている女性は、
婚約されていた女性だそうで、ひろきっとんのご実家は
あまり裕福でなかったため、

出征にあたり、うちのおじいちゃんが、支度を整えて、
うちから出征していかれたそうです。

そして、
あと、もう数ヶ月で、戦争が終わるというとき、
ひろきっとんが、中国のどこか田舎のほうで、
戦死されたという知らせがきて、四角い木の箱のなかに
石ころがひとつはいった木箱だけが。後日、届けられたのでした。

ひろきっとんは、お喋りなほうではなかったけれど、
いつ、何を頼んでも、
<ええよ。。>と言ってくれ、また、どこかへ行くときは、
そっと、手をとってくれた、優しいお兄さんやったと
母が懐かしそうに話してくれました。

それ以来、
母が、機嫌が悪そうにしているとき、
病院のことなどで、すこし元気のないとき、

<なぁ、あのひと、なんていう名前やった?
 ほらお母さんが、小さいとき遊んでもろた丁稚さんやったひと。。>

と、話しかけると、必ず、ニッコリ笑顔になって、

<ひろきっとん!! ひろきっとん!って、言いましたやろ!>

今までにもう、10回?20回?聞いてるストーリーなので、
実は、もうすっかり覚えてしまっているのですが(笑)
また、初めて聞くかのように、

<ひろきっとん、ってどんなひとやったん?>と

尋ねると、おきまりの、ひろきっとん、との思い出を
次々と、ほんとうに楽しそうに、話してくれます。

押入れで偶然、私が見つけた、ひろきっとんの写真は、
今は、私の部屋の入り口に飾ってある、
母の笑顔の写真を入れた写真たてのそばに、
立てかけてあります。

一度も会ったことのない、ひろきっとん、ですが、
そうしておくと、なんとなく、母を見守ってもらっているような
気がしますし。。。

また、
20歳前で、うちを出て、住み込みで奉公をし、
婚約者を残して、奉公先から出征した外国で、20歳すぎで戦死する、

って。。。
この写真を撮ったとき、どういう思いで、おられたんやろぅ。。
中国の地で、どんなふうに、どんな想いで、亡くなられたんやろう。。
。。て。。

自宅介護とかしていて、ほんとうに心弱りしているときは、
もうアカン。。もう限界。。って正直、何度か思ったことも
能天気な私でも(笑)ありました。

そんなとき、部屋にもどって、
この、ひろきっとんの写真が目にはいると、

こうして、今、毎日生きていられる、いうのは、
それだけでも、あたりまえのことやのうて、

何万、何百万という、<ひろきっとん>のようなひとや
そのひとを、大事に思ってらしたひとが、
決して、手にすること、望むことすら許されへんかった<明日>を
自分は、もろてるってことなんやなぁ。。。

そんな気がして、
<まぁ、シンドいけれど、もうちょっと、頑張ってみよ。。>
そんな気にさせてもらっています。

感傷的すぎると言われるかもしれませんが(笑)
母のひろきっとんのお話を聞いていると、

たとえ市井の、名もないひとであっても、
たとえひとりで亡くなられたとしても、

<ひとはこんなふうに、誰かのなかに、生き続けて、
 また、そのひとを想う誰かのなかに、生き続けて、
 そうやって、ずっと生きていく>

んやないやろか。。と、思ったりします。

No.5 水戸黄門のテーマソング

mitokouomonn

電動ベッドの横あたりで、
ぐずぐずと食後のお薬の後片付け
などをしていたら、

テレビで<水戸黄門>が始まり、

そう、あの、
<じゃん、じゃじゃじゃじゃんじゃん。。。>のあとに続いて、
日本人なら知らないお年寄りはいない、という、かの有名な
<じ~~んせい、らくありゃ~ く~もあるさ~。。>
のテーマソングが流れてきたもので、傍にいる母に、

<じ~~んせい、って、
 苦があったら、そら、楽もあるんやろね~?>と
何気なく声をかけたところ、

ベッドにもたれて、せっせと500ミリのペットボトルを
上げたり下げたり、左右に振り回したり(笑)の
<必殺!ダイエット兼自主トレメニュー>に励んでいた母が、
天井をじっ~~~と、見つめたまま、ひとこと。

<そら、あんた、
 ひとによりまっしゃろ。。>

まぁ~、たしかに、そのようで(*^_^*)

No.6 言いまつがい、聞きまつがい

少し前に、糸井重里さんのサイトで、<言いまつがい>
というコーナーが面白くて、凝ってたことがあったのですが、
母も、よくいろんなものを、いろんなふうに言います。

なぜか、暖房の<いるとこサーチ>のことは
<でたとこしょうぶ>と呼んでいて、

<寒おすなぁ~!でたとこしょうぶ、になっといやすか?>と。

一見、まったく違うように見えて、でも口に出してもらうと
よくわかるのですが、この二語は、不思議に似てるんです(笑)

また、ユニクロのヒートテック、という温かいシャツのことを
<ひーてっつ>と読んでいます。

<やっぱり、ひーてっつは、違いますなぁ~>と感心しきり!

最後に、女優の<掘北真希>さんのことを、ずっと

<えらい、威勢のええ名前どすな~>といつも言ってたのは、

<ほいきた!まき>さん、と思っていたことが判明。

なぁ、お願いやし、補聴器つけなはれって!(*^_^*)

No.7 自分のことばかり考えてる人間は。。。

昨日の昼、
アスレチックジムでスイミングを終え、
ホテルのランチバイキングからご帰宅あそばした、父が
例によって(ほぼ毎日恒例の)愚痴をこぼしだしました。

<はぁ~もう、な~んにもええことがない。。。
 楽しいことなんかひとつもない、
 80年も生きたらもうじゅうぶんや。

 うちへもどっても、ブスしか(発言のまま)おらん。。
 美味しいもんが食べたい。。けど、入れ歯がもうガタガタや。。
 なんの楽しみもない、どっこも行きとうない。。

 よそのひとは夫婦で旅行したりしてはんのに、
 そんなカタカタいうもんもたんと、歩けもせえへんのか。。
 ちぃ~とも、幸せやない。。わしは、ほんまに不幸や。。>

風邪ぎみで、熱冷まシートをおでこに貼りながら
母のそばで、晩ごはんの支度をしていた私、
またいつものお唄が始まりましたか。。と、当初は聞き流してましたが、

あんまりしつこく
<ブスばっかり、しかおらん。アホばっかりや。。不幸や。>と
言うもので、しだいに、ムカムカしてきて、

<自分のことばっかり、考えてる人間は、
 不幸になることが、約束されている!!!>

と、父に向かって叫んだところ、

言われた当人は、突然娘から怒鳴られたものの、
なんのことやらさっぱりわからん、というご様子で、

<なにを怒鳴ってるんや、わけわからん。。みっともない。。>

が、そこで、なにを思ったか、母が突然ものすごい関心をみせ、

<それ!それ、誰が言わはったんどす??! 
 どなたの言いやしたこと、どす???!>とお尋ね。

そないに、くいついてこられても(笑)
どっかで聞いた言葉にはちがいあらへんけど、
誰の言葉か、までは、私も、さだかやおへん。。

ので、とりあえず。。思いつきで、

<キリスト。。>と答えてみたところ、

<ふむ。。。そうか。。>と考え込んだご様子。そして、その後、
突然、ひとこと、大声で、

<アーメン!!!!>

なるほど。。キリストのお言葉なら、そやな、それがないとな。。。
と思って、隣に同じく

<アーメン!!!>と、一応、ご唱和などしてみました♪

すると、これまでの生涯80年もかけて
<不幸になることが約束されてしまってる>父は、
ますます、なんのことやらわからないご様子で、

<アホがうつるさかい、散髪に行く!!!>と、お出かけに。

どうぞ、どうぞ、どこへなと。。

このフレーズ、今も、どこで聞いた言葉やったのか、
どうしても思い出せへんのやけれど。。

ひょっとしたら、どっかで聞いたわけではなくて、
<そやから、ちょっとは、ひとのことも考えとくなはれ。。>
という、私のただの願望だったかもしれません。(笑)

No.8 認知症のお話で、ココロが和んだこと。

今日も、笑い話からは、ちょっと離れるのですが、
11月11日は、介護の日、だそうです。

少し前に、認知症の専門のお医者さんの講演を、聴きました。

行く前は、どんなふうに接したらいいのか、についての
お話なのかなぁ~と思っていたのですが、

最初に、患者さんのCTの写真を見ながら、各認知症の特徴の
説明がありました。

次に、初期の患者さんが、自分の気持ちを綴られた詩を
読みながら、いったいどういう世界で、どういう気分で
認知症のお年寄りが、日々暮しているのか、というお話があり、

最後に、ということだったので、いよいよ
介護する者がどう接すればいいのか、そういうお話だと
思っていると、先生が。。。

<認知症の患者さんにどんなふうに接するのが良いか>は、
患者さん、おひとりおひとり、それぞれによって異ります。

けれども、ぜひ、これだけは覚えておいて欲しいと思うのは、

日々、介護している方は、認知症の方のことを考え、
援助しておられるわけですが、

介護する側も人間である以上、どうしても、そのさなかに、
放置してしまいたい、無視したい、と思ったり、
つい暴言をはいたり、してしまう、それは、ふつう、のことなのです。

なので、<自分ひとりで世話をしなくては!>と思い込んだり、
<ひどいことを言ってしまう、世話したくないと
思ってしまう、そういう自分はひどい人間だ>と自分を責めたりせずに

世話をしていれば、一方でそういうこともふつうにあることなんだ、と
自分の気持ちをいつも<ニュートラル>な状態で保っていくこと、が
とても、大事なことです。

というお話で、これはとても、印象に残りました。

そういうときが、あっても、いいんですよ、ふつう、なんですって、
なんせ一生懸命やってきているのだから。。て。
聞いといやすか、母上!
これでも、<ココロをいつもニュートラルに>と
頑張らしてもろてまっせ(*^▽^)b

No.9 毛布をめぐるひと騒動

急に寒くなってきたので、
風邪とかひくと大変!ってことで、
今朝から、毛布やら、加湿器やら、冬支度を始めてるのですが。。。

母から、<あの、こげ茶色の毛布を出してくれはらへん?>
と頼まれて、朝から、ご指名の毛布を
アレかな?コレかも??これのこと??もう、どの毛布やの!と
2階の押入れから、次々心当たりのあるのをもっては、
降りてくるものの。。

<ちがうって、ほら茶色の濃い、毛布、
 知ってるやないの、ほら、△△さんが、快気祝いにいうて
 送ってくれはった、あの毛布、あれがぬくうてええし。。>

と、ことごとく、ダメだしをされ、あれもこれも違う。。と、

で、結局、もう、これしかないでしょ!!と
最初に持って降りてきた、薄いベージュの毛布を見せてみると、
あろうことか、

<それかも。。しれん。。。>とポソッ。

ちょっと意地悪が言いたくなって(笑)

<そやけど、これ、濃い茶色と、違うみたいなんやけど。。
 これ。。なん? ほんまに? 濃い茶色言うてはったような。。>

と再度、確認したところ、
しばし、毛布をながめながら、スリスリと、さすりつづけた後、
ニッコリと顔をあげて

<あ~~、そやわ!きっと、そうえ!!
 はいな、わかりました!

 ほら、去年毛布しまう前に、あんた
 洗濯屋さんへ、出しましたやろ?
 ほんで、キツう洗わはって、それで、ハゲてしもうたんやわ。。
 そうそう、ほんでやわ。。ふむ。。
 それにしても。。キツう、色落ちしたもんやなぁ~
 かなんな~ あの洗濯屋さん。。あかんわ、変えまひょか?!
 な、よその洗濯屋さんに頼まんと、ほんまに、あかんえ。>って。。

こげ茶色が、うすいベージュになるほど洗うって
どういうことなんやろ。。ありえへん(笑)

ただ、こういうアイデア(?)が、
窮地においては、まさに瞬時に、浮かぶってところに、
変わらない母を見た思いが。。。

思えば、この数十年、こうやってよ~~う
ピンチを切りぬけてきた女性(ひと)でした。(*^_^*)

ひとごとと思って、ぼぉ~~と話を聞いてたら、
突然、みんなが一斉に、こちらを向くので、
<えっ、私??! なに?? それ、私のせい??!>って
思うこと、数知れずです(笑)

クリーニング屋さんは、読まれることはないと思いますが、
念のために言うと、うちのクリーニング屋さんで、そんなに
色落ちするようなことは、決してありませんので。(*^_^*)

No.10 ほんで、こんな子が出てきてしもうて。。。

安楽さん

この左の写真、お食事中のみなさんには、
失礼します。

母がずっとお世話になっている
<あんらくさん>(安楽尿器)です。
が、ご安心ください、写真とはいえ、これは
今日、買ってきたばかりの、まだ未使用の新品ですので(笑)

実は、病院でずっと寝たきりの頃、
何ヶ月も導尿が続いていて、膀胱炎になりはしないかと
心配になって看護師さんにそう言ってみたら、
病院の倉庫のほうから、
<こんなのあるんやけど、使ってみる?>と
ひとりの看護師さんが、持ってきてくださったのが、
あんらくさん、にお世話になるキッカケでした。

男性用と女性用があり、立ったままで、
また寝たままの状態でも、使用できるのが便利で、

母のように<座る>という姿勢がとれないひとには
まさに、天のお助け♪

ただ、母が言うのには、
<寝たままで使うのには、<わざ>がいる!!!
 <わざ>を習得するには、ちょっとばかし知恵がいる♪>
とのことで(笑)

うちでは、電動ベッドのそばに、スヌーピーの可愛い箱に
容器の部分を収めて、手もちの部分に紐をくくって
S字フックにかけて、ベッドの手すりに
ぶら下げています。

夜、ベッドから降りて、トイレまで歩いていこうとして
フラフラで、ひとりでは、とてもあぶなかったので、

(家族をブザーで起こしてくれるように、言ってあるのですが、
 <せっかく寝てはるひとを、よう起こしまへん!!>
 と、いつも、黙って行こうとするので、それまでは
 数時間おきに起きては、母の部屋をのぞいて、尋ねたり
 していたのでした。)

用を足したくなったら、ベッド脇へ降りて、
あんらくさん、のお世話になって、手を消毒して、
また、ベッドに上がる、ということにしています♪

で、ここからが本題なのですが(笑)

いままで数年のあいだ、安楽さんを使うのには、
母は、この写真の緑の部分、これがゴムでできてるのですが、
これを外してしまわないと、使うことができなかったのです。
つまり、股関節が、わけあって十分に開けないので。。

それが、足のリハビリを半年続けていて、
そのなかで、不自由な足でもバランスをとって
立っていられるようにと、

横に足を開く、という運動を、リハビリの先生から
<自主トレ>ってことで課されていて、続けていたことで
股関節がかなり広げられるようになり、

なんと、少し前から、この緑のゴムをはずさなくても、
そのままで、あんらくさんを使えるようになったのでした。

それまでは、ゴムをはずして使っていて、
毎回、あたるときの感じがイヤだったそうで、
これはほんとうに、思いがけなくありがたいリハビリの
副産物でした。

この<あんらくさん>、膝が痛んだりして、
ポータブルトイレに座るのが難しくなったときなどには、
とっても頼りになる、ありがたい、お友達になれると
思います。

ちなみに<技とは。。知恵とは、なんぞや??>と
このまえ追求してみたところ、ひとこと、
<それは。。まぁ。。慣れ、っちゅうか。。>と言ってたので、
どなたでも使っていただいて大丈夫なようです♪

余談ですが。。

リハビリの先生に、この話をしていたら、
<これだけ股関節が開かなくて、お産は大変だったでしょう?>
と聞かれた母、

<そらもう、股関節の痛みのほうが大変で。。
 もう、赤ちゃんのことなんて、全然考える余裕がのうて、
 もうどうでもええわって感じどしたなぁ。。 
 ほんで、こんな子が出てきてしもうて。。>って、

私のほうを見たもので、先生もどう返事していいか
困っておられました(笑)

そういえば、ずっと前、誰かと子育てのことを
電話で話していたときにも、

<そんなん、あんた、どんなことでも、最初から上手いこといく、
 なんてことは、あらしませんやろ?
 最初の子はもう、実験台、みたいなもんなんやって!
 けったいな子になっても、そらしゃ~ないわ!
 最初の子は、みんな、そうなんやって!>って。。。

もちろん、私、<最初の子>です。
今、電話してるお母さんのお隣に、おりますんですけれど
すっかりお忘れのようで(笑)

No.11 ちょっと変わった相談員のおじさん

今でこそ、こんなふうにお気楽な日記を
綴らせてもらっている私ですが、数年前、母を

まったく、寝たきりのまま、動かせない、
自分も昼も夜も寝ることができない、
ちょっと、と替わってもらえるひともいない、と

介護当初のいちばんキツかった頃、
<よそのひとがうちに来ゃはるなら、生きてとうない。。>と
ヘルパーさんも、訪問介護のお世話になることも、
母は、一切を拒否しており、

兄弟や親戚や、心あたりのあるひとに、
なんとかしばらく来てもらえないかと頼んでみるものの、
哀しい哉、どこにも希望らしき光が見い出せずに、

特別の誰に、とか、どこに対してとかではない、こう
漠然とした、今の自分の状況を救ってくれない
あらゆるものへの憤り!!!みたいなのを
自分のなかでもてあまして、爆発しちゃいそうなときが、
私にも、しばらく、ありました。そんなある日

電話で、悩みを聞いてもらえる、そんな窓口を知り、
深夜に、おそるおそる、電話してみたことがあったんです。

そのときに電話に出られたのが、ボランティアの
かなり年配の男性の相談員の方で、次々と驚きの(?)
返答をされたのでした。(笑)

再現してみますと。。。

私      誰も、手伝ってもらえそうにないんですよ!
相談員さん  そら、手伝う気があらしませんにゃろね~!

私       遠くにいても、たとえ電話1本でも、メールでも
       その後どう、とか、尋ねるとか。。。
相談員さん  そらもう、気がない、っちゅうことですな~

私       どうしてそれで平気でいられるのかわからないんです!
相談員さん  そら、どうでもええ思てはるんどっしゃろうな~

私       いざとなったら、助けてもらえると。。
相談員さん  いやいや、ひとはあてになりまへんで!
       そらもう、今や、常識どす!

私       でも、このままずっとは、無理なんです!
        困ってるんですよ!
相談員さん  ほんまに、困ったこってすな~!

と、この調子で、何を言っても、肩すかしをくらう、みたいな(笑)

最初こそ、怒りにまかせて、あれこれと、日頃の不満をぶつけて
みたのですが、この調子で、ずっと返されていくうちに、
なんだか、だんだん、可笑しくなってきて、しだいに、

<もうええぇわ~!!
 あてにならへんもんは、あてにしてもしゃぁ~ない!
 なんでやろ。。と、考えても、無駄なだけやわ。>

と、不思議と、受話器を置くときには、
それまで、自分のなかに満杯に渦巻いていた憤り、みたいなものが
すっかり、なくなってしまって、

<相談できるところに、相談して、
 自分にできるだけのことを、していこう!!>と思えたのでした。

この、そっけない応対(笑)のどこに、そんな魔力が
あったのかわからないのですが、この相談員のおじさん(失礼!)
にたまたま受話器をとってもらったことで、

まちがいなく、自分のなかにずっと蓄積されていた負の、
恨みのエネルギーがすっかり、消えてしまったことは事実で、
それで、うんと気持ちが軽くなったのでした。

じっくり愚痴を聞いてもらえて、慰めてもらえる、とばかり
期待していた私には、思いがけない返答ばかりでしたが(笑)

なんていうか、ちゃらんぽらんな返事をしながら、おじさんは

実は、私が抱えていた、大きな悩みの塊りから
気持ちのなかで(潜在的にも)大きな部分を占めていた、
<なんで、自分だけが>や<なんでみんな何もしてくれない>

そういう、周りへの怒りとか恨み、という負の塊りをひとつずつ
言葉にして外に出して、削ぎ落としてくれて、
あとに、向き合うべき現実だけを、客観的に残してくれた、

そんな感じが、今はしています。

まっ~~~たく同情してもらえなかったけれど(笑)
やけにさっぱりとした気持ちで、受話器を置いたのですが、

でも電話を切る前に、ひとつだけ、尋ねたかったことがあったので、
思い切って尋ねてみました。

<そんなんばっかり、言うてはったら、これまで
 相談してきた人が、怒らはるってことありませんでしたか?
 気の弱いひとやったら、泣かはりまっせ!>

すると。。
<そうですな~ 怒らはるひともあるし、
 喜んで電話を切らはるひともあります。いろいろですわ~
 相談員としては、私のお返事は邪道なんかもしれまへんけど(笑)>
って。。

たしかに、なんとしてでも、すぐにでも誰かに助けをあおぐべき!
そういうときも、きっとあるとは思います。でも、この相談員さんは、
そういうひとにはきっと、ちゃんと手を差し伸べられるのではないか、
そんな気がします。

ただ、そのときの私には、<ユニークなおじさん流>が、ピタッと
はまって、元気が出てきました。

こういった相談員をした経験はありませんが、きっと
優しい言葉をかけるべきとき、そうでないとき、
その見極めをはずさない、というのが、きっと、齢の功、
<人間のプロ>なんだろうなぁ~って気がしました。(*^_^*)

No.12 <スパイメモ>さまさま!

うちの母は、ここ数年、毎日、小さなメモ帳に、
なにやら書きものをしています。

信用金庫でもらったメモ帳に、父が30年くらい前に買って
くれたとかいう、舶来の万年筆とやらで、食事時に、
なにやらちまちまと、書き込んでいます。

見せて!といっても、見せるのを嫌がるので、私はそれを
<スパイメモ>と呼んでいるのですが(笑)

たま~~~に、母のほうから、
<ちょっと、これ、見とくなはれ。。。>と
スパイメモが、差し出されることがあります。

<ミミズが這ったような字>というのは、まさに
こういうのをいうのだろうな~とういうような字で
なにやら、書いてあるのですが。。

それを指差しながら、

<これ、なんて書いてあるんどっしゃろ。。。>と。

そう、言われても、
書いた本人が、見当もつかへんもんを、なんで
他人がわかりますかいな。。と思いながらいちおう
見てみるものの、とんと、わかりまへん(笑)

<なんとか。。。す、に見えますけど、わからへんわ。>というと、

<ふむ。。。。まぁ、よろしいわ。。大事なことやったら、
 そのうちまた思い出しますやろ。。。>

ってな感じで、いっこうにメモの役目を果たさず。。と
思いきや、

たまにわたしが、

<この前、お米買うてきたん、いつやったかな。。>とか
<いつから、パーマ屋さんに行ってへんのやろ。。>とか
ボソッと、つぶやくと、

引き出しから、さささっ~!と、このスパイメモを取り出しては、

<〇月〇日にもってきてもろたえ!!>とか
<△月△日に、パーマのしるしがついてる!!!>と

思いっきり<どや顔(?)>で、教えてくれます。

パーマのしるしって、どんなんやねん!!と思いつつ(笑)
まぁ、

<そやった?おおきに、ありがとさん!>というと、

<ふむ。。まっ、なんでも聞いとくりゃす!>と
また大事そうに、メモ帳をしまいます。

時間が経つと、本人でもなかなか判読困難、という
いささか難はあれど(笑)
こうして、スパイメモが、役になってくれることもあるので、

<お母さんのスパイメモ、頼りにしてまっせ!>と
ゴマをスリスリ、しております。(*^_^*)

No.13 ひょっこりひょうたん島inらくらくホン

私が買い物なんかで外出する際に、これまた、
ときを選んだように、母がよくコケるもので、

朝起きたら、必ずまずケイタイをポケットに入れることに
しています。

で、たまに外からかけてみると、これがまた、出ない。。
呼び出し音が鳴っても全然でないと、外にいても気が気では
ないので、予定を変更していちど帰宅したりすることに
なります。

なんせ、IHに変えるまえ、一度、うちの居間でコケて
倒れていて、倒れると自分では起き上がれないために、
私がたまたま忘れ物をして帰宅したときには、
台所に向かって匍匐前進しており、お鍋の底がこげて
家事になりそうなことがあって、あわや大惨事勃発!
なんてことも、日常茶飯事なので。。で、

なんとか、ケイタイに出てもらおうと、これまで
いろいろと着信音を、変わったものに変えてきました。

でも、敵もさるもので、やれ
<テレビのなかの電話やと思うてましたら、
 あれ、あんたはんどしたんか?>とか

テレビと間違えないように、昔の黒電話の音に変えてみたら、
<昔の映画の電話かと思てましたら、
 あれ、うちの電話どしたんか?>

などと、のたまうので。。。

いっとき、<競馬のスタート地点で鳴る、あのファンファーレ>
そう、あのパ~ン、パンパカパ~ン!!という、あれです、
あれにしてみたのですが、

それがたまたま、お部屋にひとがいたときに鳴ったらしく、

えらく、びみょう^^な空気が流れたそうな。。(笑)

それで、今は、らくらくホンの着信音を
<ひょっこりひょうたん島>にしています。

これは、本人にも、周りのみなさんにも結構、好評で、
<なんか、元気がでました!>とか
<つい、踊りたくなりますね~!>とか

ほんと、聞いてみると、そんな感じ、なんです。

また、いつも朝、
<ケイタイは? ちゃんと持ったか??>と尋ねては、
いちいちうるさ~~!!!とご立腹だったのですが、

<ひょっこりひょうたん島は?>と尋ねると
ポケットをポンポンとしながら、<あります!>と
答えるもので、朝から険悪ムード勃発阻止に効果を発揮しています。

父もそれを聞いていて、
<ワシもなんか、ちがうのにしよかいな。。
 よそのひとのが鳴っても、わからんときあるさかい。。>

とのご発言だったので、

<水戸黄門のテーマにしたげよか?
 じ~~んせい、らくありゃ、くもあるさ~~~!>
 っていう、あれがええんとちがう??>と

提案してみたら、

<なんでそんなもん。。いらんわ!!!!!>と
一蹴なさいました。(笑)

らくらくホン、お持ちのみなさん、結構あると思うので、
<ひょっこりひょうたん島>一度、聞いてみとうくりゃす!
不思議と、なんか元気が、でますさかい(*^_^*)

No.14 円山公園の枝垂れ桜のように

今日は介護のお話ではないのですが、

今日、アップした、<京のひと花>の写真、
今の円山公園の枝垂れ桜、姥桜なのですが、
京のひと花ギャラリー>のほうに
20年前、私が撮った円山公園にある枝垂桜、
を一緒に載せてありますので、比べてみてください。

良く見れば、枝が重なるところがあって、
枝の落ちた部分と、残った部分が
わかります。

この、最近の写真を撮ってる脇で、お花見客のひとが
<もっと立派かと思ったけど、なんか寂しいね、この桜。。>
と話す声が聞こえましたが、

私は、この、姥桜が、とても好きです。

昔読んだ、桜守の佐野藤右衛門さんの著書のなかに
こんな一節がありました。

<若い満開の桜には、色気があるけれど、
 姥桜には、色気を過ぎた、色香が、あります。

 年がいったら、どれもみな老木になるんやからね、
 こりゃ、古いねぇ~、言うだけやのうて、
 幾星霜、どうやって今日まで耐えてきたのかを考えて
 称えて、花を見んとあかん。

 古いからいうて大事にしすぎてもあかんし、
 よけいな世話をするのもあかんのです。

 姥桜は、自分で自分を枯らしながら大きくなっていくんですわ。
 自分で調整しながら。全部大きうなってしまうと、からだが
 もたへんから、そやからどこかは枯らして、どこかには
 花をつける、それが木の知恵や。 そうして、
 わずかに残った枝には、ものすご綺麗な花を咲かせるんですわ。

 皮一枚で生きている、そんな木もいっぱいあるけど、
 よう、生きてきたなぁ~、と称えてやると、また一生懸命
 生きよるからね。そう、ほめてやるつもりで、見たらええんです。>

これを読んでから、
円山の枝垂桜が、いっそう、いとおしく感じるように
なりました。

人間も、また、桜と同じような気がします。

自分を省みても、
若い頃は、ただひたすら、なにかを手に入れようと
がむしゃらに、生きてきたように思います。そやけど、

ある程度、年を重ねてくるにつれて、この姥桜のように
<ほんまに大事なもん>だけを残して、
自分のなかにある、いらんもんを<削ぎ落としていく>ことが、
生きる、ということの中身のような、最近はそんな気がします。

そういえば。。
自分が生まれる前の、おそらくたいへんだった大正、昭和の時代、
70年、80年、そして90年を生き抜いてこられた、
人間としての魅力、<色香>のあるおばあちゃんや、おじいちゃん

そのみなさんに接するとき、
ふとした瞬間、そのしぐさや、さりげなく示された思い遣りなど、
ひととして大切なことを教わった、と感じる瞬間が、
これまでにも、ありました。

あまりにもさりげなく、自然だったので、
気づかず通り過ぎてしまうような、優しさ、でした。

年月を経て、いろんなものを削ぎ落としたのちの自分が
こんなふうに、優しくあれるだろうか。。。ありたいと、
折にふれて、その瞬間のことを、思い出します。

さて、
<お母さん、ほんまによう、頑張ってきゃはったもんね~>と
今日は、そう母に言うてあげることにしましょか(*^_^*)

No.15 紅葉も、寝さしたげなはれ!!

人間、なにが幸せかといって、
<朝起きて、歯が痛まなければ>
もう、それだけで、じゅうにぶんに幸せ、であります。

と、ふくらんだほっぺと歯痛の激痛を抱えて、
締め切りに追われたあの日以来、私は、こう悟ったのでした。

こんなふうに、私の<幸せのハードル>は、
おおかたの人に比べて、とっ~~ても低いせいで、
一年、幸せな日であることが、そうじゃない日より、
はるかに多い、わけです。

たとえ、そのあと、嫌なことがあったとしても、
<まぁ、歯が痛うないんやから、オッケ~♪>と思えば
知らないおじさんに道で怒鳴られようと、な~んと
いうこともなく(笑)

<幸せのハードル設定が低い>ってことは、
ひょっとして、毎日ご機嫌で過ごすための、
とっておきの方法かも、しれません。

さて、今日も、月1の歯医者さんの定期検査を終えて、
いつものように、この紅葉の公園を
自転車で通り抜けしていたときのこと、

いつもそこに立ってることは知っていても
あらためて、立ち止まって読んだことのなかった
ボロボロの立て札が、ふと気にかかって
どれどれ。。。と読み始めてみたところ。。

なんと!!!
先日から、いつも何気なく通り過ぎている
この紅葉の穴場の、あのプチ庭園、

これが、平安時代に平清盛の邸宅のお庭だったそうで、
ここで平清盛公が、娘である建礼門院さまのご子息、つまり
お孫さんと、つまり、後のあの、壇ノ浦の悲劇の安徳天皇で、
ございます、と、ともに戯れて遊んだ場所、とのことでした。

なんとまぁ。。歴史の教科書でしかご尊顔を拝したことない
平清盛公が、今を遡ること千年前に、住んでおられた処。。

歴史好きの皆さんであれば、感涙ものの場所で、
ここ数日、ボケッ~~~~と紅葉を眺めていたとは(笑)
知らなかったこととはいえ、なんたるぜいたくに
ございましょう!

もちろん、今とはまったくお庭の様相も違うでしょうけれど、
千年前にも、秋になると、清盛公も、大切なひとを想い、
ここで、こんなふうに庭の紅葉を愛でながら
往く秋を惜しんでられたのかなぁ。。と思うと、

なんだか、とても、不思議な気持ちがしてきます。

その、お庭の一部で、今年もまもなく紅葉のライトアップが
始まると、新聞で読んだので、朝、母に、晩ごはんの
片付けが終わったら、30分ほど、行ってきてもいいやろか。。と
お伺いをたててみたところ。。

<らいとあっぷ、とは、なんぞや?>
というおたずねがあったもので、

日が沈んだら、灯りをつけて、お庭の池に映る紅葉をみんなで眺める催し
のこと、と説明をしたところ、いつものように、

<ふむ。。>と言ったあと、しばらくして、

<紅葉かって。。。夜は寝たいやろに。。
 そないして、ぎょうさんのひとに来られては、
 寝てられしませんやないの。。気の毒に。。。そやろ?
 だれがそんなもん、するいうたはりますの?>と、
ご立腹のご様子。。。

確かに、本来、夜には、闇のなかにあるものを、
人工的な光をあてて、明るくして見物するっていうのは、

ライトアップされた紅葉が、どれほど、
昼間とはまったくちがう、妖艶な姿を見せてくれる、とはいえ、

そう言われてみれば、紅葉にとってみれば、
とても、酷なことかもしれませんねぇ。。

<それで、あんたはんはそれに、行かはりますの?>

そう言われたあとでは、なかなか、YES!!とも
言い難く。。さりとて、あきらめもつきがたく。。。
ふと、思いついて、

<ほな、紅葉に、おやすみ、言うて、きますわ。
 それやったら、よろしやろ?>

と再度、お許しを請うてみたところ、

<ふむ。。>のあと、
<はよう、帰ってきてあげなはれや。。
 私は、はよ~寝ますさかい。。寝れヘンとシンドおっせ。>

ってことで、快く(?)了解をいただき、
今年も、ずっと楽しみにしているイベント、
朱雀の庭の池に映る紅葉を、見に行かせていただきます。

もちろん、母上に<おやすみ前の目薬>を差しには、
かならず、もどって参りますので、何とぞ、御安心あれ(*^_^*)

No.16 アホさかげんで、伝説になってしもうて。。

梅小路公園の朱雀の庭の紅葉のライトアップ

今、京のひと花で、アップさせてもらっている
暗闇に紅葉がライトアップされた、この日本庭園、
京都駅から徒歩10分くらいのところに、あります。

案外知られてないかもしれませんが、
毎年3日間だけのライトアップ、そして<無料開放>
なんです。もしお近くのみなさんいらしたら、ぜひ
梅小路公園の朱雀の庭へいらしてくださいまし。

嵯峨野のお寺、常寂光寺などの紅葉も、たしかに見事ですが、
なんといっても、天龍寺、二尊院、直指庵、常寂光寺、祇王寺
大覚寺などなど。。巡ってるうちに、あっというまに、
三千円!!なんてことになるのがなんか、観光に来られるみなさんに
なんだか、申し訳ないような気がするのですが、その点、こちらは
何時間いても、FREE!!で、ございます。

さて、その、紅葉のライトアップ! 去年も行ってきましたが、
漆黒の闇に浮かぶ紅葉もとても美しいのですが、さらに
夕暮れの茜色の雲のたなびくさまと、色とりどりの紅葉との共演も、
それは、それは、美しいので、たそがれ時もおすすめです。

なんとか、この美しさをおすそわけしたい、と
デジカメで、<よし!これでバッチリ!>とアングルを決めて
シャッターを押しても、あとで画面をチェックすると、どうしても
その場で自分が感じた、あの、感動までが、伝わってこない。。。

う~~ん、なんでだろ。。。と考えたのですが、

それはおそらく、紅葉狩りも、人間が、その五感を総動員して
紅葉のある風景を、味わっている、せいではないかと思います。

つまり、

ただ、<絵として、の美しい紅葉>というだけではなくて、

日の落ちたあとの、あのひんやりとした、冷たい空気や、
風におこされる、あのザワザワッという紅葉のざわめきやら、
闇のなかに聞こえてくる、滝を流れ落ちる水の音、
そして、微かに地面から立ちのぼってくる苔の匂いなど、

そういう、すべてのものがあいまって、いっそう、
夜の紅葉を、美しいものにしてくれているように、思います。

そうそう、綺麗。。。と言えば。。。

先日、リハビリの先生をお連れして、母の部屋へもどったところ、
なにやらベッドの上で、しきりに、小さくたたんだティッシュの
ようなもので顔をゴシゴシと拭いていたので。。
<また、なにを、しといやすの???>と、お尋ねしたところ、

<この前から、この濡れティッシュで、毎日顔ふいてますのえ。。ほれ!
 ものすごう、キレイになる、いうて、あんた、言わはりましたやろ?>

とニッコリ笑顔とともに差し出されたのは、
目薬を差すときに手が清潔なように、手を拭くための
<99%除菌>の濡れティッシュの箱、でした。

<それって。。。
 ものすごいアルコール成分、強いんとちがいますの??!
 <キレイになる>いうのは、手のばい菌がのうなる、いうことえ!>
と、まず、私。

それを横で聞いていた、リハビリの女性の先生が、
<そんなんで、ゴシゴシやったはったら、顔からあぶらが
 みんな落ちて、ボロボロになりまっせ!!>と、ダメ押し。(笑)

<顔がボロボロ>に、反応したのか、顔を拭く手をとめながら、
<顔、拭いたら。。あかんのすか。。>と私を睨みつつ、お尋ね。

あかんのす。。。母上。(笑)

もともと、母はま~~~ったく化粧というものをしないひとで、
私が年頃になったときに、お化粧するようになったついでに、
一度だけ、母に化粧なるものをほどこしたことがあったのですが、
頬紅をぬったところ、

近年、街中でもあまりお見かけしなくなった、あの
<ちんどん屋さん>のおねえさん、もしくは、歌にある、

<おてもやん>そっくりになった!!と私が言ったため(笑)
(※おてもやん、は見たことありせんが、イメージで。。)
生涯、お化粧は、しないと、強く誓ったひとなのでした。

その後、祇園のお茶屋さんの舞妓さんが
<わたしらは、水でしか、お顔、洗いまへん!>と話しているのを
テレビで聞いた、とのことで、

それ以降は、水で洗顔するだけで、齢80まで
スッピンで、生きてきたわけですが、

ここへきて、またしても、わたしのせいで、
顔がボロボロになりそう、な事態が生まれたことに、
困惑&ご立腹なことしきり。。

でも、私は、それよりも、リハビリの先生がそのあとに
おっしゃったひと言のほうが、気になって。。

<まぁまぁ、こんどは99%除菌でお顔拭くやなんて。。
 またまた、〇〇さん(母の名前)の伝説が、ひとつ、増えましたね~>

訪問看護のみなさんの間で、<伝説のひと>になっている。。

子供の頃から、なんやちょっと変わったところはあるとは
思ってはいたのですが、
やっぱり。。相当なんだ。。と、あらためて再認識(笑)

まぁ、いいですやん、お母上、なかなか生きてるうちから
<伝説>になるひとは、そうたくさん、やはらしまへんさかい (*^_^*)

No.17 ヘリコプタをめぐるあれこれ

この30年、ストレッチャーの上に横になっての
救急搬送&通院以外は、家からまさに一歩も
出たことのない母ではありますが、

わたしなんかより、よっぽど世界の
いろんな街に詳しいです。

というのも、旅番組が、三度のご飯の次に好き(笑)!

だいたい、BSの旅番組さえついていれば、
おとなしく画面を見ていることが多いのですが、

今日も、どこかの高い山の登山をしている場面で

もう少しで、頂上に着く、ってところで、
頑張って歩いてられる一行の画面をじっと
見ていたときのこと、

気に入らないことがあるといつもする、
あの、眉をひそめた顔、
<ムズ>の顔になりながら、しみじみと、

<気の毒になぁ。。なんでやろ。。しんどいやろうに。。
 なんで、あのひとらは、ヘリコプタで行かはらへんのやろぅ。。>

と、つぶやいているので、

ヘリコプタ、で行っては、あなた、
登山にならへんでしょう!!と言いたいのをぐっとこらえながら(笑)

<そうやなぁ。。ヘリコプタが嫌いなんとちがうやろか。。
 前に、ヘリコプタでひどい目に遭わされたことがある、とか。。>

と、返事をしてみたものの、
<ヘリコプタでひどい目に遭うって、どういう目やろう。。>と
我ながら、可笑しくなってきていたところ、さらに

<せめてなぁ。。帰り際だけでも、ヘリコプタで帰らはったら
 いいのになぁ。。>との声。さらに。。

<ヘリコプタは、ええのえ!!!このごろ、お医者さんかって
 乗ってはるらしいえ!!>って。。

お母さん、ヘリコプタでお医者さんと同乗して、
山から降りることになったら、それこそ、ほんまに<お気の毒>な
ことやないでしょうか?(笑)

それにしても、<ヘリコプタで>という考えを
思いつくってところが、<できれば楽したい派>の
お母さんらしい、です。(笑)

そういえば、数日前にも、こんなことが。。

部屋を片付けていて、ふとみあげると、
またまたテレビの画面に、広い海と断崖絶壁の風景が
映りました。

<これ、どこの海岸なんやろう。。綺麗やねぇ~
 むこうは、地平線やろうか。。>

と言っていたら、<ロカ岬>との白い文字が、字幕で。。
すると、母が、

<あんたは、あほやなぁ。。日本に決まってるやないの。。
 ロカみさきって書いてありましたやろ?
 岬(みさき)、言うんやから、日本やがな。。>って。。

<うん??!!(笑)>

<違うえ、これは、
 ロカ岬って、ポルトガルかスペインか、外国え、お母さん>

と言うと、しばしの沈黙の後、今度は、

<ほな、なにか。。日本で勝手に、違う名前つけて
 呼んでるんか? そこらのひとは、怒ったはらへんのんか?>って。。

残念ながら、ポルトガルのひとに会ったことがないもんで、
怒ったはるかどうかは、わかりかねますが(笑)
たぶん、怒ってはらへんとは思う、と言いつつ、

<そやなぁ。。お母さん、
 ほんな、これから、ミシシッピリバーって呼ぶことにするわ、私。
 アメリカのひとが怒らはっても、なんやしな。。>

と言ったところで、ふと、ある考えが。。

その理屈で言うなら、京都の二条城も、わざわざ
<にじょう きゃっする>言わんと、街の看板も
<にじょうじょう>でええんやないの。。でしょう?

で、母にその旨を話そうと、ふりかえったところ、

もうすっかり、この件には関心を失くされており、
お昼ねモードに突入中。。。

こんな感じで。。
日々、なにが母のアンテナにピッ!と触れるかってことは、
本人から話を聞くまで、私には、まったくわからず、

またつねに、
こういう返事が返ってくるだろう。。というこちらの予想を
大きく裏切って、思いがけない返事がもどってくるもんで、

なんか、会話しながら、よく、
<まさか、そうくるとは、思わへんかったな~>と
妙に、感心(?)してしまうことが、あるのでした。(*^_^*)

No.18 裏を見せ 表を見せて 散るもみじ

梅小路公園の小川に浮かぶもみじ

京都には、紅葉の名所、と言われるところが
たくさんありますが、わたしはどうもあの
紅葉シーズンの神社仏閣のあの人ごみが苦手で、

あのゾロゾロとひとの後ろをついていきながら
ケイタイやスマートフォンで写真撮影している
みなさんの邪魔をせんように、あっちで屈み、
こっちで小走りに走りぬけ。。。しているあいだに、

<もうええわ。。。>と思ってしまうもので(笑)
今年も、近場で紅葉狩り、となりそうです。

ちなみに近くの公園の紅葉のほうは、

全体には、<まだまだ>って感じでしたが、

公園の庭を流れている小川に散ったもみじの葉っぱが
素敵な感じだったので、
京のひと花のほうへも載せておきます。
<もみじ流し>ってことで。

遠出せずとも、こうして、うちの近くに居ながらにして
<極上の秋>の風情を、感じさせてもらえるのは
ほんまに、ありがたし!

これで、今日、チラシ片手にユニクロ行ったら、<Lサイズ>が
売り切れだった不運は、帳消しに、したいと思います(笑)

ごめんなさい、今、無意識に見栄はってしまいました。。
<XLサイズ>です。。ううっ(泣)

また、
紅葉というと、いつも、良寛さんがお亡くなりになる前に
おっしゃったという、

 裏を見せ 表をみせて散る もみじ

の句が、思い出されます。

幼い頃には、おとな=(イコール)立派なひと、と
無条件に信じていた(信じさせられていた?)ような頃もあって、

自分は今小さいから未熟だけれど、これから
大きくなって大人になったら、みんなと同じように
立派なひと(良い人間)になれるのだ。。ろう。。。たぶん。。。(笑)
な~んて、昔はホントに単純に思ったりもしていたのですが、

今こうして、自分がその齢になってみれば。。(笑)

人間のなかに、<良い人間>と<悪い人間>という
2種類の人間、っていうのがあるのではなくて、

ひとりの人間のなかに、
<良いところ(表)>と<悪いところ(裏)>
<良い自分(表)>と<しょうがない自分(裏)>
とが、一緒に、混じりあいながら、やっかいに、存在するのだ。。

ということを、身をもって
痛いほど思い知らされる、ことになります。(笑)

さらに、
こうして、日々身近で親のお世話をしていると
もちろん、<齢のせい>ってことも大きいとは思うものの

その、あ・ま・りの傍若無人さ!!、自己チュウさ加減!!
そして、ひとをひととも思わぬ、ひと使いの荒さ!!!!(笑)に、

<ええっ!!このひと、ほんまは、こんなひとやったん!!!>
<もう!!おんなじクラスにいたら、ぜ~~~ったい、
 友達になってへんわ!!!>

と思うことも、数知れず(笑)

ただ。。それもこれも、あの良寛和尚さんのおっしゃった、あの句の、
<表>も<裏>も、見せて散るもみじ。。。のとおり、
せっせと今<裏>を見せてくれてるんや。。
きっと、そういうことなんやろぅ。。と、

悔し涙に暮れながらも(笑)。。でも
そう思えば、なんとなく、納得できたり、するのでした。

つまりは。。
XLをLと無意識に書いてしまうような自分には、誰も責められん。。
この子にして、あの親あり。と、
そういうことで、ありまする。(笑)

No.19 あんたにわたしましたやろ!口撃には。。

<あんたに、わたしましたやろ?>

なにか身の周りのものが見つからないと、何であろうと、
きまって<わたしに渡した>ってことに、なるようです(笑)

<ほれ、きのう、わたしましたやんか~!
 〇〇〇が、あらへんの!>と。のたまう母。

<なんにも、もろてしませんえ!何いうてはるん!>
<もっとよう、探してみよし、ほら!!!>

そういって、以前は、こちとらも
突然降りかかった濡れ衣、をはらさんがために
<もうてへん!>を連発、
<また、ひとのせいにして~!>と激怒したものでしたが(笑)

最近はもっぱら、ユーモア作戦に、作戦変更♪

<えっ、〇〇〇があらへん??! そら、えらいことやね~!>
 どこへ散歩してはるんやろ~ ベッドの下やろか。。
 いや~、ここには、やはらへんみたいやね~>

<いいや、あんたに、わたしたはずえ! 渡しましたやろ?>

<何をおっしゃる、ウサギさん♪
 私はなんにも、もうてへん~~♪>(とここで歌い出す(笑)

<しゃ~ないな~。。まっ、出てきゃはったら、
 いちばんに、飛んで知らせにきますわね! ところで。。。
 都こんぶ、食べはる?>

<食べ。。。る。。>
(都こんぶに、母は目がないので、食べないわけはない(笑)

<何枚、食べはる?>

<何枚て。。ぜんぶ。。>

<ぜんぶは。。多すぎますわ~~!
 半分ずつ、しましょね♪>

と、ここまでくれば、こっちのもの♪
しばらくは、
<絶対、渡しました。。。>とか、
<忘れてしまへん。。>などというつぶやきが
ぼそぼそ聞こえてこようとも、

聞かぬ存ぜぬのふりで、ひたすら、
箱入り都こんぶを、半分に分ける作業に没頭するフリをしつつ

<ハイッ!!>とニッコリ笑顔でお渡しすると、
すでに、もうココロは、都こんぶのもとへ♪
<ちゃんと半分が、自分のところへ来たか!!>が
今や母にとっての、最重要、最優先事項となり、私は

<大事なものを勝手に持ってったひと>から
<都こんぶをくれたひと>に昇格したことで、無事、関係修復!
めでたし、めでたし! となるのでした。

それに、たいてい、<なくなったもの>というのは
母のものに限らず、心あたりを探すだけ探したあとは、

思いがけないときに、思いがけないところから、
ひょっこり、出てくるものなので、
待ってるのが最良の策、なのです。

しつこくいつまでも、ココロが離れへんかったら、、
また今度は、ちがうもんを、探さんなんようになります(笑)

それに、母上、

ここだけの話ですが、
なくなると絶対に困る!!!ものは、
おそばに、おかんように、させてもうてますさかい
たとえうっかりどっかへやってはったとしても、大丈夫です、
どうぞ、ご安心、あれ!(笑)

あら!!
ほら~~、やっぱり、ね、毛布の下にもぐってはりましたやろ?(*^_^*)

No.20 あの。。。ぶれてるんやのうて。。。

水もみじ

京都の山のほうへ行くと、
ぴかぴかに磨き上げられた黒い床のうえに
紅葉が映る<床もみじ>で有名なお寺が
ありますが、

この写真は、近くの公園の小川で撮った
水面に映る<青空と紅葉>です。

少し遠めに、見てもらったほうが、
その感じが、よく伝わるかもしれません。

この紅葉シーズン真っ只中の、青空の日曜日に、
街の真ん中で、拝観料なしで(笑)
こんな場所を見つけることができて
とっても、ラッキー&ハッピーです♪

ほとんど訪れるひともない小川のほとり。

静かに澄んだ空気なか、眩しい秋の陽射しをよけながら、
水面に揺れながら映る、紅葉のグラデーションをひとり
眺めていると、

聞こえてくるのは、
小川のせせらぎと小鳥のさえずり、そして
遠くの芝生で遊ぶ、子供たちの笑い声。。

しばし、もの想いに耽っていると、
紅葉の林の向こうを走りぬける、
古い蒸気機関車の汽笛に、ふいに、驚かされる。

ほんの15分ほどの休憩時間でしたが、
秋の風情、堪能させてもらいました♪

それにしても。。水面に映る紅葉、
この風景を、<水の上に織る錦>と表現できる日本語って、
ほんとうに、素晴らしいなぁ~って思いますね~。

こういう色彩の、着物の帯、あると素敵ですよね♪
<水紅葉>とかって。。

この前のユニクロ話ではないけれど、
最近、太るとサイズがねぇ~とか話してるときに
気づいたのですが、

着物って、太ると着られない、ってこと、ないんですよね(笑)

わたしも、これから、着物派に転向しようかなぁ。と
そしたら、こういう帯を締めて。。。

って感じで、外出できない母にも見てもらいたいと、
こうやって、秋の風景を切りとったものを、デジカメで撮って、
食事どきなどに、せっせと母に、見せたりしているのですが、

<ほら、綺麗やろ?これ、水に映った紅葉なんえ~>
と、さっそく今日のお昼に、お披露目したところ、
ちらっと横目で見たあと、

<ぶれとる。。>とひと言。

あの、画面がぶれてるんじゃなくって。。。
あ~、もう、よろしわ(笑)

No.21 つっこみは、お口の体操!

一人しかいない部屋から、話し声がする、
っていうのは、なんとも言えず、不気味なもの(笑)

でも、母の部屋からは、声、聞こえるんです、
そのお相手は。。。<テレビのなかのひと>(笑)

関西では、漫才コンビのふたりを
ボケ役とツッコミ役、っていうふうに、わけて呼んでいて、

ボケ役のひとが、なにか可笑しなことを言うと、すかさず
ツッコミ役のひとが、
<~なわけないやろ!>っていうふうに切りかえす、

この切りかえしを、俗に<つっこむ><つっこみを入れる>
っていうふうに言うのですが、

母は毎日、テレビ番組を相手に、この
<つっこみ>を入れていて、それが、
ひとりの部屋から聞こえてくる、あの、
ぶつぶつ。。という、話し声なのでした♪

最近のお気に入りの相手は、京都の旅番組。

テレビを観ながら。。

俳優さんが、グルメなお店を次々紹介していると、
<紅葉。。とか言うて、あんた朝から食べてばっかりやないの。。>

場面が切り替わると、ゲストがもう次の名所にいたりすると、
<清水さんから、嵐山まで、そないすぐ、行けまへんやろ!
 みんな、そないに近いおもうて、きゃはったら、どないしますの!>

また、観光客の女性が、1日舞妓体験、なるものをされてると、
<あないに年いった、舞妓はん、やはりますかいな!>

 ※実は、私、清水寺近くで、ものすご~~い大柄の舞妓さんの
  後姿を見て、!って思って、近づいたら、外国の方やった
  ことがあり、さすがに、ふりかえらはったときは、
  しばらく、呆然自失になったことがあります。

先日も、リハビリの先生が来られたとき、母は例によって
テレビを観ていたのですが、先生が、

<こんにちは~~!お元気でしたか? 今、何してはったん?>

と部屋にはいるときに、声をかけてくださると、ニッコリ笑顔で、

<つっこんで、ま・し・た♪>

先生、

<何を? 何をどこにつっこんで、はったん?>

私、

<あの。。テレビに、つっこみをいれてた、言うことらしいです(笑)>

先生、

<あ~、そう~、テレビに、つっこんだはったん。。。>

母、

<へぇ、そうどす♪ 
 そやけど、せんせ、もう、よろしぃえ。。ほな、はじめまひょか!>

と、こんな調子で。。

そんな母の<つっこみ>も、毎日のこととなると、なんとはなしに
聞き流しているのですが、先日、フィギュアスケートの中継を
見ていて、松岡修造さんが、出てらっしゃったときに

テレビに向かって、

<あんたは、もう、よろし!!
 あんたが、来たら、なんや、暑苦しおすさかい、
 あんたは、出てこんで、よろし!>

と言っていたときだけは、激しく同意させてもらいました(笑)

 ※松岡修造のファンのみなさん、
  いらっしゃったら、申し訳ございません。

No.22 なにが悲しいて。。。

自分へのご褒美も!

今朝、メガネをかけようとしたら、

ハナにあたるところのプラスティックの部品(?)が
いつの間にか、とてもざらついて、くたびれているのに気づいたので、

買い物帰りに、いつものメガネ屋さんで
ちょっと大きめサイズに交換してもらったところ
しっくり落ち着いて、しかも、サービスだよ!って
言ってもらって、超ラッキー!

こんなふうに。。
まったく寝たきりだった頃から比べて
母の介護が、少し落ち着いてきた頃から
私が、始めたことがあります。

それは、

 毎日、なにかひとつを、<自分のために>する、ということ。

介護するようになって思うのは、
いつも、自分のココロの中には、
ひとつ、大きな天秤ばかり、があって、

右っ側のお皿には、

<できるだけの、お世話をしてあげたい>
<優しく接して、あげたい>

っていう、マザーテレサもビックリ!!みたいな、
わたしのなかの<いいひと>が、のっかっていて、

反対の左っ側のお皿には、

<なんで、なんでもかんでも、わたしがせんなんの~!>
<やってられへんわ、もう、限界!!>
<わがままばっかり言うて、もう知わんわ!!>

っていう、あの悪(ワル)の越後屋も尻込みしそうな、
わたしのなかの<意地悪なひと>が、のっかっています。

天秤ばかりは、母と私の、お互いの、ちょっとした言葉や
ちょっとした振る舞いで、右にさがったり、左にさがったり、
毎日、揺れ動きます。

<やってられない!>と天秤ばかりの左のお皿が
コトンと、地に着きそうなときには、
あらゆる手を使っても、自分のなかの<いいひと>を
目覚めさせなくてはなりませぬ(笑)

毎日、あっちに揺れ、こっちに揺れ。。(笑)
それでも、なんとか、バランスがくずれないように、
慎重に。。慎重に。。扱わなくちゃいけません。
そう、バランスこそが、いのち、です。

なので、そのバランスをとるために、
毎日ひとつ<自分のために>何かをします。
なにか、明日に、希望につながる、何かをします。

それは、些細なことで、じゅうぶんで。。。

たとえば、

 ★メガネのハナのプラスチックを新調してみる、
 ★面白そうな文庫本を一冊買ってみる、
 ★ユニクロで、この冬用に、キュートな色のヒートテックを1枚買う。
 ★ご無沙汰している友達に、メールをしてみる。
 ★ゴタゴタしてきた本棚をすっきり、整理してみる。
 ★写真で、来年のオリジナルカレンダーを作ってみる。

そんな感じで、

忙しい合間の、すきま時間を使って、できることで、

なにかひとつでも、今日1日のなかで、

 自分のために、これをした!
 今日一日は、自分のためにもあった!

そういう、ささやかな幸せ気分があることで、

日々揺れに揺れている、天秤ばかりの右側で、
ひとつひとつは、ささやかであっても、
確実な<重り>になってくれる、
大切なバランスを保たせてくれる、と、思うからです。

右にぐっと傾くときがあっても、また
左に大きく沈むときがあっても、いい、
揺れて、揺れながら、なんとか、バランスを失わずに
今日一日を過ごせたら、じゅうぶん、合格点です。(笑)

そうそう、メガネで思い出しました!!

この前、リハビリの先生が来られていて、
あとから、部屋に入ろうとしたところ、
母が、ニッコリ笑いながら、頭をあげて、
先生の顔に、顔を近づけながら、話してました。。

母、<せんせ、今日は、盗聴器、してますさかい、 
   ちいさい声で、喋べっとうくなはれ♪>

先生<へっ!?? どこに、どこにしたはりますの?
   なんでまた。。>と部屋をぐるっと見回し始める。。

そんなわけ、ないやないですか。。。

私<先生。。。ほちょうき、のことやと思います。>

先生<ああぁ~。。そうやろね~(笑)>

なにが悲しうて、よりによって母の部屋に、盗聴器なんぞ
仕掛けますかいな。。アホらし。。

そんなもんのお世話にならんでも、母上、
きゃはるひとに、私の悪口、あることないこと、
言うてはるのは、もうちゃんとわかってますさかい(笑)

それにしても。。
ほちょうき、と、とうちょうき。。って
間違いますか、ふつう。。
やっぱり、悪口言うてるさかい、盗聴器ってつい
口から出たんやと、推察いたしまする(笑)

お口がすべりましたな、母上!(*^_^*)

No.23 味付け海苔の効用やいかに!

朝、年に1度の楽しみの鍋祭りへ出かけようと急いでいる私を
わざわざ、呼び止め、

<ちょっと、ちょっと、ここ、ここ、見てくれへん?>と

頭を突き出してきた母。

<味噌ちゃんこ鍋>が売り切れになる前に、なんとしても
行かなくては!と慌てている私の姿なぞ、どこ吹く風で、

<な、よう見てみ!!
 地面から、黒いのが生えてきてるの、わかる?>って。。
(あの、地面、じゃなくて、地肌、です、お母さん。。)

<ほら、ここ、3本くらいありますやろ? よう見てみ?>

と、ニッコリ!!(*^-^*) 

なんでも、母に言わせると、

この数ヶ月、実は、こっそり、毎日3枚ずつ、
おやつに、味付け海苔を、食していた、とのこと。

すると、1週間ほど前から、ちょっとずつ、この
黒い髪が、生えてき始めたそうです。

急いでうちを出ようと焦っていたのもあり、

<また、あほなことを。。
 そんなことがほんまにあるんやったら、
 アデランスは、とっくに倒産してるし、
 山本山は、今頃、ビルゲイツみたいになってはるやろ!!>

と聞き流そうとしたのですが、

<まぁ、だまされたと思うて、いっぺん、見とうみ!!
 ほんまやさかい、ほら、ほら!!>って

まさに頭突きの勢いで、頭を近づけてくる母の額を見てみると。。

確かに、数本の白髪の生え際だけが、1センチぐらい
黒髪になっているのです。。まさか。。本当に?!

<ほんまやわぁ。。>と、摩訶不思議なその髪を
触ろうとすると、

<あっ!抜かんといてや。。これが伸びてきたら、
 毛染めせんでもええようになるんやさかいな。。>と

頭をひょいとひっこめて、ベッドでお休みモードに。。

実は、寝たきりになる以前は、母は、自分でせっせと
毛染めをしていて、どこからみても真っ黒な髪をしていたのですが、

寝たきりになってからは、それがかなわず、
どんどん、白髪が増えてきて、今は半分ぐらいは
白髪になってしまっているのです。

入浴介護のスタッフさんが、
希望されれば、シャンプーのときに、毛染め
お手伝いしますよ♪ と親切に申し出てくださって
いるのですが、

<そんなことしたら、〇〇さん(スタッフさん)の服が汚れて
 毛染めの色がついてしまうさかい、でけしません。。>

とずっと頑くなにお断りし続けているのでした。
なので、もう髪のことはすっかりあきらめたのかなぁ。。と思いきや

秘かに、この<1日3枚の味付け海苔>作戦によって、
再び黒髪を復活させようと、図っていたことは
まったく今日まで、気づきませんでした。
 
まだ数センチほど、しかも、3本程度なので、
まだまだ今後の成長を追っていかなくては、確かなことは
言えませんが、

それでも、たしかに、白髪の根元の地肌から黒い髪が
生えてきたことは、間違いないので、これがずっと
他の部分にも広がっていけば、まさに、

<ノーベル賞>ものの大発見!ってことに、なるやもしれません。

それにしても。。
<1日3枚の味付け海苔で>って、そんな簡単にいくもんやろか。。>

といぶかっていると、

<そんなこと言うてんと、あんたも、これ、お食べやす!
 あたまが、薄おすんやさかい。。>って。。

お母さん、私は頭の髪は、確かに、細いけれど、
<あたまがうすい>わけでは、ありません。。(*^-^*) 

No.24 高齢者からの虐待防止法も。。。あり?(*^-^*)

おばあちゃんは強し!

なんのことから、そんな話になったかは、
とんと覚えていないのですが、
(近頃、とみにもの忘れがはげしくなってきた気が。。(汗)

<高齢者虐待防止法>という法律ができて、
だれでも、気がついたひとは、お年寄りが
<いじめられてはるかもしれん!!>って思うたら、
間違うててもええから、いち早くお役所へ通報しなあかんとか。。。

あ~そうそう、あの時でした。
母の右足の静脈炎に、いつものお薬を塗ってるときに、
すこしキツめに、すり込んだ瞬間、母が、

<痛~~い!!なにしゃはりますの~~!!>と大絶叫!

<そんな声だしたら、ご近所のみなさんが、通報しゃはりますえ!!
 高齢者が虐待されてる、言うて。。>と、
言ったときのことでした。

なんとなれば、
母の部屋は、すぐ壁をはさんでお隣が
隣のお宅のお仕事の事務所になっていて、
職人さんか事務員さんか、どなたかが壁際に座っておられるとの、こと。

<そんな声で叫ばはったら、なんやみなさんが、
 わたしが、お母さんをいじめてる!!>って、思わはりますやん?

と、言いながら、またすっかり忘れて(笑)お薬をスリスリと
すりこんでいるうち、ふと浮かんだことを口に出してみました。

<そうや、ほな。。高齢者に、いじめられてる、いうひとも
 おまわりさんに、言わんとあかんやんね~!!>

母<ふむ。。いじめられてるて。。。> しばらくして、

母<誰が。。どす?>

私<いや、誰がて。。私どす。。もちろん母上に>(笑)

こんなことも思うたりするのは。。

実は、先日、ちょこっと、ほんのチョコッとだけ、
<もし実弟がうちに居てくれたら。。>とたったひとこと
母に向かって漏らしただけで、

母上が、キッとこちらを見据えて、
至極、あたらまった口調にて、

<あんた!ひというもんは、あてにならへんもんだす!
 あてにするほうが、まちごうてます!!
 あんた、そんな年して、そんなこともまだわからんやなんて。。
 情けない、おひとやこと!!>と。

お言葉をかえすようですが、母上。。
ひというても。。。。あんた様の、ご長男でっせ(笑)
それならわたしも、その<あてにならへん組>のほうへ
どう~~~か、入れておくんなさいまし♪

その昔、夏目漱石さんが、
<智に働けば角が立つ、云々。。。>とかおっしゃいましたが、
なんか、わたしのこのうん十年って人生、

考えてみたら<情に棹さして、流されまくり>のような
気がして参りましたワ。。

朝の早うから、晩の遅うまで、
こないにお世話をして差し上げてますのに、
情けない娘やとは。。とは、これいかに(泣)

<はぁ~。。高齢者からの虐待防止法>ってのは、
やっぱり、ないのかしらねぇ~(笑)

 ※念のために。。。あの、これ、ジョークなので、
  わたしはもちろん、苛められてはおりません(笑)し、
  ただ、こんなアホなことを言い合いながら、
  なんとか、毎日を笑って送ってます、というお話です(*^-^*)
  
  でも、
  ホントに苦しい思いをされてるみなさんが読まれて
  不快だったら、ごめんなさい。

No.25 お正月をめぐるあれこれ。。

お正月ね~

まだ11月だというのに、
買い物に行くと、近くのショッピングモールが
クリスマスグッズで溢れかえっているのをみると、
これから、クリスマス、お正月と、行事が続くな~と
なんとはなしに、せわしない、気持ちになるのですが。。。

そんなある日、突然母が、ニッコリ笑顔で、
<あのほれ、お正月に、あの子らが来た時には
 すき焼きしまひょな。。。。>

と、言い出したもので、プチッ!って
(自分でも音が聞こえそうなくらい(笑))

キレてしまい、

<あの子らって、どの子のことどす??
 すき焼きって、誰がお肉買いにいかはりますの?
 おふとんは、誰がださはんの?
 白味噌のお雑煮、だ~れも、食べはらしませんえ!!!
 お正月に来ゃはるやなんて、わたしは
 な~~~んにも、聞いてしませんけど!!>と

母を揺さぶらんばかりの、怒涛のたたみかけ(笑)

 ※あの子らとは、もちろん、お母上の、大事な大事な
  ご長男御一家、総勢5名様でござりまする。

すると、母上、大はしゃぎのご様子で、

<お正月はそら、みんなできゃはりますやろ~~!!>
 お正月でっせ?!なにを言うてはんの、この子は!
 お父さんも、孫の顔みたいに決まってますやないの!
 あんたは、ほんまに鬼どすか!>って。。

鬼。。。今、鬼とおっしゃいました?

母上が、寝たきりになって何年経ちますか。。
そのあいだ、な~~~んも音沙汰ありまへんで。。
言うなれば、<お年玉稼ぎの出稼ぎ>みたいなもんどっせ!

といいながらも。。。

霜降りお肉、おねぎに、糸コン、
翌朝の、すきやきうどんの、おうどん、まで、
結局、椎間板ヘルニア持ちのわたしがひとりで
買いに走りまわる姿が、見えまする。。。

お母様、鬼は、どっち、どす?(笑)

などとブツブツ言うてたら、晩ごはんの前に母が、
また、おもむろに、あのいつもの<どや!>顔で、

<ことしは、こんでええ(来なくていい)って、
 電話しといてあげましたえ~!
 あんたが、腰痛うてかなん、って言わはったって。。>

ええっ~~~~!!
もう~~~、どんな電話しゃはりましたん??!

また、
<ウソ、ウソ、冗談やから!
 来て、来て!!みんな、楽しみにしてるさかい!>って
電話せんとあかんやないですか。。

ほんまに、お正月、めんどくさいな~もう~~(*^-^*)

No.26 フットケアでご立腹!の巻

さてさて、今朝起きたての、ホットなひと騒ぎについて
お話したいと思います。

母は足に静脈炎なる病をかかえており、
1年以上前から、朝晩の湿布交換とお薬スリスリを
続けてきたことが効を奏してきて、
ここのところ、あれだけ、<なんじゃこら~!>状態だった
おみ足も、

今では、どこのOLさんかと、はたまた、少女時代か?と
見間違うほどの美脚(?)になってきたのですが、

あろうことか、ひとの足のことばかり気にかけていて
自分の足のことなど、まったく気にかけずにいたところ、

そもそも、介護では、膝をつくって動作が多くて、
まったくの寝たきりの頃には、ずっとお下の世話など
(お食事中の皆さま、スミマセン!!)
膝つく姿勢で、長時間ベッド脇にいたために、
いまでは、なんと<ひざぼん>(お皿のところです)
が万年打撲状態から回復しないままで、ございます。

まだ、それでも膝は、お風呂に入ったあとに、
ウレパールなどを(母のですが(笑))こっそり、
塗っていたりもして気にかけていたのですが。。。

まったく、気がつかなかったのが、足のかかと、のほうで、

なんだか、毛布が足にひっかかるような。。。
と気になってしっかり見てみたら、かかとが
とんでもなく分厚くて、硬い!!!!!!!!

ひょっとして。。。とおそるおそる、近所のお医者さんへ
買い物帰りに寄ってみたら、
<ふむふむ、菌はおりませんので、これはたんに
 角質が硬くなって、乾燥したためですな~>
ってことで。。。

ひとの足の心配をしてるような場合ではない!!
おみ足の一大事!!!ということで、昨夜から、

<フットケア>なるものを始めたわけです。

ただ、こう、じ~~と足をお湯につけてるって
いうことが、もう、なんか時間がもったいないようで、
なかなかできないな~と思っていたところ、

母の目薬は、1つ目をさすと、次まで5分間、
時間をあけないといけないので、結構、まとめると
まとまった時間になることをはっけ~~ん!!

ということで、目薬を渡した後、
おもむろに、洗面器にお湯をはって、隣のお風呂場から
持ち込み、両足をつけてほっ~~こりしていたところ。。

<何、したはり。。ますの?>と関心のあるご様子。

本来、目薬のあとは、目を閉じてるはずやから、
見えへんはずなんですけど、母上(笑)。。まぁ、それはよいとして、

<フットケア♪>

<なんですと?>

<ふっとけあ!!>

と言ったとたんに、あの不機嫌の象徴である<ムズ>のお顔。

<親に、ほっとけや!って。。どういう、もの言いですの!!!
 なんちゅう子やろ、ほんまに。。>と激しくご立腹。

そうなんです!
フットケア(足のケア)と言った言葉が、母上には、
ほっとけや!と、お聞きになったようで(笑)

いくらなんでも、一応わたしもまだ、女子、でございますもんで、
<ほっとけや!>とは、ひとさまに申し上げたりは
いたしません。まして母上になんて、申しませんって!
(ココロのうちでつぶやくのは別としまして(*^-^*))

<ちゃう、ちゃう、足の手入れ、いう、のを
 英語で、言うたら、<フットケア>ってなりますやんか!
 勘違いどす!>と、弁解すると、

わかったような、わからないようなお顔をしつつ、
とにかく、暴言を放たれたわけではなかった。。ということだけは
通じたようで、ひと言。。

<英語で。。。言わんで、よろし。>

へぇ、明日からは、足のお手入れ、と、
申し上げて、洗面器運んで参ります。(*^-^*)

No.27 <日々是好日>のススメ

日々是好日

今日は、母の話ではないのですが、
京都中央図書館には、実は、
知られざる貴重なコーナーがあります。

階段を上がったら、いつもの、貸し出しカウンターとは
反対にある、左のコーナーへ行くと、

京都に関する、あらゆる本、
とくに今はもう、絶版になってしまって
手に入らない本の、閲覧及び貸し出しを行っています。

少し時間のあるときには、
とくにあてもなく、本棚のあいだをぶらぶら歩いて、
京都についての古くて、面白そうな文献のあれこれを
手にとってみているのですが、

京都通のみなさんには、垂涎の的、
まさに夢心地の場所で、あります。

少し前に、そのコーナーに、嵐山にあります
天龍寺、その元管長である関牧翁さんの<禅の話>という本があり、
手にとってみたら、これがとても興味深く、

時期を同じくして、関さんが、
その本のなかでお書きになっていたことを、
NHKの番組で、お話をされていました。

それがちょうど、晩秋の今頃の季節だったので、
紅葉が終わって、落ち葉が散り敷く今頃になると、いつも
このお話のことを思い出します。

タイトルは、日々是好日、

<よく死ぬには、1日1日をよく生きること>

以下、そのお話です。

********************

私はもう齢80を越えていますが、人間はいくつに
なったからといって、迷いや欲、煩悩といった
ものから解き放たれるわけではありませんし、また
長く生きたとしても、いくつになれば、自然に
悟りが開ける、ということでもありません。

なので、自然にまかせるのがいちばん。
逆らうから、苦しむのです。
死ぬときがきたら、死ぬ、それでいい。
死ぬときがきたのに、死にたくないと思うから
苦しい。
生きてるうちから、死にたい、と思うから苦しいのです。

朝、目が覚めたとき、ひとは新しく生まれ、
その1日を生きるのだと、考えるとしましょう。

その1日に自分に起きたことを、全部、
どんなことであっても、<良かった!>と
思うのです。

たとえどんなにつらく、苦しいことがあったとしても
自分のちからで、そのことは自分にとって良いことで
あったのだと、自分に、納得させる、思わせるのです。

決して逃げてはいけません。

自分のちからで、1日1日を、精一杯、良いものとする、
そうした、1日、1日を重ねていくことによって、
やがて<そのとき>を迎えたときに、
ひとは、良く死ぬ、ことが、できるのです。

********************

実は、私は、おそろしく<根性なし>なもので(笑)
おおきな困難がやってくると、逃げて逃げて、逃げまくりたく、
なります(笑)

昔、庄司薫さんという作家さんが、
<赤ずきんちゃん、気をつけて>という小説のなかで、
困難に出会ったとき、ひとはどうすればいいか、という
自分なりの対処法、っていうのを友だちに語る、という
場面があったのですが、忘れもしない(笑)内容で、

庄司さん曰く、

ひとは困難に出遭ったら、まず、逃げること!!
あらゆる手段を使って、逃げて、逃げて、逃げまくる!!こと。
逃げて、逃げて、逃げまくっても、それでも、まだ、それが
自分を、ずっと追っかけてきたならば、

それは、自分にとって、とても<大切なこと>だから、
そのときには、覚悟を決めて、そのことに向き合うべし!

だ、そうです。

この教え(?)がずっと幼少より頭にこびりついていて、
ちょっとでも、嫌な予感、がしようものなら、
話を聞きながら、すでに右足は後ずさりを始めてる。。

ってな感じなのですが(笑)

その、自分でも、1日、1日なら、なんとか、頑張れるそうな
気がするでは、ありませんか。

なので、私のなかで、
庄司 薫さんと関 牧翁さんとは、めでたく握手され、

以来、関牧翁さんの、<日々是好日>の教えは、
ずっと、根性なしさんでも頑張れる、心の糧となっているのでした。

あまり気に入ったので、ついに、自分で撮りためた
この1年のお気に入りの風景を集めたカレンダーを作り、
<日々是好日>とタイトルをつけて、眺めています。

ひとことで言うなら、<おまじない>みたいなもの。。。

今日一日!今日一日!! そう思えば、
なんとか、頑張れますゆえ(*^-^*)

No.28 王様の耳はロバの耳

嵯峨野の竹林

今日も、今日とて、
<かじょく!!! かじょく!!、言うそうどす!>
と朝から、にぎやかな母の声。

もう知ってござりまするよ。
いくら鈍い、わたくしのこととはいえ、
日本語の家族は、韓国語でも、かじょく、と
申すので、ござりまするな?

と、言うと、ニッコリ笑顔。

外出のかなわない母の韓国ドラマ三昧の日々の
思わぬ副産物、それが、この、韓国語と日本語が
同じ単語を見つける!という日課で。。

この調子だと、1日1善ならぬ、
1日1ハングル、ってことに、なりそうです。

と思って、もう今となっては毎朝お馴染みの
韓流ドラマを見ていますと、

<王様の耳はロバの耳。。王様の耳はロバの耳。。>
と主人公の女性のセリフに字幕が。。

ひょっとして、韓国にもこのことわざがあるとか???!
と思ったのですが、どうやら違って、それは日本向けの翻訳で
韓国語では、<竹林には言葉が住む>と、そう言うです。

それで、

<あ~びっくりした!
 韓国にも、王様の耳はロバの耳、いうことわざがあるんやって
 思うとこどしたわ~。
 
 そら、わたしらかて、そうなんやから、
 韓国のひとかて、そら、竹林に穴掘って、叫びたいことの
 ひとつやふたつ、あらはるやろうし、って思いますやないの。。>

と言っていたら、母が、

<あんたはん。。穴掘って、何か言いたいことでも
 ありますの??>と

不思議そうに、お尋ねになったので、ビックリ!!!!

<何をって!そらもう。。なんと申しましても、
 あんたはんの、ことやないですか、お母さん!!!
 他にいったいなにが、ありますの!!>

と、ほんとう、のことは言えないので(笑)

<何を叫ぶて。。。聞きたおすか?(聞きたいですか?) 
 ほな、私の叫びたいこと、言うたげましょか???
 ほんまに、よろしの?>

と不気味な笑いとともに、おうかがいをたててみたところ、

<どうでも。。よろし。。>とのこと。。

あ~~~~~~~、残念!!!!!!(笑)

ひとはなかなか、
<ほんまのこと>いうのは、
言えへんのどす、母上。。。そう、竹やぶの穴やないと(*^-^*)

No.29 今年を表わす漢字は、さて。。。

毎年、この時期に、京都の清水寺で発表になる
<今年を表す漢字、一字>
今年は、やはり『絆』でしょうか。

ちなみに、自分のこの一年を振り返っての一字といえば。。
そうですね~ 今年は、<挑>でしょうか。

今年初めて挑戦してみたこと、っていうのが
いろいろあったので、

ホームページ作り、ブリザードフラワー、
新聞投稿、ラジオでお喋り、和のお花の写真集作りetc..

成果はさておいて、どれもワクワク面白かったこと!(*^-^*)

ちなみに、母に、

<清水さんで、今年を漢字一文字で表わすっていうの
 いつも、やったはりますやろ?

 今年の一字は、お母さんやったら、
 何の一字(なんのいちじ)が、よろし?>
 とたずねたところ。。

 返事がもう、びっくりクリクリ、

 <ふむ。。。。忍の一字(にんのいちじ)。>

 とお答えでした。

 ひょっとして、それって、
 <な>を<に>にしただけやないですの。

 というか、それを言うなら、お母さん、
 この一年、ひたすら忍の一字ってのは、
 まさに、わ・た・し のほうですよ。

 お母さまの辞書には、<がまん>という言葉は
 あらしまへんし、

 堪忍袋の緒は、あちこちキレまくって
 なかみが、もうどこへやらです。。(*^-^*)

No.30 最後に掌に残るもんは。。。

リハビリ

えらい人曰く、

  若いとき、いうのは、いろんなことにチャレンジして
  多くのものを、自分の手でつかむとき、

  老いに向かうとき、いうのは、
  持ってるいろんものを、ちょっとずつ手放す準備をしていくとき、

だそうです。

なるほど、いざってときには、誰でも、<思い出>のほかには、
なにもあちらへ持って行くわけにはいかへん、
身軽な<ひとり旅>なわけなんやから、

自分にとって<ほんまに大事なもん>を見極めて、
そうやないもんを、自ら、ちょっとずつ手放していく、
そういう時間なのかもしれません。

ただ、えらい人、さらに曰く、

  手放す、ことは、決して悪いことばかりではない。
  手放すたびに、失ってはいけないもの、が見えてくる、
  生きていくうえで、大切なことがわかってくる。
  
  なにもかもがみんな必要なわけではないこと、
  今まで誰に支えてもらってきたか、
  どんな優しさをもらってきたか、が見えてくるから、

や、そうです。そして、

えらい人、さらにさらに、曰く(笑)

  何ひとつ失うまいと、げんこつを握り締めていれば
  何もつかむことは、できない。けれど、

  大きく手を開いて、手放そうとしたときに、
  思いがけない、大切なものが、手のひらのなかに落ちてくる。

のだそうです。

思えば、介護が始まった頃も、それと同じように、
<これまで自分の人生に当然にあったもの>を
泣く泣く手放さないといけない
(あきらめる、という言い方もありますが)
そんなことが、ありました。

ときには、自分の意志で、またときには、意志に反してでも、
手放すことを選ばなくてはいけない、ときもありましたが、

考えてみたら、これって、
<大事なものを見極め、いらんもんを手放していく>
ということにおいて、この<老いに向かうための準備>に
似ているような、気がします。

そう思いつつ、我が身を振り返ってみるとき、これまで

あれも、これも、まぁええわ!! えいっ!と
いろんなものを手放してきて、今、これだけは!と
自分の、この手のひらに残ったものって、何なんやろう?

また、
えらいひとの言うように、執着を捨て、手のひらを開いて、
あれも、これも、もうろしおすわ!と、手放していったかわりに
私の手のひらに、思いがけず落ちてきたものって、
何なんやろう。。

あれこれ、考えてみて、
まだ<極めつけの大事なもん>というのはわからへんけど、

思いがけず、手のひらの上に落ちてきた<大切なもん>のほうは、
これやないかなぁ。。と思えるもんが、ひとつあります。

それは、

<ハリーポッターと炎のコブレット>の本のなかで
主人公のハリーポッターが、これからのことを案じているとき
森の番人、ハグリッドが、ハリーに言ったセリフそのもの、

What is coming will come, and we will meet it when it does.
(来るもんは、来る!来たときに、受けて立ちゃええ!!)

そう、思いきる自分、思いきろうと思える自分、です。

介護の日々とは、まさにハプニングの連続で、
思いがけないことは、毎日のようにやってきます。

予定はすべからく、いちおう、という枕詞つき、
あてになるはずのひとが、まったくあてにならならない
ことがわかるのは、日常茶飯事(笑)、

その一方で、思いがけず、いろんなひとから
多くの助けを得ながら、とりあえず、

一日一日、ひと山ひと山、越えてきたってのが、
正直なところで、

  そのときそのときを、<なんとかなる!!>思うて
  信じて、やっていくのみ!
  ないもんはない!あるもんはなんでも使うてみるべし!

生来が、心配しぃ~の私が、そう思えるようになったのは
まさに、出たとこ勝負の介護生活のたまもの、と
言えるのかも。

そう思えば、
介護生活=ただただ自分から何かを失っていくばかりの日々、
というわけやのうて、むしろ、

介護しながら、
<正しく老いて>いかしてもろうてるのかもしれへん、
というふうにも思います。

そやなかったら、きっと、捨てるのがほんまに苦手な私は
なにひとつ捨てることなど、できひんかったかも、ほんで
毎日、心配するために朝目覚めていたかもしれません(*^-^*)

ちなみに、ベッドに寝転んで、おいっちに、おいっちに、と
ペットボトルを持ち上げている自主トレ中の母に、

<なぁ、お母さん、これだけは、人間、最後までもってんとあかん、
 いうもんは、なんですやろうねぇ~>

と、尋ねてみたところ、
ペットボトルを力強く揺さぶりながら、ひとこと。。

<なにくそ魂!!>とのお返事が、かえってきました。(*^-^*)

来年は、<なにくそ魂!Tシャツ>作って、売りましょか?
果たして、売れますやろか(笑)

No.31 聖徳太子のたいしクンをめぐるあれこれ。。

たいしクン

とある町役場の玄関口、
お祭りのたて看板の隣に、
ひっそりとたたずむ二人の人物、
正確には、ひとりの人物と、一体のゆるきゃらクン。

それが、
ゆるきゃら、<たいしクン>と
たいしクンのマネージャーである、町職員のWさん。。。

昨日の深夜、なんとなく、寝付けなくて、
何気なくつけたテレビの画面に映っていたのが、
このふたりで。。

聞くところによれば、
今はやりのゆるきゃら、のひとりである、
たいしクンは、日本人なら知らないひとはまずいない、
かの有名な、<聖徳太子>の、ゆるきゃら、であり、

そのマネージャーとして、隣に伏し目がちにたたずんでいるWさんは、
T町の町役場に勤める、れっきとした地方公務員さんで、
この度、たいしクンのお世話係に抜擢!!との、町長さまよりの
名誉ある、辞令を拝されたお方なのでした。

が、しかし。。。

お祭り当日の役場の玄関、
おとな、こどもを問わず、たくさんのひとが行き来するなか、
だれっひとりとして、看板の隣にたたずむ、この二人に声をかけようと
するものはなく、皆、目の前を、急ぎ足で通りすぎるばかり。。

実は、この、たいしクン&Wさんには、
ひとに言うに言われぬ、大きな悩みがあったのでした。

それは。。。

近年、ひこにゃん、に始まり、最近、近所においては、
どうたくクン、といった、いわゆる<ゆるキャラ>ブームが
日本各地で巻き起こっているのにもかかわらず、

T町における、<たいしクン>の人気は、さっぱり。。

町の行事で、さまざまなイベントに参加するも、
今日のように、二人して、さびしく、ひっそり、隅にたたずんでいるのみ、
と、そんなつらい日々を過ごし続けていたのでした。

ある日、そんなふたりの様子をみかねた、ある町職員の方が、
ひこにゃんの生みの親であり、ゆるきゃらブームの火付け役、
ゆるきゃらファンのみなさんからは、<神様>と呼ばれている方に、

たいしクンの現状について相談に行ったところ、
よし!それなら!と気持ちよく、たいしクンのイメージアップ作戦を
引き受けてくださったのでした。

日をおかずに、T町を訪問された、ゆるきゃらの神様に
ついに、たいしクンは長い間、ひとり胸の中に秘めてきた、
自らの葛藤を、吐露し始めました。

<神様、僕だって、本当は、ひこにゃんやどうたくクンのように
 思いっきりはじけたい!のです。。だけど。。。
 僕は、あの、誰もが知っている聖徳太子さまのゆるきゃら。
 彼らのように、飛んだりはねたりしては、聖徳太子さまの
 イメージが。。。>

それを聴いた神様は、ひとこと。

<たいしクン!!聖徳太子だから、こうじゃないといけない!って
 そんなこと思っているのは、たいしクン、君だけ、だよ!!
 君自身が、自分を縛って、苦しんでいるんだ。
 君が、変わらなくちゃ!
 思いきって、もっと、みんなの心のなかに飛び込んで
 いかなくちゃ、なにも変わらないんだよ!
 
 Wさんが君をみんなに紹介するあいだ、黙って横に立って
 いたんじゃ、ダメなんだ!!
 Wさんの話のなかには、必ず、いくつもの、
 <ツッコミどころ>があるはずだよ!! そこをおさえなくちゃ!
 う~~んと大きな動きで、ええ~~!とか、およよ~~!とか
 からだぜんぶを使って、気持ちをみんなに伝えなきゃ!!>

そして、神様は、横でうん、うんと頷いているWさんにも
厳しい愛のムチを。。

<Wさん、Wさんには、笑顔が、ない!! 
 あなたが笑顔にならないで、子供たちが笑顔になれますか?!
 もっと、自分から、この役を楽しまないといけない!!
 そして、たいしクンがいつでもつっこめるように、
 あなたも、たくさんボケなければ、いけません!>

お二人とも、やってみてください。。

との号令を受けて、

Wさんは、若干、ひきつってはいるものの、笑顔を見せ、
たいしクンの紹介のなかに、ぎこちなくはあるものの、ジョークを混ぜ、

またWさんの頑張りを感じ取ったたいしクンも、
これまでにはなかった、大きなジャンプ一番!で、Wさんに駆け寄り、
No!No!!の手振りのジェスチャーをするとみたら、

今度は、あっという間に部屋の反対隅にまで走り出でて、
オヨヨ~~と泣きくずれるまねをする。。

と、二人して、神様からのお告げにしっかりと応えるべく
たいしクンイメージアップ作戦に文字通り、捨て身で
取り組んだのでした。

数日後、いよいよその成果を見せるときが、やってまいりました。

ところは、町役場のすぐ隣にある、ちょっと小さめの保育園の
お庭へ出る玄関。

お庭には、数十人の園児が、すでに集まって、
ゆるきゃらが来るとか。。ゆるきゃらとは、なんぞや??と
たいしクンの登場を今か、今かと待っています。

そこへ、登場した、たいしクン&Wさん。

登場時こそ、緊張のためかWさんの顔はひきつっていましたが、
保育士さんからの紹介をうけて、たいしクンの紹介を始める頃には
満面の笑顔!!そして、たいしクンの紹介のなかでは、
わざとなまえを言い間違って、
飛びかからんばかりの、たいしクンからのツッコミを受け、
<あっ、しまった!!>の困った顔まで作れるまでの
成長を見せてくれたのです。そのうえ、

はじめまして!のご挨拶を兼ねて、たいしクンからみんなに
見せたいものがある。。とWさんが言い出したもので
なにが始まるのか???と思いきや、

なんと、なんと、たいしクンは、必殺技の、
フラフープまで、マスターしていたのでした!!!

さらに高度なことに、
1度目は、わざと、失敗し、園児たちに、あれれっ???!と
思わせ、Wさんから

<みんな~!みんなが応援してくれたら、たいしクン、
 ちゃんとできるんじゃないかな~! 応援してくれる??>

と、園児たちから、たいしクンへのエールを起こさせる、
という高等な技まで、あの、もじもじと恥ずかしげに下を向いて
たいしクンの隣に立たずむだけだった、あのシャイなWさんが
マスターしていたなんて。。。感涙もの。。

<たいしクン~、頑張れ~~~!!>という
みんなからの大声援に励まされたたいしクンは、みんごと、
ゆるきゃらの、おおきなずーたい、でありながら、
軽々とフラフープを回し続ける、という大役を果たしたのでありました。

こうして10分あまりの、たいしクンと園児たちの至福の時間は終わり、
園児達の、
<たいしク~~ン!大好き!! また来てね~~~~!!>
という、いつまでも鳴り止まないたいしクンコールのなかを、

たいしクンとマネージャーWさんは、お隣にある、町役場へと
なんども、なんども振り返り、手を振りながら、
歩いて帰っていったのでした。たいしクンも、そしてWさんも、
その後姿は、捨て身になることで、自分の殻を破ることができた!という、
充実感に、あふれておりました。パチパチパチ。。

と、こういう話だったのですが。。
いやいや、深夜にこんなに(1分間じゃないけれど)
深~~い話に出逢うことができたなんて。。
感動のあまり、昨夜はそのあと、
なかなか眠りにつくことができませんでした(笑)

それにしても。。
なんで、フラフ~プ?????と思っていたのですが、
今、その理由(わけ)が、わかりました。

聖徳太子と言えば、みなさま。。お札じゃなくって、
十七条の憲法にござりまする。あの、
<和をもって、尊しとなし、さからうことなきをむねとせよ。。>

つまり。。和→わ→輪→フラウープ、という
ことに違いありません、きっと、たぶん。。(笑)
聖徳太子さまも、これを見ればきっと大喜びなさるに、違いありません。

ということで、思いがけず昨夜は、
<自分の殻を破る>ことの、たいへんさ、と
たいせつさについて、しみじみと教えられたのでした。

No.32 なんにも考えヘンかったら、ええんどす!

そうそう、先週、訪問入浴の看護婦さんが来られたとき、
インフルエンザとノロウイルスが流行ってる地域が
あるという話になって、二人で、

<どうしたらええんやろうね~!
 とりあえず、マスクと手洗い、うがいはしてますけど
 もし、うつったらと思うと、心配やね~この時期は。。>

と話しあっていたところ、

またしても電動ベッドの上に寝ながら
白い天井をじっとみつめていた母が、ニコニコ笑顔で、

<なんにも、考えへんかったら、ええんどす!>と、ひと言。

<へっ?>

<そやし、なんにも考えへんのが、いちばん、どす!!
 あんたは、かからへんか、うつったらどないしよう。。
 どこが変や。。。って心配ばっかりしてるさかい、
 インフルエンザさんが、<なになに?わたし、今呼ばはりましたか?>
 いうて、寄ってきゃはるんどす!>

<なんにも、考えへんかったら、ええのす。。
 なったとき、考えたらよろしおすのや!!
 あんたはあれこれ考えてるうちに疲れてしもて、
 抵抗力いうもんがのうなってしもうて、
 ほんで、いっ~つも、いろんなもんにかかるんどす。>と。(笑)

あのですね、
そもそも、私が懸念しているのは、
自分が罹患することではなくて、そうなったら母上のお世話をする
ひとがやはらへんようになるってこと、なんですヨ!

この前、晩ごはんのときに
お茶が息のほうへ入ってむせはっただけでも、

貴殿の伴侶歴うん十年の、ジコチューファーザーは、
眉間に皺よせて、ササッと自分の茶碗類を、テーブルの端へ寄せて、
<何しとるんや、お前は!茶碗に入るやないか!>
とのたまわりましたやろ?

背中のひとつも、たたけんもんか、と、
呆れ果てつつ、やっぱり、このひとには任せられへんなぁ~と
思ったものでした。

実際のところ、介護をしていていちばん厄介に感じるのは、
私は、日々のお世話そのものやのうて、
自分に何かあったら、母上のお世話ができなくなる、ということへの
不安をいつも抱えてないといけない、そのことのほうが
大きいような気がしますが、

よくよく考えてみれば、まぁ、できるだけ予防してれば
あとは、考えてもしかたのないこと、
母上のおっしゃるように、考えへんのが、いちばん!かも(笑)

奇しくも、これは、あの、私のお気に入りの
ハリーポッターのなかの森の番人ハグリットのセリフ、

<来るモンは、来る!来たら受けて立ちゃええ!!>と同じ考えです。

<ハリポタて、なんどす? ハリボテは知ってますけど。。>

と、ハリーポッターにはとんと関心のない母ですが、
これもまた、ご機嫌で過ごすための、知恵なのかもしれへんなぁ~
と思った次第です。ってことで、

<インフルさんのことも、ノロさんのことも
 考えへんようにしますので、どうぞ、寄ってこんように、
 お母さんからも言うといとくりゃす。>

と言うと、

<どうせあんたのことどす、
 考えんようにせなあかん、考えんようにせなあかん、
 てずっと考えはんのどすわ、アハハハ!!!>と。

まぁ。。たしかに。。ようご存じで(笑)

No.33 シャンプーリンスカップをめぐるあれこれ?

シャンプー・リンスカップ

この写真、近くのショッピングセンター内のお店で
<今いちばん売れてます~~!>という札つきで
並んでいた、商品なのですが、

その名のとおり、
<シャンプー・リンスカップ>というネーミングで、

本来は、顔にお湯がかかるので、頭を洗うのを嫌がる
子供達用に作られたものだそうで、

上からみると、半円形になった、直線の黄色い部分、
そこの面が、一面ゴムになっていて、そこを、
おでこに、ピッタリあてながら、お湯を流すと、
顔にまったくお湯がかからずに、頭を洗うことができる、

ということで、自分で、やってみたところ、
コツはあるけど2、3回で、見事に、顔にまったくお湯をかけずに
シャンプーした髪を流せました。

実は、これを買ったのには、わけがありまして。

長い寝たきりのあいだに母の髪が
白髪でいっぱいになってしまったので、
ブラウン系で、染めてみたら、
若返って気分もよくなるかな~と思って、
かねてから勧めてみるものの、いつも、

白内障手術をして数ヶ月の目に<お染の液がはいるから、いやどす>と
ずっ~と拒み続けていたので、

このシャンプー・リンスカップを使えば、目に流れ込まないから!と、
安心させて、これで実行できる!イイモン見つけた!!って
大喜びだったのでした。

使い方の説明をしたところ、本人も、

<ふむ。。。全然、目、濡れてへん。。。ほんまや。>とよ~~やく
その気になりかけたところへ、

またタイミングの悪いことに、ジコチューファーザーが
やってきて、
<なにをしとるんや!!これは、なんや!!! 
 こどものおもちゃか!!>と、睨みつけるもんで、

<髪を染めるときに。。>と説明しかけたところ、

<うちのなかにだけいるのに、なんで髪を染めるンや!
 白髪だらけでええやろ!! 誰にも見せるわけやなし!
 なにを今頃、染めるとか。。。>

と、母が、

<お父さん。。砂かけばばあ、になってる、って言われたさかい。。>

<砂かけばばあて、何や!!>

<げげげの。。>

<誰に言われたんや、砂かけばばあって。。>

無言で、私をほうをチラ見する母。
(うそや~ん!濡れ衣ですって!
 自分で、そう言わはったんやないですか!!)

<砂かけばばあの、どこが悪いんや!!
 髪の毛なんか、どうでもええ!

 だいたい、お前の頭なんか、だ~~れも、気にしたらへん!!
 誰が、お前のあたまなんぞ、見たはるんや!!!
 気にしてんのは、お前だけや!>と、どなる父。

黄色いシャンプー・リンスカップを頭にかぶったまま、
暴言の数々を黙って、聞いていた母が、最後の三言のところで、
急に、ニッ~~~コリ、満面の笑みに。。そして、ひと言。

<そのことば、そっくり、あんたはんにお返しいたします♪>

毎朝、お出かけ前に
ポマードべったりで、櫛で頭のセットをするのに
30分近くかけておられる、ジコチューファーザーは、このひと言に
怒髪天を衝き、怒りのあまり、回れ右で、

<お前と、わしと一緒にするな!!>と捨て台詞を残し退散。

今日も、母の<技あり、1本勝ち!!!>、勝負ありです(笑)

と、冗談はさておき、
先日、訪問介護のスタッフさんが来てくださったときに、
このシャンプー・リンスカップを見せたところ、

訪問されてる患者さんのなかに、
のどに手術をされておられる方とか、いらっしゃるときに
お湯が入るのをとても気にされることがあるので、
そういうときに、使えるかも、しれませんね!

とおっしゃっていたので、
こういうものがあるって情報がお役に立つことがあるかも
しれないと思って、写真に撮ってみました。
もちろん、シャンプー嫌いのお子様にも使えます。

ちなみに、大人用のシャンプーハット、も
介護用品カタログにはありますよ!

No.34 出たとこ勝負とは。。。

<足元が寒いなぁ~。どうなってんのや!>という父に、

<<出たとこ勝負>に、なってますのんか?>
というのが、今朝の母から聞いた第一声。

ん???出たとこ。。勝負??。。何が?。。誰が??
と思っていると、案の定、父の怒声。

<出たとこ勝負って、なんのことや!!
 なんでエアコンが、出たとこ勝負なんや!!
 そんなんやったら、壊れとるってことやないか!!
 この前買うたばっかりと違うのか!!>

鬼の形相はまったく意に介さず、ニコニコ顔の母は、

<おとうさん、出たとこ。。いうのになってましたら、
 エアコンがどこにひとがいるか、探してくれはって、
 温っかい風が、ひゅ~って足元に、くるんどす。
 なっといやすの? 出たとこ勝負に?

って、母がここまで喋って初めて、合点。

つまり。。母が言いたいのは、エアコンの機能のひとつ、
<いるとこサーチ>のことでありまして(笑)

それは、出たとこ勝負、やのうて、いるとこサーチ、どす、
言うと、

<よう似たもんやおへんか。。>とこれまた、意に介さない母。すると、

<なんで、エアコンの風に追いかけられなあかんのや! ほんで、
 何人もひとがいたら、どうなるんや!! 風が迷いよるのんか!
 そういうたら、こんなもんにしとったさかいに、
 ほんで、寝てるときにワシの顔に風がずっと当たってたんか!>と
さらに罵声。

ふむ。。何人もいたら。。。
たぶん、あんたはあっち!わたしはこっち!って
分かれはるんとちがうやろか。。と考えていたところ。。

<説明書はどこや? 説明書も読んどらんのか、お前らは!!!>
とさらに怒声に追っかけられた母が、ゴソゴソと
なにやらエアコンの説明書らしきものを、出してきて。。

<出たとこ勝負。。出たとこ勝負。。>といいながら、
ページをめくり始めておられますが、

お母さん、出たとこ勝負、は、載ってへんと思いますわ(笑)
それから、お父さん、あんたが、説明書、読みなはれ!!(笑)

う~ん、それにしても、こうして字にすると
まったく異なったものなんだけれど、不思議に、こう
口にすると、母じゃないけれど、似た感じが、
するんですよね~。

<いるとこサーチ>と<出たとこ勝負>。なんでやろ???(笑)
ひとの脳って、やっぱり、深いなぁ。。

それにしても、
<出たとこ勝負のエアコン>って、
そんなんあっても、恐いやおへんか?(*^-^*)

No.35 あっちか、こっちか。。。それが問題どす

<何をしゃはりますねん!!
 これは、あきまへんやろ? いくらなんでも!!
 ちょっと、ちょっと、来て、見なはれ!! これ! これ!>

テレビを見ている母のそばで、夕食の支度をしていると、
突然、パーカーのわき腹を引張りながら、母上が叫びました。

<もう、なにごと、どす?>と、尋ねてみれば。。

<これ、由緒あるお寺のふすま絵どっせ!!!
 そこへ、なんとまぁ、春キャベツ、描いたはりますねん。。。>

<へっ?>と、指差された画面を見てみれば。。

<それ。。。蓮の葉やないですの。。。>

<へっ? キャベツちがいますの??>

もう、忙しいのに、ええかげんにしとうくりゃす。。その1

そして。。。

毎日、寝る前には、母上の静脈炎の足のお世話をします。
まずは、寝ている母のはいているホームカバーをはずして。。。

と、いつもどおり、外して足の横において、
新しいホームカバーを箪笥から出して、足の横において。。

と、考えごとをしながらやっていたもので、
どっちが、はいていたもので、どっちが箪笥から出したものか
わからなくなってしまいました。

というのは、ホームカバー、
膝が曲がらないので、靴下が履けない母は、
ホームカバーなら、床において、足の先のほうをちょこっと
差し込んで、あとは、あの落ちたものを拾う、あの
リーチャー(マジックハンド)で、かかとのほうを
ひっぱって、ひとりで履く、というやり方をとってるのですが、

なかなかしっかりとした滑り止めのついているホームカバーは
貴重品で、いまのところ、ライフで売っているホームカバーが
一番ピッタリくるもので、いつも、まとめ買いをしていて、

なので、同じ色、同じサイズ、同じデザインのホームカバーが
いっぱい、あって、均等に使うので、くたびれ具合まで
同じなわけで、

今夜もまさに、そのまっ~~たく同じものが、2つ
ベッドの上に並んでいて。。

<どうしよう。。どっちかわからへんようになってしもた。。>

<へっ??! なんどす??>

<そやし、どっちが今日履いてたもんか、どっちが、
 新しいのか、わからへんようになってしもた。。>と言うと、

<なんでわからへんのどす?
 そんなもん、すぐわかるやおへんか!!
 においでみたら、よろしいやおへんか♪>

<においでみたらって。。>

私は、言い訳するわけではありませんが、
お下の世話するのはぜんぜん、大丈夫なのですが、

一日履いていた、ホームカバーのにおいを嗅ぐのは、どうも気が。。

すると、見かねた様子で、母が、

<何をしといやすの!!かしなはれ!!
 はよ、どっちか、かしなはれ!!!>と言われるもんで、

とりあえず、母に近いほうのホームカバーを手渡すと、

<あっ!わかりましたえ!! こっちは、新しいほうだす!!
 石鹸のにおいがしますさかい、まちがいおへん!!>

とおっしゃるもんで、

<そうか~、こっちが新しいほうやったんやね、おおきに!!>と

履かせようとすると、ダメだしされ、

<あっち!! あっちのほうを、渡しなはれ、早う!!!>と。

でも、<そっち>が新しいのならば、<あっち>のほうは
一日履いていたほうなわけで、べつににおいを確かめなくても
いいではありませんか、ねぇ!!

<もうわかったんやから、あっちは、よろしいやおへんの?>と
言うと、

<あきまへん!!!あっちも、確かめとかんことには!!
 気になるさかい、早う、かしなはれ!!!>と。

仕方なく、<あっち>を指の先でつまみながら(笑)
ポィッと母のほうへほってみたところ、ただちに確認作業に。。そして

<やっぱり、こっちは、今日履いてたほうだす!こんでよろし!
 ほれ、あんたも、においでみよし♪>って。

いやや!いうてますのに。。。 
こちらが、ええかんげにしとうくりゃす。。その2です。

そして、
<あっち>を手に、お部屋から退散しようとした私の背中に、
厳しいひとことが。。

<なぁ。。
 あんたはん。。今度から、アレ並べて置くのは、やめなはれや!>

わかっとります、ハイ。 (*^-^*)

No.36 テレビがふたつに。。。

ダイエット体操だよ~!

<きとうくりゃす!(来てください)
 はよ!(ただちに!)
 テレビがふたつに、なってしもうたんどす!!>

と、お部屋から声が。。。

夕食の片付け、静脈炎のお薬塗り塗りなど、
やっとこさ、今日一日の用事が終わったかとおもいきや。。

はぁ~、もうっ!
と心の中で悪態をつきながら(笑)
お部屋にはせ参じましたところ、

<ほれ! ほれ!!! あれ見とうくりゃす!!
 何にもしてへんのに、あないになってしもたんどす。>

と指差す先に、縦に2画面に分割された画面が。

<どこ、さわらはったん?
 チャンネル、持ってはりますやろ??
 いらんこと、せんでもよろしいのに。。 
 なにをしゃはったんどす??!>

とたたみかけるように言うと、

<なんにも、してしまへん!!!
 どっこもさわってへんし! チャンネルも持ってしまへん!!>
と、猛抗議。

<なんにもせえへんのに、おかしなことになりませんやろ?
 なんかしゃはったさかい、こないなったんどすやろ??!>
 怒らしませんさかい、言うと~みやす!! 何しゃはりましたん!>
(と、すでに、怒ってますけど(笑))

<そやから、何にもしてしませんのや!!
 はよう、直しとくりゃす!!ひとつにしとうくりゃす!>

と、チャンネルをずずぃ~~!と差し出されたもんで

仕方なく、心あたりの画面のあたりをあちこちさわって
みるものの、まったく2つになった画面は、そのままで、
20分くらい、ああでもない、こうでもない、といじくりまわしていたところ

背後から、ひとこと、
<さっさと、しとうくりゃす。。鈍(どん)やなぁ、ほんまに。。>
と、聞こえてきたので、そこでプッツンとキレてしまいました。

なにせ、生まれてこのかた、ずっ~~と
<あんたは、ほんまに鈍(どん)なんやさかい!!>と
  鈍=不器用
言われ続けていたもんで、この<鈍>でブチッときれた後はもう。。

<なんで、いらんことばっかり、しゃはるんどす?>
<ちょっとは、手かからんように協力してくれてもええやないですか!>
<いっつも、そう。。私がしんどいときに限って、
 ややこしいことばっかり言うてから。。嫌がらせ、どすか!>
<なんにもしてへん。。とか、うそばっかり言うて責任のがれして!!>
<自分の都合が悪うなったら、いっつもうそ言うてごまかしてからに!>
<そうやわ、私を困らせるのが、生きがいなんどすわ!わかってます!>

こうなると、止まらないこと、止まらないこと。。
で、挙句の果てに。。。

<お母さんのおかげで、わたしの人生は、メチャクチャどす!!>
<なんで私ばっかり、こんなことせんなんの?
 家族でも、家族ヘルパーとかって、報酬ほしおすわ、ホンマ!>

と、ダダダッ~~~と、ベッド上の母に向かって、
連続口撃をしかけていたところ、母が、テレビを指差して、

<あっ~~~!!!なんか、書いてありまっせ!!!!!>
 ひとつに、なりましたえ!!!>と叫んだので、
テレビのほうを振り返ると、

<これは3D放送です。。etc..
3Dテレビでないお客様のところでは、画面が2つになります。>

との文字が。。。

<3…D…  ええっ~~~!!!>

そうなんです、恥ずかしながら知らなかったのですが、
3D放送っていうのが、BSのほうでは始まっていて、
対応テレビじゃないところでは、縦に画面が、その番組だけ、
2分割になるのでした。。ということは。。。

母のせいではない(汗)
テレビの注意書きを見ながら、固まってしまいました。

テレビのせいだった。。。。
とはいえ、もう、これだけ罵倒し続けたあと、
<あなたは何もしてらっしゃいませんでした。
 嘘つきと言って、ゴメンナサイ。。私が間違っておりました。>
と、素直には、なかなか言葉が出てこず。。。
どんな顔してはるんやろ。。<どや!!>って顔やろなぁ。。と

ベッド上の母のほうをふりむく勇気がわいてこず、
テレビ画面を見たまま、この状況、さて、どうしたもんやろか、と
どうおちをつけたらいいか、と、困っていたところ、背後から。。

<あれは、ほな、あちらさんの都合、いうことどすか?>とお尋ねが。。

<みたいどすな。。。>と短く答えつつ、
覚悟を決め、母のあの<どや顔>を想像しながら、
おそるおそる、ふりかえると。。

<そうか!ほな、よろし!
 テレビもひとつにもどったはるし、そいで、よろし♪ 寝まっさ!>
と、悪口なんぞ、ひとっことも聞いたことない、というような
ニッコリ満面の笑み♪

はぁ。。。まさかな~ 3Dとはなぁ~。。。

細かいことは覚えてませんけど、なんかわからへんけど
勢いにのって、えらいひどい暴言を吐いたような気がして、
<悪いことしたなぁ。。。>と、反省、したものの、

いやいや、
それでも、<あんたは、ほんまに鈍やから!>のひと言があったから、
お互いに、おあいこって気もするしなぁ。。。と
素直に、<ごめんなさい>が言えないのが、
家族、のやっかいなところで。。

ココロのなかで、お母さん、ごめんね、言い過ぎた。。と謝りつつ、
<これは、あれですわ、地デジのせいどすな!!!!
 地デジなんて、誰も頼んでへんのに、勝手に決めてからに!>と
言いながら、部屋からすごすごと、退散を決めこむと、

背後からは、
<おやすみ、すみ、すみ~~~~!!!>と明るいご挨拶が。。。

あ~、今日は、ホントに、暴言の数々、どうかお許しあれ!!!
心にないこと。。あと、ちょっとあること、も(笑)

明日、おわびに、都こんぶ3パック、買ってきますさかい。

ちなみに、母は、3Dのことを<さんでーはん>と呼びます。(*^-^*)

No.37 腹が立ったときには。。。

ベリーロール、と言ってもわかりにくいでしょうか、
棒高跳びの背面跳び、

片方のひざがまったく曲がらない母は、
ベッドの柵に左手をかけながら、このベリーロールの姿勢で
ベッドに寝ます、というか、正確には<落ちる>と
いったほうがいいのかも。

で、おきる時は、これまた左手でベッドの柵をつかみながら
真っ直ぐなからだごと左の斜めのほうにずれていきつつ、
電動ベッドのスイッチを押し続けて、
少しずつベッドの高さを上げながら、ストンと
床に足をおろします、正確には、落ち、ます。

片方の膝がたとえまったく曲がらなくても、
電動ベッドで、腕に力があれば、こういうかたちで
自分で乗り降りは可能です。
初めてみるひとは、とてもビックリされますが(笑)

ただ、これをやるには、左腕の力がいのちなので、
毎日、左手の筋トレは、熱心にやっておりました。

で、外からもどったわたしが、母の部屋へ向いながら、

<あ~、もう腹立つなぁ~!!>
とひとりブーたれていると、

(師走でみんな気がせいてるのか、なんかこうこちらは、
 なにもわるいことしてないのに、やけに不機嫌な様子を
 されることがあったのでした。)

母が、ひとこと

<腹が立ったら。。。。寝たらええんどす~!>

と言いながら、見事な背面跳びで、ベッドへ着地!!

<ほれ、こうしたら、横になりまっせ!>とニコニコ顔で
おなかをさするしぐさ。

さいですな、今度怒らんなんことがあったら、
さっさと、横にならしてもらいます。

というか、だいたいいちばん、ムッとするときが多いのは
この部屋にいるときやさかい、そのベッドのお隣の
空いたところにでも背面跳びをば。(*^_^*)

No.38 一日暮しの文 ~北村寿安先生~

介護続けていると、ときに、
<いつまでこれ、続くんかなぁ。。>とか、
まだ来ぬ先を憂うてしまう、なんてことも正直あって、

そういう気分のときには、クリスマス商戦でにぎやかな
ショッピングモールの楽しげな音楽や山と詰まれた可愛らしい
サンタさんグッズまで、なにやら空し~く見えてきて(笑)

まさにクリスマスキャロルのお話のあのスクルージ爺さんの
ような心持ちにもなろうかというものなのですが。。

そういうときには、机の横に貼ってある、この
<一日暮しの文>に目をやり、

また、明日から、目の前の1日、1日があることに、
感謝をもって、丁寧に生きるべし!と思うことにしてます。

北村寿安先生というのは、徳川時代の名医で尾張大納言に
召されていましたが、その膨大な薬礼もすべて貧民に施し
無料で施薬施療したばかりか、金銭を贈って救済した、
とかいうえらいお医者さんなのだそうですが、
この一日暮しの文は、まさに、なんだかな~ってときの
元気の素、です。

 *************************

          一日暮しの文

1日暮しということを覚悟せしより、精神甚だ健やかにして、
また養に術を得たり。

いかんとなれば、一日は一月の始め、千年万年の始めなれば、
一日をよく養うことを得たれば、生涯を養うも難きにあらず。

一日暮らすほどの勤めをなせば、その日過ぐるあり。
それを明日はどうしてこうしてと、また相手もなきことを苦にして、
しかも明日にのまれ、この日は怠りがちなり。

終に明日に至れば、またその明日の工夫をするは、全体持ち
越して今日なきものと思うゆえに、いつも気を遠くに費やし、
精神を労す。とかく明日のことは命のほども覚束なしといえばとて
今日の産業を粗末にせよとにはあらず。

今日一日暮らす程の勤めを、励み行うべし。たとえ如何なる
苦しみとても、一日と思えば堪えらるべし。一日一日と思わば、
退屈はあるまじ。

一生というは、永きように思えど、後のことやら、明日のことやら、
一年ないし百年のことやら、誰も知る人あるべからず。

明けても暮れても、今日という一日あるのみ。

                  北村寿安<一日暮しの文>より

    ********************

ふと、思いついたので、母に、

<お母さん、人間は今日のことだけ、心配してたらええ、
 そう、えらいお医者さんが言うたはるそうです。
 明日のことは、だれにも、わからへんさかい、
 そんな先のこと心配せんと、今日がエエ日になるように
 したらええんですって。。。

<へっ?。。。そらそうですやろ~あんた!
 昨日は、終わってしもてんのやし、明日はまだ来てヘンのやから!
 今日しかあらしまへんがな。。
 そんなことを、今気がつかはったんどすか?
 わたしら、な~~~~にも心配なんぞしてまへん!!!>

と、得意顔。

<そら、そうどすやろ。。。お母さんの心配は、私が
 み~~~んな代わりに、引き受けてますんやさかい。>(*^_^*)

No.39 ほんまには、わからへんこと。。。

運動会

そうそう、そういえば、今朝、買っておいたキウイが
一部、変な色になっていたので、そばにいた母に、
<お母さん、キウイって、足、はよおしたか?>
と尋ねてみたところ。。

真面目な顔をして、
<一緒に、はしったこと、おへんし、わからしまへん。。>と即答(笑)

(うちのほうでは、早く腐る、ことを、あしがはやい、と言います)

なるほど。。。

そういえば、少し前に、
<昨日、運動会で、走ってハードル跳んでる、夢見ましたわ。>

と、母が朝、話しかけてきたのですが、すぐあとで、
<そやけど、走りながら、<あ~これは夢やなぁ~、夢のなかなんや。>
って自分で、思いながら、走ってたんどす、おかしおすやろ?

と言って、クスクス笑うのですが、

最初、私にはその<可笑しさ>がピン!と来なくて、
なにがそんなにおもしろいのか。。と思っていたのですが。。

実は、母は、生まれてすぐ足が不自由になったので、
走ったことが、80年の人生のなかで、ない、のです。

私も、母が走った、という記憶はまったくなくて、
松葉杖が、母のからだの一部、のようにずっと記憶してきて
いたのでした。

これだけ長いこと、一緒にいて、毎日足の世話をしていながら、
私は、このひとが<生まれてこのかた、走ったことがない>
そのことがどういうことなのか、ってことを、ほんとうのところでは
まったくわかってへんかったんやなぁ。。と、
ちょっと、切なく、申し訳なく、思いました。

体調が悪かったりして、自分の気持ちに余裕がないときには、
お世話になっている、介護スタッフさんに対して、ときに
<何度も説明し、お願いしたのに、
 なんで、この足ではできひん、ことがわかってもらえへんのやろう。>
と、ガックリすることが、恥ずかしながら、これまであったり
したのですが、

ひとが、他人(ひと)の不自由さを、ほんとうに理解する、
ということは、実に、実に、難しいものだと、感じました。
だからこそ、もてる想像力を駆使して、その不自由さや痛みに
寄り添ってみようとする、ことが、大切なんやろうなぁ、と思います。

今日は、ちょっと、反省どした。(*^-^*)

No.40 ミックスフライやのうても、ええやないですか~

本日のランチ

<そろそろやな~て思うたら、もどってこんとあきまへんやろ?!>

来る日も来る日も、こうやってブツブツ言いながら
用事の途中で、飛んでやってきて、
<母with歩行器>を引きずり、引きずり、
ベッドへのご帰還のお供をさせていただいてます。(笑)

歩行器を使っても、
<1日1時間を超えては立っていてはいけない>
というお約束、指きりげんまんまで交わしている、というのに、

気がつけば。。ぐずぐずといつまでも居間にい続け、
<ぜんぜん、だいじょうぶ~~!>とか、のんきに、のたまうので、

<あ~もう、ウルトラマンみたいに、1時間前になったら
 胸のランプが光って、ピッコンピッコンって鳴り出したら
 ええのにねえ。。>

と言ってるときに、<そうや!>とグッドアイデアが到来!

キッチンタイマー!!!! 
ひも付きの、キッチンタイマー!!

<そうや、お母さん!
 キッチンタイマー、ひも付きのが、あるさかい、
 それを首から提げてるのは、どうどす?

 お母さんがベッドから降りるときに、回しておいたら、
 時間がきたら、音が鳴るさかい、あ~1時間って、わかりますやろ?
 そうしましょ!!
 そしたら、私が何回も飛んできて、ベッドまで引きずっていかんでも
 よろしいやろ?>と、言うと、

<ふむ。。>としばしの無言。
きっと、キッチンタイマーを首から提げた自分の様子を、思い浮かべて
みたのだと思います。

<いや。。どす。>

ただ、お返事が返ってくるまでに、若干のお時間があったので、
もうちょっと押してみたら、案外<よろしおすけど。。>のほうに
ひっくり変えるやもしれぬ!と思い、

<お母さん、そやけど、これってものすごく<クール>え!
 なかなかのアイデアやと思いますねん♪>と、もうひと押し♪

なぜ、<クール>という表現が突然出てきたかというと、

今、NHKで、<クールジャパン>っていう番組の放送があって
外国の方が、日本のさまざまな生活習慣のなかで、
素敵だ!魅力的だ!って思うものを、討論し合うのですが、
それを一緒に見ているので、

うちでは、<クール>=<素敵なこと、魅力的なこと!>
になっていて、それで、クールだからと、オススメしたのでした。

母を見ると、
<ふむ。。>と再び、無言のご様子。
と、思っていたら、突然、満面の笑みで、

<そやそや! それやったら。。
 飛んでこんなんひとが、持ってるほうが、よろしやろ?
 あんたが、首から下げてなはれ♪>

<・・・>

なんで、わたしが、首からキッチンタイマーを下げんとあかんのか。。

<なんでやの。。私がそんなん下げたまま忘れてて、
 スーパー行って、そこで鳴ったら、どうしますの??!
 何事かと思て、みんな、集まってきゃはるやないですか!!>

と言うと、その光景が、頭に浮かんだらしく、
ものすごく嬉しそうな顔で、ひとりで大笑いしながら、

<よろしおすやんか~。。<クール>どすし。。>

お母さんがするのはクールでも、
わたしがするのはクールではない、とあれこれ
説明していたところ、また例によって、ジコチューファーザー登場。

<何をごちゃごちゃ、するとか、せんとか、ケンカしとるんや!>

母が時間がきたら、ちゃんと横になれる方法を考えてるんやけど、
お父さんも、ちょっと、気をつけててもらえへんやろか。。
と説明し始めたところ、

<お前は、アホか!自分の面倒も、自分でみられんのか!
 なんでわしが、そんなことせんなんのや!!! 
 お前がしっかりせんから、子供に、こんなこと言われて。。

と、
お気に入りの、父のおでんち(ベスト)の、ボタンが
てれこになって、かけてあるのを、
だまっ~って、1段ずつ、かけ直している母に向かって
怒鳴りまくった後、

和風にするか、洋風にするか、ホテルのランチメニュー表を
母に見せて、どちらがベターか教えろ!と言い、
さっさと、ええほうに、〇をせんか!と怒鳴り、

ミックスフライに大きく〇のついた、ランチメニュー表を
テーブルに忘れたまま、玄関へ。

その後を、ミックスフライに大きな〇のついたランチメニューを
握り締めながら、歩行器で追いかける母。

が、すでに時おそし、父はバイク置き場へと行ってしまったあとだと
気づき、

<おとうさん、おとうさん、ミックスフライのほうどすえ!!!!
 ミックス、フ・ラ・イ!!>と大声で叫んだあと
私のほうをふりかえり、

<聞こえましたやろか。。聞こえてへんのとちがいますやろか。。
 どうしよ。。忘れていかはった。。行ってしまわはる。。>

と、こんどは、バイク置き場の見える窓の下まで
おっちらおっちら、歩行器で(文字通り)ダッシュ!!!していき、
開かずの窓に顔をひっつけるようにして、
<ミックス、フ・ラ・イ!!ミックス、フ・ラ・イ!!>
と口パクを繰り返し。。

それに気づいた父がまた、バイクを置いて、
うちのなかへもどってきて、玄関から

<何や!ひとが出かけようとしてるときに、何を言うとんのや!!
 何を言うてんのか、全然わからんやないか!!
 窓にひっついて、何を言うとるんや!
 近所のひとが見はったら、アホやと思わはるやないか!>と怒鳴り、

母は、バイク置き場の見える開かずの窓から、父のいる玄関まで
歩行器で、また猛ダッシュしてもどり、

<お父さん!!これ、忘れていかはりましたやろ?
 ほんで、追いかけていきましたんやわ。
 今日の〇は、ミックスフライのほう、どっせ!!!!> と言いつつ、

ランチメニューの表を渡そうとすると、父は、

<これは、なんの紙、やったかいな。。。
 そうや、これがいる。。これがないとあかん、
 忘れるとこやった。。お前が隠してたんか!! 嫌がらせか!
 なにをしとるんや、長いこと立ってンと、さっさとベッドへもどれ!>

両股関節がダメになっているので、ベッドから立つためには
今、唯一、曲がる左足の膝が、母の命綱なので、
これを大事にしてもらいたくて、
ああしたらどうか、こうしてみたら、といくら考えても、

あきませんね~
いくら、クールなキッチンタイマーがあっても、これではネ(笑)

そもそも。。
ミックスフライ。。。でのうても、ええやないですか!!!

というか。。。また転倒する!!と、気を揉んでるのが
なんで、わたしだけなん。。

こういう事件(?)が、ほんまにしょっちゅうあるので、
あ~、あほらしすぎてやってられへん。。。
と思うのでした。(*^-^*) 

No.41 たらいの水の原理 by 二宮金次郎

二宮尊徳、いや、二宮金次郎、と聞いて、
薪を背中に背負って、本を読みながら歩く少年が
すぐさま浮かぶとすれば、それはきっと
同じ世代のみなさんって、ことでしょうか? (*^-^*)

昔、小学校の校門のところに像があって、
背中の薪の数が、日によって変わる!!!!
とかって、怪談のネタにしたりして。。
失礼おば、いたしました。

その勤労少年、二宮金次郎さんが
考えたものと言われている、<たらいの水の原理>
別名、「発顕還元の原理」っていうそうですが、

ある日、このお話を聞いてから、
介護の毎日が、ぐんと、はっぴーモードになりました。

有名な話なので、ご存じの方も多いと思いますが、

たらい、とは、ご存じでしょう、あの、
お水やお湯を入れる、器の、あの<たらい>です。

昔はアルミ製の大きな、たらい、が
どこのうちにもありました。

暑い夏の夕方になると、たらいのなかで、
赤ちゃんが、行水させられていたり、
おっきなスイカなんかも、冷やしてあったりした、あの、たらい、ですが、

大きなたらいをひとつ、そして、たらいを真ん中にして、
自分と、向こう側に誰かがいる、その姿を思い描いてくださいませ。

「たらいの水の原理」っていうのは、つまり、
こういうことらしいのです。

************

たらいの水を、自分のほうにかき寄せて、
どんどん集めようとします。すると、最初

よしよし、自分のほうへと、水が来たな~と一瞬喜んでも、
たらいの手前の縁(ふち)に、その水はあたって、

すぐに、また自分から離れて、たらいのまわりの縁にそって
向こう側へと、どんどん、逃げていってしまいます。

逆に、
向う側にいるひとのほうへ、水を送ろうと、
どんどん、相手に向かって、たらいの水を送っていると、
相手側のたらいの縁(ふち)にあたった水が、そのうち
知らぬ間に、ぐるっとまわって、自分のほうに、返ってきてる。

<ひとの幸せ>というのも、この、たらいの水の
ようなものである、という、そういうお話です。

****************

介護の毎日っていうのは、なかなかの強敵ですから、
ちょっとこちらが、ココロ弱りとかしたりしていると、
<どよ~~~ん!!>の暗雲が、
今がチャンス!とばかり、たちこめてきますし、

また、バタバタ過ごす日々のなかで、ふと立ち止まった瞬間に、

こうして、お世話申し上げてはいるけれど、
私のお世話は、いったいどこの、どなたが???
いやいや、あてになんてなりゃしない!!

ひとの世話してる場合などであろうか??
私の人生は??私の幸せは??? いったい何処へ!!!!
あ~、もう、こうしちゃおられんぞなもし!

なんて、やたら<焦りまくり>感に苛まれたりもしますが、

そういうときこそ、<たらいの水>のお話の出番です。

頭のなかにイメージします、たらいを。
そして、たらいのなかの<水>を、<しあわせ>だと
イメージします。

すると、
<どうぞ、どうぞ!>と他人(ひと)様のほうへ
お流ししている幸せが、どんどこどんどこ、たらいの縁を伝って、
こちらへ、やってくるではありませんか!

となればもう、こんなありがたいことはない。
ひと様のためにと、誰かを心尽くしてお世話して差し上げることで、
実はどんどん、その分、自分が幸せになっていってる、わけです。

ちょっと混乱しがちなのですが、このお話は、

 将来、自分の得になるから、お世話せよ!

ってことではなくて、

 他人(ひと)の幸せを考えたり、ひとを大事に思って
 心を尽くしていれば、それは、いつか自然と遠回りでも
 自分の幸せにつながっていってくれるのだから、
 ひとを大事にすることによって、ちゃんと、
 自分のことも、大事にしていることになってるんですよ。

ってことではないかと、思います。
これぞ、すべてのケアラー、介護に頑張ってるみなさんへの
力強い応援メッセージともいえます。

このお話を聞いて以来、
<たらいの水の原理>は、毎日をできるだけ気分よく過ごすための
私なりの、秘密の極意、となったわけで、二宮金次郎さんに
感謝!であります。

せっせと介護していている毎日は、
それは、お金やなんやといった、目に見える<得>、には
ならへんかもしれませんが、目に見えない<徳>には
ちゃんとなっていて、

毎日毎日、徳を積ませてもらっている、そのおかげさまにて、
ジコチューファーザーには決してどどかぬ(笑)高みへと
どんどん登っていってるので、私の日々の頑張りは

ちゃんと天国の神様のお目に届くように、
なってるので、あります。(*^-^*)

昔のひとの言葉で言うと、

 お天道様が見てはる

って、そういうことでしょうか。。。 

また、おバカなことを。。。と
お笑いでしょうけれど、<笑っても1日、怒っても1日>ですので、
この日記で、笑ってもらえたら、本望でございます。

あっ、笑顔になっていただけましたか!
あ~、また徳を積んでしまいました。(*^-^*)

No.42 足し算マジックの効用

以前読んだ本のなかで、真面目なOLさんが、
<会社の後輩のことで悩んでいます>と相談をされていました。

たとえば会社でイベントなど催しがあったとき、
後輩の女性社員たち数人が、準備のあいだは、ペチャクチャと
どこかに集まってお喋りをしていて、
いざ食事となると、急にやってきて、たらふく食べ、
さらに、後片付けもしないまま、さっさと帰ってしまう、

そういう後輩達の態度に、イライラしてしまう自分が嫌だ、
という悩み相談でしたが、

彼女への回答として、著者がその本の中で、

 人はすべて、その人の生き方に見合った結果が、
 いずれ、かたちはどうあれ、本人のところへ返ってきて、
 ひとりの人間のなかで、完結します。

 そのようにできていますから、後輩のことはあなたは
 何も気にすることなく、ほっておけばよろしいです。
 いずれ、そういう生き方をしてきた結果は、ちゃんと
 彼女たちのところに返ってきますから。

と、助言をされていました。

ずっと介護を続けていると、
介護をしていることによって、難しくなってしまうことが
いろいろと出てきます。

たとえば、長期の旅行や海外旅行に出かけることとか、
あらかじめ予定を立てて外出する、だとか
オシャレな服のことを考える間がないとか、
うちのことや、時間を気にしないで、のんびり気分にまかせて遊ぶ、etc..

それは、そのおうちの介護事情によって様々ですが、
そういうときに、みんながふつうにやってることが出来なくなって
自分だけなんだか<人生損しちゃった感>がフツフツとわいてきたり
することもあると思います。無理ないことで、あります。

私は、<信じるものは救われる~~>の、あの
ガマガマ教(笑)以外には、なにも信仰とか持っていない人間ですが、
そういうときに役立つオリジナルな<足し算マジック>なるものを
使っていて、つまり。。

先に書いた<人生、ひとりの人間のなかで必ず完結する説>
によれば、

こうやって、日々なんやかやと、ブーたれながらでも、
なんとか、介護生活を続けられてきているのは、
もちろん、いろんなひとにお手伝いしてもらってるおかげも
大いにありますが、

私達、ケアラー自身も、日々の暮らしのなかで、大いに、
<徳を積んで>おると、思うわけです。(笑)

なので、神様銀行に預けてある<徳預金>の通帳残高は
毎日、ちょっとずつ、ちょっとずつ、増えていっており、

この自己完結説によれば、
やがては、その徳預金のすべてが、将来の自分の人生のなかで、
(ちゃんと利息もつけてもらって)神様から、手元へと払い戻される、
ことに、なるわけです。(*^-^*)

なので、1日の家事やらお世話やらが無事に終わって、
部屋にもどって、ホッとひと息、ゴロンと横になって寝転ぶときには、

神様銀行の預金通帳に、また、今日の分の預金、いえ、徳が
あらたに記帳されているの図をイメージしながら、
<あ~、またまた今日も徳を積んでしまった~>と、
ひとりごちるので、ありました。(*^-^*)

<んなわけないだろ~!!>って思うひとも
あるかもしれないけれど、そこはそれ、ガマガマ教の出番であって、
<信じるものは救われる~~~!>なのです。(笑)

損だと思えば、<引き算>になるけれど、
積立預金だと思えば、<足し算>で、

これまでの自分の介護の日々をふりかえるに、
どうも、引き算よりも、足し算マジックで考えるほうが、
ガスター10よりも、うんと胃に優しい、気がして
それだけでも、<効果あり>だと思ってるわけなのでした。

また、最近ACのCMのなかで、面白い歌があって、
きっと、見たことある!って言われると思うのですが、

  一人でいるとき真面目な君も. 仲間に外されたくなくて.
  ほんとは駄目だと分かっていても. つられて迷惑かけてしまう.
 
  それでいいのか君の毎日. やっていいのかつられ迷惑.
  大人になるのかそのまま君は. それでいいのかと

っていうのがあって、これを知ってからどうも、

<それでいいのか君の毎日~♪>
とつい、家事をしながら鼻歌を、歌ってしまうのですが、
そういうときは、ベッドのほうから、
<へ~、よろしおす、よろしおす!>との母上の合いの手が入ります。

なにが、それでええんやな。。。チッ!!とかって
思ったりもしますが、まさにそういう

<なんだかな~>って、気分のときにこそ、
この<足し算マジック>が大いに、効果を発揮してくれます。

と言っていたら、迎賓館の拝観に当選したとのお知らせが
やって来ました。

あらら、これはひょっとして。。。。
神様銀行の<積立預金 徳>の利息の先払いかも!!
いと嬉し!(*^-^*)

No.43 石鹸をめぐるひと騒動 

いつも靴下などを洗濯機に入れるまえに
下洗いをしているので、
今日も始めようとしたら、
洗剤のアタックが、なくなりかけていて、
<あ~、洗剤がないなぁ。。。>とつぶやいていたら

カッタン(歩行器)をズリズリと後ろ手に引きずりながら
(手すりのあるところでは、できるだけ
 自分で歩こうとして、カッタンは、後ろ手に
 引きずって歩くクセがあり、
 いったいなんのための歩行器なんだか、
 わからないのですが(笑)

通りかかった母が、棚にある固形石鹸を指差しながら

<アタック、のうなりましたんか?(無くなったの?)
 ほれ、あれが、ありますないの!!
 お父さんの、ほれ、<顔洗い石鹸>!!>
 
<うっ。。顔を洗う石鹸。。。>

とっても、魅力的な提案(笑)ではありましたが、
さすがに、それはちょっと、いくらなんでも良心が。。。

と、思っていたところに、運悪く、
散歩からもどった父が、このやりとりを聞きつけて、

<ワシの石鹸を、何に使うんやて?!
 ひとの留守に、勝手に、ひとのもんを使いおって!!
 えっ、その靴下を洗うのにか!!!>

とまたまた激怒して、石鹸の棚に向かって突進してきました。
すると母がひとこと、

<お父さん、今日だけのことどっせ! 今日・だ・け!!>。

そのあとの晩ごはんは、最悪の雰囲気になり、
顔洗い石鹸は、いずこにか、しまいこまれました(笑)
洗いませんって!! ほんの、冗談ですがな~(*^-^*)

たださかのぼること数ヶ月前に、
これまた、父の洗顔用タオルを母がトイレの後に
手をふくのに使ったとかいう疑惑がもちあがって、

それ以来、父のタオルは、タオルかけにくるくると
巻きつけられて、洗濯ばさみで止められたのでした。

あのときは、たしかに、数日ぶりにお通じがあったと
喜びあってたときは、母はそこで手を拭いてたような。。(笑)

とにかく、怒りがさめやらない父を横目に
スタスタとベッドへもどっていく母が、
横を通るときに、ちっちゃな声で、

<ふん。。。タオルや石鹸やって。。
 ちいさいおとこ、やわ、ほんまに。。>

とつぶやくのが聞こえました。
失礼ながら、それには、全面的に同意いたしまする(*^-^*)

No.44 お花の写真をめぐるひと騒動

今年飾った写真

<あのな。。もう。。お花の写真は、よろし。。
 いりまへん。。>

ええっ!!
なんでどすの??いったいなにがありましたん?
あんなに喜んでおいやしたのに!!
キレイや、って、そう言うてはりましたやないの!!!
またジコチューはん(父)に、なんか、言われはったんどすか?!

お花の写真とは。。
うちの母は、昔から股関節が不自由で、車椅子に乗れないため

救急車で搬送されるか、病院の通院に
ストレッチャーに乗って行くか、以外では、
ここ30年ほど外出というものを一切したことがないもんで、

買い物のついでに、私が近くの公園などに咲いている
お花の写真を撮ってプリントしたものを、
電動ベッドのあたまのところに、飾っているのでした。
その、お花の写真、のお話です。

<ほんまのこと言うても、よろしか?>

なにがどす?
いつでも、言いたい放題やおへんか。。。
今更なにを、遠慮がちなこと言うてはりますの。。
いつもほんまのこと言われては、部屋行って泣いてますのに。。
はよ、言いなはれ、もったいつけて、あらたまってなんどす?

<あのな。。いつも、キレイ、キレイて言わんとあかしまへんやろ?
 なんや。。めんどくそ~て。。。>

め、め、めんどく。。。さい。。。とな。。
ええっ!! なんどす、それ!!

そもそも、いつ誰が、<キレイ!>言わんと、怒りました?
そんな褒め言葉、1回も、求めてしまえへんやないの。
いつも黙って、写真立てに、そっと入れ換えしてますやろ?

<そやかて。。外からひとがきゃはったら、
 お母さん、きれいやね~!このお花!!!いうて言わはりますやろ?
 ほな、返事せんならんし。。>

って、キレイやって、嬉しそうにしてましたやないの!!
<どや!!>って顔してはりましたやん!!
お花好きどす、言うてはりましたやないの!!

<好き。。ない。。お花の写真より、美味しいもんのほうが。。>

美味しいもん!!美味しいもんって、なんどす?
今日も、食べたい言わはったさかい、カレーにしましたやないの。
美味しい!いうてはったんは、あれは、嘘どしたん?
それに、なに?そもそも、お花と食べモンとは、
別のもんどっしゃろ? なんでいっしょくたになってますの?

<私は。。。美味しいもんのほうがええ。。
 お花が好きなんは、わたしやのうて、あんた、どっしゃろ?
 お花は、あんた、が好きなもんで。。私の好きなもん、やおへん。。
 今までずっと、がまんしてましたんや。。>

がまん。。。。がまんっって、何を?
それに、いつからどす??
いつから、ただお花の写真見て、感想ひとこと言うのが
そんなにストレスに、なってはったんどす?

<いつからて、あんた。。はじめから、どす。。>

初めから?!って、
もう8ヵ月もずっとお花の写真、撮ってきては、飾ってまっせ!!
そのあいだ、ずっとほんまは、いやどしたんか??

<ふむ。。。>

なんやそれ?なんどすのそれ? なんのイケズ(意地悪)どす??
もう、よろしわ。。

イヤイヤ我慢して見てもらわんならんことやないし!
もう、お花の写真はやめまひょな!!もう、もってきまへん!!
キレイ、キレイ、言わんでも、もうよろし!!
私の部屋に飾っときますわ!!!あの、ぎょうさんの、お花の写真!
みんなお部屋の壁に貼って、あ~!キレイ!あ~キレイ!って
毎日、眺めよおっつと!!

<そうしなはれ。。。それがよろし♪
 ほんで、美味しいもん買うてきたらくれたらそんで。。。>

今、美味しいもんを<買う>、言わはりました??
作る、やのうて、買うって!!! それって、
私が、作るもんは、美味しいもんの圏外ってことどすな!!

どこまで、グサグサとひとのココロを。。
なんや、こう。。。ココロのなかに、土足で踏み込んできて、
四股踏んで、帰られたような気分、なんですけど、母上(笑)

やれやれ、
よかれと思うてすることも、相手には案外
<かなんなぁ。。。>って思わせてることがあるて、
ようわかりましたわ。

美味しいもん、も買うてきますし、
写真も飾らしてもらう、いうことで、おあいこ、です!
おっしゃるとおり、私がお花好きやさかい。
そやけど、キレイやなぁ~って言わんでもよろし(*^_^*)

No.45 頑張らんならんのは。。。

少し前のことでした。いつものように、寝る前の恒例行事、
母の足の静脈炎のお世話をしているときに
部屋のテレビで震災関連の番組が流れていたのですが、

お殿様のごとく、私に足をスリスリされながら、
黙ってテレビを見ていた母が、突然、大きな声で

<頑張れ、頑張れ、ようひとは、言わはりますけど。。
 あんた、家族をなくしたり、家を失くしたりしたひとが、
 なにを頑張る気になんぞ、なれますかいな!
 なれるわけ、あらしまへんやろ?

 そやのうて、家も、家族もあるひとが、
 頑張ったら、ええんどす! 
 そういう、ひとらが、頑張って、
 みんな、のうなってしまわはったひとを助けてあげたら
 ええんどす!間違うてまっせ! 頑張るのは、そっちどす! >

と、テレビのアナウンサーに向かって、つっこみを入れるのを見て、

いつもなら、
<テレビに向かって、あれこれと文句言うのは、やめなはれ。>
小言のひとつも言うところですが、

そう言えば、そうやなぁ。。。と思い、

<ほんまやね~
 お母さんがコケて、ずっと寝たきりで横になったはったとき
 頑張れ!頑張れ!いうて、リハビリさして、悪いことやったね。。

 そやけど、まぁ、頑張って、動けるもんが、こうして、
 いっしょうけんめい、お世話さしてもろてますさかい、
 堪忍しとうくりゃすな。>

と、申し上げてみたところ、

<ふむ。。。そうどすえ。ほんま、ほんま(本当に)。。>と
言いながら、早々とおやすみの体勢へと。

なんか、返事にいまいち納得がいきませんけど(笑)
<日々是好日>、まっ、よろし。
とにかく明日も、また、動けるもんがせいだい
<頑張らして>もらいますワ(*^-^*)

No.46 汝、口角を上げるなり!

口角を上げるなり♪

今年は春から<とんでもない>こと続きの年で、

ジコチューファーザーが、何度も交通事故を起こす、
まだ明けやらぬ早朝、家の玄関に車が突っ込んできて
家の大黒柱がバキッと折れる、そして
突然、お医者さんから精密検査を受けろと言われるetc。。
(幸いなことに、大丈夫でしたが)

介護のほかにも、心配ごとは尽きず。
この半年で、悟ったことは、
<一難去ってまた一難>というが如しで、

心配しなくても、心配ごとの種は、次から次へと
うちのほうをまさに、ねらい打ちかと、思うほど(笑)
ちゃんと、途切れることなくやってくるってことでして。。。

今年はもう、ひがな一日、
歩いてるときも、自転車をえっちらおっちらこいでる時も、
はたまたショッピングモールで買い物カートを押しながら、
あるいは、お医者さんの待合室で順番を待ちながら、

つ・ね・に<考え事>をしているわけです。

何かしているときは、頭のなかはもう、それ、
<次にしないといけないこと>を考えていて、

よし終わった!よっこらしょ!と、いざ次に行こうとすると、
今度は、

<あれ?!今ちゃんと終わったっけ??!>と、
今度は、前のことが気になってもいっかい、確かめにもどり。。

といった具合なもんで、

介護している母からも、さいさい、

<あんたよりは、私のほうが、うんとしっかりしてますえ!
 私は、あんたみたいに、<ぬけて>しまへん!>

と言われる有様で(笑)

そう言われると、自分でも、そんな気がしてきたりもして(笑)

なにごとにおいても、なんや落ち着かへん、心が浮いたような
そんな感じやさかい、

偶然、鏡に映った自分の顔を見れば、無意識のうちに
お口が思いっきり<ヘの字>に!!

これはいけない!ってことで、
歩いてるとき、自転車に乗ってるとき、家事をしているとき、
とにかく、気がついたときに、<口角を上げる!>ってことだけを、
近頃は、日課としています。

というのは、これをやり始めて、わかったことなのですが、

ココロに想うことが、からだにも影響を与える、というのは
<病は気から>というように、よく言われますが、反対に、

からだ、のほうが、ココロに、影響を及ぼすっていうことも、
あるようなのです。

口角を上げる! ただ、それだけのことなのですが、

こうしていると、バッタリと、ご近所さんに遭遇したときでも、
すぐに、笑顔で挨拶が交わせます。
(ヘの字だと、笑顔を作るまでに一瞬のタイムラグができるので
 挨拶が遅れてしまって、通り過ぎたあと。。なんてこともあり)

そして、<口角を上げながら、マイナス思考をする>っていうのが
これまた案外、難しいってことが、やってみると、わかります。
(自然と、口の端を上げると、思考も上向きになるようです)

さらに、口角を上げて、自転車をこぐと、
自然に、鼻唄が、出てくるんですね、これが。
(今お気に入りは、<まるまる、もりもり~>の歌なり)

ということで、<汝、口角を上げよ!>

口角を上げたからって、状況は、変わりません、けれど、
お口が<への字>のときよかは、必ず、気分は、変わりますので、
そんな、バカな!とお思いならば、

いちど、お試しくださいませ。(*^-^*)

No.47 来年こそは、ストレッチャーで。。

広~い青空!

<ほれ、見とうみ~!綺麗な青空やこと!!
 日本で、こないな色の青空は、見られしませんやろ?!>

安楽尿器を取り替えながら、
母のお気に入りのBSハイビジョンの旅番組を見ていたら、
突然、母が画面を指差し、こう言いました。

が、見てみると、それは近頃私が買い物帰りに通りぬける
公園で、いつも見ているなじみの青空だったので、

<なんで?、今の季節は、日本でも、こういう空どすえ!>

と、言ってから、あらためて考えてみると、

ほぼ1日寝て暮らし、たまにうちのなかをカッタン(歩行器)を
使って、お部屋から表の間までのあいだを、日に数度行き来
するだけの母が目にすることができる青空といえば

廊下を通るときに見える、ちいさな坪庭の上の
ちいさな、ちいさな空、だけなのでした。

通院のときも、介護タクシーのストレッチャーに横になっていると、
広い空をゆっくり、眺めることはできません。

あらためて、30年を越える時間、うちのなかだけで暮す、というのは
どういうことなのか、自分には理解できてへん、
母の本当の気持ちというものも、わかってへんのやなぁ~と
悟った次第です。

そばで長いことお世話してきて、事情はわかっているつもりでいても、
他人(ひと)の身になって考える、いうのは、
なかなか、本当のところは、理解できてへんもんです。

ただ、そういう私ではありますが、ひとつ、
考えているプランがあります。

なにも介護タクシーは、通院でないと頼めないとは
決まってるわけではないので、時間分のお金を払うことで、

いつもの、あの見渡す限り360度空の、あの青空見放題の
公園の芝生広場まで、介護タクシーで運んでもらって、

たとえ10分、15分でも、ストレッチャーに乗ったままでもいいので
青空の下で、芝生の匂いや風が横切るときの肌に残る感触を
感じながら、日向ぼっこしながら、お喋りをしたいなぁ~と
思っています。

土日なんかは結構ひとは多いので、ボール遊びなどされてると
危ないかもわからないけれど、ウイークデーのお昼前などは、
ほぼ貸切状態、誰~~もいないってことも多いので。

今は、まだ寒いけれど、温こうなってきて、
桜やたくさん春の花が咲き始める頃に、できるといいなぁ~と
秘かに思っています。

その実現を今のところ、阻んでいるのは、
例によってジコチューファーザーの、理解不能の反対で、

とにかく、ウォーカーで歩いたり、ストレッチャーに乗ったり、
そういう姿が、みっともない、恥ずかしい、の一点張り。。。
そやかて、車椅子には乗れへのやし、仕方ないやおへんか。

ついでにいうと、私がふだん、おしゃれのおの字もない
恰好でいるのも、世間さまに恥ずかしい、そうです(笑)

なんで、恥ずかしいんかな~ 

どれだけ、高い誂えのカッターシャツを着て、ポマードでしっかり髪も
固めて、ブランドのバッグをもっていようとも、

一生懸命リハビリをして、ここまで歩けるようにまで頑張った母上を、
誇らしく思うことはあっても、恥ずかしいなんぞと、言う、

その精神のほうが、ずっと<恥ずかしい>わ!!
恥って。。。外見やのうて、精神のほうにあるんやないですか!

と、ココロのなかでは、思てますけど、それを口にしたら、
また、あのジコチューファーザーが、
<親に向かってえらそうに!!!!>云々と
暴れん坊将軍になるので、お口には出しません(笑)

ひとは、何が大切か、とか、何を恥ずかしいと感じるか、
そういう価値観、そのひとの根幹をなすような部分は、

なかなか言うても、変わるものではありません。
実際、83年もそんなふうに生きてきゃはったひとやさかい、
今更変わる、なんてことは、むずかしいやろうけど、

そうはいうても、
昔はうちの手伝いなど、ま~~~ったくせえへんかった
あの、ジコチューファーザーが、今、こうして
洗濯もんを庭からつるしあげる<国旗掲揚>だけは、
毎日やってくれるようになったので、

<ひとは、変わる>ということに、時間はかかるとしても
私はまだまだ、希望を持っていたいと、思っています。

来年こそ、晴れた日に、
母が360度の青空をおもいっきり、見られるますように!(*^-^*)

今日も今日とて、朝から

<エアコンのリモコンを、エアコンに向けんと
 壁に向けて使うな!!方向オンチが!>と罵りまくっていた父。
(母は壁で反射させて使うのがクセなので)

<何をやってるんや! アホかおまえは! ドンくさいなぁ!
 息しとるだけか! 寝てばっかりおって!etc…>

思いつく限りの罵詈雑言を、次から次へと浴びせられていた
母ですが、その暴言の嵐のなか、

<はい、はい、アホです、アホですよ~♪>

と、笑って、お唄(?)を歌いながら、
トコトコ歩行器で、部屋へもどっていきました。(笑)

前にいちど、なんであの暴言に耐えられん?と
まじまじと聴いたことがありましたが、
<ふむ。。。まぁ、弱い犬ほど、よう吼えまっしゃろ?>
とニッコリ。

どうか、神様、こちらのDNAが、
わたしのなかにたくさん、受け継がれていますように!
と私は秘かに、祈っています。(*^-^*)

No.48 100年経ったら。。。

なんの話題のときやったか、テレビ番組のなかで

<今こうして、このスクランブル交差点には
 たくさんの人が歩いているでしょう?
 
 それが、100年後には?
 100年後には、どうなってるかというと。。。
 今、ここに歩いているひとは、
 おとなも、子供も、ほとんどみんな消えていない、

 ここに今生きているひとは、100年後には、
 ほとんど誰も、この世にはいないんですよ。>

そんな話をしているひとがいて、

そうか~100年たったら、誰も。。
と、あらためてそう言われると、
それはそうなんやけど、なんや、とても
新鮮な感じ、がした記憶があります。

また、これもテレビ特番やったと思いますが、
沖縄にある鍾乳洞のルポで、

地底深くにできた、鍾乳洞の巨大なツララが
20万年前から、少しずつ大きくなったものだと
聞いたとき、

自分の生きてきたウン十年、という月日が、
このツララの長さでいうと、1センチにも満たない、
と知って、当然のことではあるけれど、やはり驚きました。

そんなふうに、ひとの一生というのは、
長いようでいて、また、ひとによっては
数十年の違いこそあれ、

自然の悠久の時間のなかにあっては、誰のものも
とても、とても、短い、ものなのだということを
自然に教えられる機会が、時としてあります。

所詮それほどに、ちっぽけなものやから、つまらない、
そう思うこともできるし、また

そんなに短い時間のなかで、ひとであれ、物事であれ、
出逢ったこと、それ自体が、そもそも奇跡の出来事やと
そういう思いかたもできます。また、

そんな自然界や宇宙のなかでの時間と比べたら
ほんとに短~~~い、そんな<持ち時間>のなかで

日々、ああでもない、こうでもないと、
さまざまなことで、ひとは悩んだり、
争ったり、憎んだり、してるんやなぁ~と思うと、

なんや、そういう必死さみたいなのが
けなげというか、可愛く思えたりも、します。(笑)

以来、私は、よく、いろんなことがあって、こう、
自分にとって、理不尽やな~。。と思うたりすることがあったら、

この<100年たったら話>を思い出すことにしてます。

100年たったら、誰ももういいひん。。そう思ったら、
目先の小さな、損得勘定やら、駆け引きやらで
一見、損な目にあうことがあったとしても、

いいひとそう~~に見えてたひとが、案外そうやなかっても(笑)

<まっ、いいか~~!!こんなこと、ちっちゃい!ちっちゃい!>
って気になってきて、どうでもええような気持ちになれるんで(笑)

今朝もふと、そんなことを思い出したもので、寝ている母に、

<100年たったら、もう、だ~れもやはらへん、のやで。。>
と、しんみりと言葉をかけてみたところ、、

<へっ?! 100円やったら、誰もやらへん、言うたはんのすか!!
 何をどす? 100円あったら買えるもん、ぎょうさんありますえ!
 100円いうてばかにしたら罰があたりますえ!>
とのお返事が(笑) 

もう~!補聴器、はよ、つけなはれ!
高かったんやさかい!(笑)

そやけど、なんですな~
このひとから生んでもうた、いうのも、
やっぱり、これまた<奇跡>いうもんですやろか(*^-^*)

N0.49 クリスマスの精神は、感謝!!

梅小路公園のクリスマスデコレーション

ジコチューファーザーが、
なにやらアクリル板の写真立てに入った写真を
<どや顔>で持参。。。

見ると、週3で通っているスイミングからいただいたものらしく、
プールで仁王立ちの父の写真の上のほうには、
<祝!2000回記念おめでとうございます!>との文字が。。

週3として、おおざっぱにみても。。12年。。はぁ~

<2000回は、メンバーでもなかなかおらん!!>と
先日最終回を迎えた水戸黄門の印籠よろしく、
写真たてをひとの顔の前に突き出しながら、
のたまわれましたが。。

父上がその大記録達成に向けて、精進されているあいだ、
ずっ~~~~~とお母様のことは、わたしが見させて
いただいてきました。

いつぞや、うちのなかで転倒して、母が救急車で運ばれた折にも、
携帯に連絡がつかず、スイミングの受付で探し回ってもらって
ようやく見つかったときにも、あなたさまは、

<これからジャグジーに入らんならんので、
 すぐには行かれんわ。>

とおっしゃって、プチッと電話を切っておしまいになり、
<ジャグジーにどうしても入らんならんの?!
 もしもし!!もしもし!!>

と大声で怒鳴り続けて、待合室のみなさんの注目を
集めることとなり、とっても居心地が悪かったのを、
思い出しました。

ようやく、こ2時間ぐらい後駆けつけてくださった
あなたの頭が、ポマードいっぱいでテカテカで(笑)

開口いちばん、
<お前のせいで、ここへ来るのに白バイに止められて
 減点になってしもたやないか!!>

と怒られたのには、驚きをかくせませんでした。

そうそう、そのあと、さらに
<ワシの昼は、どうなるんや?おにぎりでも買うて
 きてあるんか?>

と、お尋ねになり、そのあと、初めて、
<ほんで、アレは、どこにおるんや?>と思い出したように
聞かれました。

父が父なら、母も母で、
仕事先から、大事な今日中の仕事を放りだしてかけつけ
救急車を呼び、留守番をお町内の方にお願いし、
ストレッチャーが入るように、箪笥や襖を動かし、ずっと
付き添ってきましたのに、

救急処置室から、ストレッチャーに乗って出てきたとたん、

<あっ、お父さん!!!すまんことどしたなぁ~
 せっかく泳ぎにいってはりましたのに!!
 迷惑かけてしもうて。。。途中で来てくはったんどすか?
 今日も、1回行ったことに、なってますか?
 スタンプ、押してもらはりましたか??
 あ~、そらよろしおしたわ。。。
 へっ?! この手どすか? 折れてるみたいやそうどす。>

<ふん、そうなんか。。お前、ここでおにぎり、売ってるんか?>

<へっ?! お父さん、お昼、まだ食べてはらしまへんの?!
 アンタ!!(もちろん、私のことですが)
 なにをしてはりますの!!はよ、どこぞでおにぎり、
 買うてきなはれ!!>

って。。。
こういうときです、ほんまにやってられへんわ。。。と
つくづく思うのは(笑)

とはいえ、今はクリスマスの時期。
どなたさまにも、等しく感謝の気持ちを示すのが、
ディケンズの<クリスマスキャロル>の本にもあった、
クリスマスの精神、でありますので。。

う~ん。。
母上にも私にも怒りどおしの1年でありましたが、ともかく、
ひとりで2人の寝たきりは、看られヘンから、怪我せんといて!!!
という、その訴えにだけは、耳をかしていただけたことに、
(2回も交通事故にまきこまれながら、ではありましたが)
ともかく、感謝、させていただきます。

ということで、みなさまへも、ちょっと早いですけれど。。

Happy Merry Christmas!!!!(*^-^*)

                感謝をこめて

No.50 いつも心に太陽は。。。

クリスマス3連休の初日にぴったりの
澄んだ青空と雲の合間からお陽さま、が出て参りました♪

ちょっと前に、NHKの朝ドラ<お陽さま>
のなかで、主人公の井上真央ちゃん演じる、陽子先生が
疎開先から東京へもどる教え子の女の子に、

<こころに太陽を持て>という、
あの、山本有三さん訳の有名な詩を読んであげてました。

たしか、小さい頃、暗誦させられたような記憶があって、
なぜだか、この詩今でも、スラスラと出てくるのですが。。
原詩は、ドイツの詩人・ツェーザル・フライシュレン
という方の詩だそうですが、山本有三さんの訳されたものが。。

*********

心に太陽を持て

あらしがふこうと ふぶきがこようと

天には黒くも 地には争いが絶えなかろうと

いつも、心に太陽を持て

くちびるに歌を持て

軽く、ほがらかに

自分のつとめ 自分のくらしに 

よしや苦労が絶えなかろうと

いつも、くちびるに歌を持て

苦しんでいる人 なやんでいるひとには

こう、はげましてやろう

「勇気を失うな くちびるに歌を持て 心に太陽を持て」

  (作:ツェーザル・フライシュレン 訳:山本有三)  

*************

これを井上真央ちゃんが読んでいるのを見て母が、
ちょいちょいと、私の腕をつつきながら。。

<ほれ!!この詩、知っといやすか? 
 山本有三さんの本、買うてあげましたやろ、
 あんたはんが、小さいときに。
 路傍の石どす。 これも、有名な詩どっせ!>と。

知ってるもなにも!
っていうか。。。よしやも、なにも!

自分の暮らしに、苦労は、絶えませんワ! っていうか。。
その<苦労>に、今、知ってるかどうか、尋ねられておりまする(笑)

っていうか、さっき渡した薬がどこいかはったか、わからしまへんのに、
よ~~そんな、何十年も前のことは、詳細に思いださはるもん
どすな~ほんま、不思議なこと(笑)

いつも、心に<太陽>は。。。持っとられまへん(笑)
持っとられまへんが、そのかわり、
<笑い>ならば。。持てまっせ(*^-^*)

母上、知っといやすか?
<お陽さま>の井上真央ちゃんも、とても可愛いらしおすけど。。

ひと昔前、お昼のドラマで、ちょっとグレたお嬢さん役の彼女が
<ざけんなよ~~~!!!>と叫んでられたときも、
なかなか、可愛いおしやした。

どっちか選べと言われたらなら、

個人的には、路傍の石、風よりは、間違いなく
<ざけんなよ~!>の真央ちゃんのほうに、
一票あげたく、存じます(笑)が、

歌の2番にある、くちびるに歌、のほうは、
私も、持っております。

古くは、あの、
<いなかっぺ大将>や<365歩のマーチ>
<踊るポンポコリン>
最近では、有名な
<まるまるもりもり>のジェスチャーつきの歌など。

楽しいから歌う、ってこともあるやろうけど、
歌てるうちに、なんや、だんだん気分が良くなってく、
鼻歌には、そんな効用があるようで、
この点は、山本有三氏、というか、フライシュレン氏に一票
投じたいと、思います。

誰にも、この歌、歌ってると、
なんか元気の出る歌、ってありますもんね!

いつも、心に太陽は。。。正直なところ
もてへんときもありますけど、

持てヘンときには、
くちびるに歌を持ちながら、お笑いに変えながら
<絶えざる苦労>のお相手さしてもらいます。
もちろん、<あんたはん>のことどす!(*^-^*)

No.51 酢と恨みは。。。

ベルギーチョコ

母は、今日も朝から、テレビに釘付け、です。

寝間着の上から、半纏をはおって
電動ベッドに寝転び、

<謎の中国人>のように両手を反対の袖のなかに
つっこんで、笑い続け。。って。。

<土日は、韓流ドラマも、おやすみですやろ?
 朝から、また何を見てはるんどす?>と尋ねてみるや

<ドクメンタリ。。どす。土日は、ドクメンタリ、見ることに
 なってますのや。。>

あ~。。ドキュメンタリーのこと。。
で、今日は、何のドクメンタリどすか?と尋ねようとしたとき
テレビから、聞いたような歌声が。。

Where have all the flowers gone? (花はどこへ行った~)

<これはな、花はどこへ行った、いう歌やそうどす。
 ベトナム戦争のときの。。

 そやけど、もともとはドイツのひとも 歌うてはって、
 ドイツが、西と東に分かれてしもうたときに、
 また、仲良ようしましょう、いうて、歌の曲で、スケートしゃはって、
 また、仲良ようしましょう、いうて、すべらはって、ほんで。。

 アメリカがベトナムに。。>

 <ハイ、ハイ、ほんなら、これはつまりは、仲良うしましょう、いう
  ときに、みんなが歌わはる歌どすな?>

と、掃除が始めたくて、まとめにかかったところ、
なにやら嬉しそうな満面の笑顔で、

 <ふむ。。ほんでまた、替え歌も、できますえ。。>と言って
歌いだしたのが。。

<家政婦は、どこ行った~~♪ 呼んでも、きいひ~ん~♪>

<家政婦??家政婦って?
 ヘルパーさんはもう、ずっと来てはらしませんやんか。。
 なに言うてはりますの。>

と、ここまで言って気づいたのですが。。

<家政婦って?。。ひょっとして。。ひょっとしたら。。>

<そう!、あんたはんの、ことどす!!>とまた、満面の笑顔。

私は、たしか以前<お供の者>と呼ばれていたような気が
してたんですが、今度は、<家政婦さん>って、昇格?降格??

まぁ、たしかに、半纏着た謎の中国人が、寝転んでテレビ
観てはるあいだ、わたしはずっと年末の大掃除にひとりで
奔走させてもろてましたけれど。。

なにやら、アホらしいなってきて、替え歌をば。

<家政婦さんは、エライ~♪ とっても、エライ~♪>

と歌いながら、母上のほうをチラ見してみましたが、
もうすっかり、替え歌には興味を失われたようで(笑)

テレビ画面のなかのケネディ大統領の演説のシーンに
釘付けで、

そうなると、朝からひとりでそんな歌を歌っている自分が、
とても、恥ずかしうなってきたので、退散。ただし、

<呼んでくれはったら、すぐに馳せ参じてますやないの。。
 呼んでもきいひ~ん♪は、訂正しといとくりゃす!>
とのひと言は、忘れず(笑)

とそうこうしていると、小包が届きました。
なんと、これは、公民館の手編み教室で編んだという
手編みのマフラーとベルギーチョコレート!
叔母さんから、届いたものです。

自分では、こんなぜいたくなチョコレートは、ほとんど
買わないので、ものすごく幸せ♪

実は、叔母様といえば。。
母がまったくの寝たきりになった当初、仕事も決算期で、
兄弟はあてにならず、休みももうとれなくて、
ジコチューファーザーはストレスでもう、暴れん坊将軍状態で(笑)
ヘルパーさんもまだ見つからないときで、

どうにもこうにもならないときに、数日でもいいので、
看にきてもらえないか、とお願いをしたのですが、

うちもいろいろあって、また、足腰の具合もすごく悪いので行けない、と
いうことでお断りをいただいてからしばらくのあいだ、
ちょっとだけ<冷たいな~>とガッカリしていたことが
あったのでした。

なんといっても母の妹であり、また10才近く齢が離れていたので
実質、母が育てたようなもので、<お姉さんになにかあった
ときは飛んでくる>とずっと前に聞いたような記憶もあったので(笑)
いざというときに頼りにさせてもらおうと、
期待してたもんで、ガッカリ感も大きかったのです。がしかし、

叔母さんの腰の持病を考えると無理したくないのもよくわかるし、
(介護は腰にきますからね~)
また、誰でも手伝えるというわけにもいかない、母の介護は
チト、いやかなり恐いというのも、あるだろうし。。また

叔母さんが入院したときも、母をおいて行けない。。ということで
私も付き添えなかったし。。

まぁ、なんといっても、またいつかなにかでお世話になることが
あるかもしれないわけだし、と思いなおし、

それに、誰かに手伝ってもらう、ことは、
もちろん、とってもありがたく、嬉しいことですが、

考えてみれば。。
誰かから、手を貸してほしい!って頼まれたときに、
自分が、手を貸せる、状況にある、っていうことが、そもそも
本当はありがたく、幸せなこと、なんですよね。

どんなに気持ちがあっても、お金や、他の家族や、自分の健康や、
なにかがあって、できない、ということは、多いと思うから。

きっと、看てあげたい気持ちはとってもあったけれど、
そのうちのなにかの事情で、でダメだったのだろう、

と、そんなことをあれこれ思い巡らしながら、
しばし時間が経っていくうちに、他の方の手助けも得られるようになり、
叔母さんに対しても、今回のことをもって、
それで恨むようなことでもない、とごく自然な気持ちに、なれたので、
その後の経過など随時、電話で報告をしていたわけです。

実は、そのあとの話が面白いのですが、
電話で報告をしているうちに、ポロッと、叔母さんの口から
まさに、ちょうど私が手伝ってとお願いのお電話した、その数日後に、
お友だちと山登りに行って、楽しかった~!という話をきいて
しまったのでした(笑)

でも幸いなことに、叔母さん自身はすっかり、気づかなくて(笑)
そういうところで、私にうっかり話してしまう、叔母さんの
詰めの甘さが、なんだか、とても人間的で、笑えたりして。(*^-^*)

その叔母さんから、
今日、この思いがけない贈り物が届いたのです♪

昔、<期待するところに、悲劇が起こる>とかなんとか
聞いたことがありましたが、

もともと期待していなければ、がっかりもすることはない、
悲劇も、起こりようがないし、反対に、

期待しないでいると、ときおりこうして
嬉しい驚きが、やってきてくれてハッピーになれます♪

まさに、

 期待しないところに、チョコレートがやってきた!!

って、わけです♪

そして、もちろん、高価な贈り物をもらえば、それなりに嬉しいけれど、
また、こうやって手編み教室で編んだマフラーを、いただくっていうのは
それ以上になんかこう、温かい感じで、私には嬉しいことでした。

きっと。。
支える、ということには、いろんなかたちが、あって、

今わたしがやっているような、
そばにいて、支える、うちにいて、看る、というかたちもあれば、また

離れていても、気にかけてくれたり、また、
<支えているひとを、さらに支える>というかたちも
あるんやなぁ~と、今日チョコレートとふわふわ手触りのマフラーを
見ながら、しみじみ、そんなことを思いました。

母のところへ行き、マフラーを巻いて、
チョコレートの箱を見せながら
<叔母さんが、これとこれ送ってくれはったんえ。>と言うと、

いちばん粒の大きそうなものをひょこっとひとつ、手に取り
(お母さん、それ、チョー固おすけど。。(笑))

<へぇ~、これ、くれはったん? 嬉しおすなぁ~
 わたしは噛めへんさかい、お口のなかで、なめときます。。>と
母もとても、嬉しそうでした。

叔母さん、クリスマスプレゼントを、ありがとう!!

今日、これが届いて、嬉しそうな母の様子を見ていて、
あの日、あの寝たきりになったとき、手伝ってくれないからと
叔母さんのことをうらんで、音信不通なんてしないでいて
ほんとうに良かった!って思いました。

今年、母が寝たきりになったとき、
まず、身近な人たちに助けてほしくて連絡したけれど
でも、助けは、そのとき、結局はもらえなかった。

その、ときに、
ひとつだけ、自分に言い聞かせたことが、ありました。
それは、

  たとえ、助けてもらえなかったとしても、
  誰のことも、うらまないで、いよう。

ということでした。

自分で、めいっぱいやって、できるところから助けもいただいて、
それで介護でうまくいかないことや、
十分なことができないことがたとえあったとしても、
母には申し訳ないけれど、それは、仕方ない。だけど、
恨むことだけは、なし。。

そう思うのは、ずっと前に本で読んだこの一言が
あるからです。

 酢と、恨みは、それがはいってる容器自体を壊してしまう。

どこか外国のことわざだそうです。
 
それを読んでから、なんで??!って
思いたくなるようなときがあっても、

<深く恨まないように、恨まずにすむように>
考えるようにしています。腹は立つこともあるけれど、
チッ!!と一瞬思って、それで終わり!(笑)

ジコチューファーザーにも、
言ってやりたい!って思うことの、50や100や1000は、
軽くありますけど(笑)

それでも、父や兄弟や、叔母さんも、そして誰も、
深く恨むことなく、また1年、やってこれた、
だから、思いがけない、この贈り物がやってきた、

そう思わせてくれた、今日、贈り物をくれた
叔母さんに、心から、感謝なり!(*^-^*)

ちなみに、母は朝から、モスチキンが売り切れにならへんか、
それだけを気にし続けております。
なんせ、歯がなくても、アレは噛めるからやそうで(笑)

日本中の、いえ世界中の介護しておられるみなさんに、
そして介護してもうたはるみなさんにも、

どうか今日が、なにかしら、良いことのある、
クリスマスイブで、ありますように!

No.52 ミルクあめの想ひ出

<ミルクあめ>が飲みたいな~

今日のような炎天下のもと
照りつける太陽に、青空に浮かぶ白い雲を見上げていると、
むしょうに、あの、<ミルクあめ>が、恋しくなります。

<ミルクあめ>って、飲んだことありますか?

ちょうど、冷やしあめとミルクティーの中間のような味の飲み物で、

色あいも、ミルクティーに似ていて、それを、冷えた
ビールジョッキのような容器に、シャキシャキした氷を入れてから
注ぎこむ飲み物です。。そう当時、一杯が20円か50円か、値段はたしか、
そんなところだったと思います。

大通りに面した、2階建ての昔ながらの古~い木造の家
その玄関先の小さなスペースをお店にして、

70歳ぐらいのおじいちゃんとおばあちゃんのご夫婦がふたりで
自家製の、<冷やしあめと><ミルクあめ>とを作って売ってはった
お店でした。

<こんにちは~!>と軒先の、のれんをくぐると、

足が不自由なおばあちゃんが、ゆっくりと奥から出てきて、
<いらっしゃい!>と笑顔で迎えてくれて、

寡黙だけれど、笑うととても可愛らしいおじいちゃんが、
<たくさん、入れとくさかいな~>といいながら、
ジョッキのなかに、なみなみと、注げるぎりぎりまで
<ミルクあめ>をたっぷり注いでくれるのでした。

3畳ぐらいの狭い店内の、
そこここにおいてある丸い木の椅子に座って、
受け取ったジョッキのミルクあめを、イッキにぐいぐいっと飲み干して、
<あ~、美味しかった!!!ありがとう~~!>
そう言って、お店を出るまでの、ほんの5分ほどの
休憩時間。

汗いっぱいで、駆け込んだからだに、
<ミルクあめ>の甘く優しい味がしみわたっていくようで
夏になると、毎日のように通ったものでした。

その小さな、おじいさんとおばあさんのお店が、
マンション建設のために立ち退きを強いられたのは
もう数十年前のことになります。

ある日、店の前を通りかかると、閉まったお店の戸のガラスに
手書きの貼り紙が一枚、
<お店を閉めることになりました。
 長い間、ありがとうございました。>と書かれていて、

しばらくして、
その木造2階建ての小さくて古い家は、取り壊され、

<ミルクあめ><冷やしあめ>と
紙に墨で書かれた<お品書き>が風に揺れていたお店の玄関は、
今は、10階建てのマンションの玄関口となっています。

その後、ど~~うしても、あの、<ミルクあめ>が飲みたくて、
自分でも作ってみたことがあったのですが、
どうしても、あのおじいちゃんとおばあちゃんの
<ミルクあめ>の味には、至りませんでした。

きっと、あの、<ミルクあめ>の味のなかには、

炎天下に駆け込んで行って、あの古いお店の
丸い、ぐらぐらの木の椅子に座りながら、
おばあちゃんとおじいちゃんが入れてくれるミルクあめを
汗をぬぐいながら、待っていたときの、待ちきれなさや、

<ぎょうさん、いれとくさかいな~>と言いながら
ジョッキを手渡してくれるときの、あのおじいちゃんの笑顔や、

傍でそっと、待ってる私の汗をぬぐってくれるおばあちゃんの
皴だらけの手とか、そういう想い出も一緒に詰まっていて、

それをみんな、ひっくるめての、あの、<ミルクあめ>の味
だったのだと、思います。

商店街の近くに、生まれ育ったので、
この<ミルクあめ>屋さんのほかにも、
いろんなおじいちゃんやおばあちゃん、
おじさん、おばさんがいました。

これまで食べたどんな上等な焼きそばより、
美味しくて、ここでしか食べられない焼きそばを
真夏でも、汗をふきふき、焼いてくれる
お好み焼き屋さんのおじさんとか、

日曜日でも、パンクしたといえば、お店が休みでも
修理してくれる自転車屋さんのおじさんとか、

何度やり直しを頼んでも、自分がかけ心地がぴったりくるまで
タダでやり直してくれる、メガネ屋のおじさんとか、

お嫁さんに見つかると叱られるから、と、
お嫁さんの目をぬすんで、いつもひとつ<イカフライ>を
オマケしてくれていた、揚げ物やのおばあちゃんとか、

底が剥がれそうになったので新しい靴を買いにいくと、
これもまだ付けたら履けるから!とタダで直してくれる
おじいちゃんとか、

20円だけれど、どんなに立派なパン屋さんのより
美味しく思えた、自家製<オーションロール>を作る
パン屋のおじいちゃんとおばあちゃんとか、

そんなおじいちゃんやおばあちゃんが、大人がいっぱいいて、
そういうひとたちに、ずっと助けられながら、というか
見守られながら、というか、大きくなってきたのでした。

こういう経験って、ありませんか?

いつものように通る道、その道沿いに建っていた家が、
ある日突然、取り壊されて、更地になってたとき、

<あれ?!ここ、前はどんなうちがあったっけ?>

毎日、きっと、目にしているはずの景色なのに、
そこに、どんなうちがあったのか、少しも思い出せない、
そんなときって、ありませんか?

そうかと思えば、同じような、ごく普通の一軒家であっても、

ちょっと軒先のお花のことでおばあちゃんとお話したことがあったり、
そのうちの家族の誰かが、偶然、同級生だったりとかしたら、

そのうちは、もはや、たくさんあるご近所さんのうちのひとつ、
ではなくなってしまって、

自分にとって、スペシャルなうち、<特別なうち>になって、
ある日突然、なくなっても、そのうちを思い出せない、という
ことは、絶対ないって、自信をもって言えたりする、
そんなことも、あります。

わたしたちは、みんな、その存在が、なんらかのかたちで、
<One of them>の<them>なんだと、思います。

<沢山いるお年寄りのなかのひとり>の<沢山いるお年寄り>だったり
<大勢の女性達のなかのひとり>の<大勢の女性達>だったり
<平成23年を生きてる日本人のなかのひとり>の<日本人>だったり。。

だけど<なにかしらのエピソード>が生まれたら
それはまた、<縁>という言い方もできるかもしれないけれど、
ささいなものであっても、また他人(ひと)からは
わかりにくいものであっても、

その瞬間に、

そのひとにとって、わたしたちは、<one of them>の<one>、
いいえ、<The only one of them>へと
変わっていくんじゃないでしょうか。

ミルクあめ屋さんのおじいちゃんとおばあちゃんの
優しくて温かいおもてなしや、

世界一と思えるほどの、あの、焼きそばを
真夏でも焼いてくれた、おじちゃんの額を流れる汗や

おそるおそる日曜日に玄関をたたいても、
持っといで!と二つ返事でOKしてくれたおじさんの優しい笑顔や

申し訳ないから、もうこれでいい、と言っても、
<いや、絶対にピッタリくるまで、合わせとかんとな!目は大事やで!>と
何度でも、やり直してくれる眼鏡やさんのおじさんの真剣さとか、

お嫁さんに気づかれないように、イカフライをそっと竹の包みに
忍び込ませてくれたときの、おばあちゃんの得意げな笑顔とか、

そういう、いわゆる,
いわば市井の人たちとのあいだに起こった
<ひとつ、ひとつの、ちいさなエピソード>、

それが、わたしにとって、
どのおじいちゃんも、おばあちゃんの存在をも
ともにした時間をも、スペシャルなもの、
かけがえのない、時間が経っても、ずっと忘れることのない
特別なもの、にしてくれたのでした。

あの頃は、
携帯電話も、インターネットもなかったし、
外国なんて世界ははるか遠い場所にあって、

ただ、家族と、友達と、先生と、近所のおじいちゃん、おばあちゃん
少しコワイおじちゃんとおばちゃん、
それが、自分の世界の登場人物のすべてで、

今と比べれば、それは、とても、小さな、小さな
ありふれた世界でしたが、

その小さいながらも、とても豊かな世界のなかで、
私達、子どもは、安心して、走り回っていたように、
思います。

私の小さな世界を、豊かに、してくれていたのは、
おじいちゃんやおばあちゃんたちがくれた物語だったのだと、
今となっては、しみじみと、思います。

みなさんにもきっと、ひとりひとりに、
こんな物語が、あるのでしょう。

そういう豊かさを、感じながら暮らすこと、
そして、大人になったら、
そういう豊かさを、今度は、そっと差し出せるようになること、

それが本当の意味で<豊かに生きる>
ということのような気が、今はします。
<ていねいに生きる>ということのような、気がします。

そういうことを大切にしていきたいと、

懐かしい<ミルクあめ>の味を思い出しながら、
考えた朝でした。

これを書いている今、隣でうちの
special powerful one がニコニコと笑っていますが。。。

左のほっぺたがふくらんでますやないの!!
また、なんか、こっそり、食べてはりますん?
来週の体重測定、どうなっても知りまへんえ!(*^-^*)

No.53 シャッター、閉めなはれ!

週1回来てくださってる訪問看護のスタッフさんが
昨日は、半時間ほど遅れて息を切らしてこられ、

<ゴメ~~ン!出ようと思ったんやけど
 おばあちゃんの話が終わらへんかってん!!>

事情を聴いてみると、
うちの前に様子を見に行かれたおばあちゃん、

少し前に軽い脳梗塞があって右手がご不自由な身。
自宅でご夫婦でお暮らしなのだけれど、
おじいちゃんが、昔から亭主関白だったのが、さらに近頃ひどく、
家事は手伝ってくれないわ、文句は言うわ、で。。
泣きながら看護師さんと先生にお話をされていて
白衣のすそを持って、離されなかったとのこと。

<そら、仕方ありませんわ。。それにしても
 おばあちゃん、つらいことどすな~>と
看護師さんと話していると、電動ベッドに寝たまま、
じっと黙って話を聞いていた母が、

部屋の天井を、じっ~~と見つめたまま、ニッコリ笑顔で、ひと言。

<お唄、歌うてはる、思うたらええんどす。>続けて、

<あ~あ~、いつものお唄が始まったな~、思うたら、
 シャッター、閉めるんどすわ。
 ほんで、知らん顔してたら、そのうち終わりまっさかい♪>

<シャッターを閉める>というのは、おそらく母流の言い方で、
耳からなにやら文句らしきものが聞こえてきても、
それが心の中に届いて意味をなすまでに、ピシャっと、
心のシャッターを閉めて、考えんようにする、
いうことらしいです。

思えば、日々ジコチューのお方から飛んでくる暴言は数知れず、
アホやら、バカやら、情けないやら、抜けてる、etc..
そうそう、<一緒に居たらアホがうつる>というのは
お気に入りのものです(笑)

父からの、矢のように飛んでくる、でも笑いには欠ける(笑)
昔からの、ワンパターンの暴言が始まると、母は

心のシャッターをピシャっと下ろしてしまって、
言葉の意味を考えたりしない、
あとはただ、<音>として、聞いているだけ、

という、そんな意味だと、解釈してるのですが、

それを聞いた看護師さんが、大笑いで、
<それ、ええね~~!!
 こんど、おばあちゃんに、こういう手がある!
 言うてあげますわ!先生にも教えたげよ!!>

すると嬉しそうに、<ふふっ。。>と笑っていた母上。

看護師さんが帰られてから、ふと気になって、尋ねてみました。

<なぁ、私が怒ってるときも、そんなふうに、
 いつものお唄が始まった!、思うてずっと聞いてはりましたんか?>

すると、満面の笑みで、

<ヘヘっ。。>と得意顔。

なんやそれ。
キツイことばをかけてしまって悪かったなぁ。。と
後でひとりで自己嫌悪に陥って、自分を責めて、泣いたりしてたのに!

なんかわからへんけど、とっても損したような気分で、
またムッとしてきましたが(笑)

怒らない、怒らない♪
どうせまた、<いつものお唄が。。>と思われるだけやしね(*^-^*)

次回、ジコチューファーザーがジャイアンに
なったときには、私も一緒に<シャッター閉めて>
<いつものお唄>が終わるのを待つことにしてみます。(*^-^*)

No.54 エイリアン、と思わば。。。

<なんでそんなこと、言わなあかんの!!>と、
 ジコチューファーザーのあまりのもの言いに、つい
 口ごたえ
 (チチにもの言いすれば、いくつになっても、
  すべて<口ごたえ>として、括られてしまいます)
 
 してみたところが、大噴火!!となり、
 <しまった!!!>と思ったときには、時すでに遅し。
 
 しかし。。なんといっても。。
 <息してるだけなんやから、なんにもせんと寝てろ!>
 は、ないでしょうが~ と怒っていたら、言われた当人の母が、

 ウォーカー(歩行器)で、トコトコと、近寄ってきて
 木村庄之助さんよろしく、
 行司さんのように手を広げ、ふたりの間へ割り込んで、ひとこと。
 (ほら、手、離したら、またコケるでしょうが~!!)

 <お父さんに口ごたえしたら、あきまへん! 
  どの口で、そんなこと言うんどすか!>と。

 子供の頃よく、こう言って、ほっぺたを手でつねられたので
 思わず、後ずさり。。

 そやけど、わたしが怒ってるのは、
 あんたさんのことを思ってやないですの?
 そやのに、なんで私が怒られてますのやろ。。。アホらし。。

 と思ってやりきれのう過ごしておりましたところ、
 神の助けか、ピンときました。

 そうや! 外国人やと、思えばええんやわ!!
 いえいえ、外国人よりもっと。。いっそ。。そう、エイリアン!!!!
 
 姿かたちは、人間でも、これから
 ジコチューファーザーのことは、<エイリアン>と
 思うことにしよう!!

 エイリアンには、人間の言葉は通じない、
 エイリアンには、想像力というものがない、
 エイリアンは、感謝という単語を知らない、
 エイリアンは、自分の星のルールで生きている!!!

 だから、なにを言ってくるかわからないし、
 なにを言っても、わかりっこないのだ。
 
 もともと、異邦人なのだから、当然なのだ!! 
 だから、異邦人とコミュニケーションできないからといって
 胃潰瘍になるなんて、アホらしい。。ので、やめよう!

 ついでだから、そう、
 ジコチューファーザーを<エイリアン1号>と 名づけ、
 
 そして、一緒に育ったけど、とんと音信なしのあちらさんは、
 <エイリアン2号>と名づけよう!

 さすれば<口ごたえ>が、口から飛び出す前に、
 <う~む。。まぁ、これくらいは、がまんしてしんぜよう!
  なにせ相手は、伝わらんでも仕方のないエイリアン。。>
 
 と、思えばあきらめもつく、かも。
 なんてグッドな思いつき!

 そうそう、<なんでわからへんのやろ。。。>と
 思うから、腹も立つのであるから、

 もとより期待せえへんかったら、
 たまに伝わったりすれば、<オオッ!>と
 感激できるやもしれませんからね。(*^-^*)

N0.55 あんたは、ぬけてはるさかい。。。

<また!!何してんの!!歩行器は、どこ行ったんどす??!
 お庭に落ちたら、どないしますの!!!!>

ちゃんと電動ベッドに横になっているのを確かめたので、
しばし。。と思って、二階で用事をしていて、ふと降りてきたとたん、
目に入ったのは。。

歩行器は、は~るかかなた。。
中庭に下りる縁側の廊下に立ち、松葉杖1本をななめに持ち、
保津川下りで船を漕いでる船頭さんよろしく、
前に後ろに、杖を動かしながら、
<もうちょっと、もうちょっと。。>とぶつぶつ。。

背後の私に気づくと、<しっ!黙って!!>と
えらく集中しておられるご様子。

ちょっとバランスを崩せば、そのまま頭から庭に
真っ逆さまに落ちていく(前に1度落ちたことあり)状況に、
思わず、大声で、後ろから、

<何をしてはるんどす!!やめなはれ!!早う!!>

と怒鳴りながら、近づいた私の目の前に、
松葉杖で、見事に、<釣り上げられた>私の靴が。。

<ほれ!!獲れましたえ!!!
 きつう雨が降ってきたさかい、濡れまっしゃろ。。
 そやし、杖で、こうして、釣り上げてましてん!>

まさか杖で靴を釣っていたとは、考えもせえへんかったので、
驚いて、ひとこと。

<それは。。。かたじけのう、ござりました!>と言うと、

<ふむ。。よろしおす。。上へあげとかんとあきまへんやろ?
 あんたは、ほんまに、<ぬけて>はるさかい。。
 ほな、釣れましたさかい、歩行器、貸しとうくりゃす♪>

と言って、手渡された歩行器で、スタスタとお部屋のほうへ。

そして。。

今日は、訪問リハの日。
明日からもう3月ということで、リハの先生と来月の予定を
話しておこうと、壁にかけたカレンダーをめくろうとした、そのとき、

<めくらんでも、よろし!
 2月と3月は、おんなじ曜日、なんどす、28日やさかい。
 ほんまに、あんたは、<ぬけて>はりますな~>とのお言葉。

心配しては、ぬけてる、と言われ(笑)
お世話をしては、また、ぬけてる、と言われ(笑)
なんだかな~

まぁ、それでも、無事また1日が終わるなら、それでよろし(*^-^*)

No.56 小説の冒頭に。。。

本が好きで、これまで数え切れないほどの本を
読んできましたが、そんななか、

冒頭の数行に、う~ん!と唸る、というか
その何百字かのフレーズが、本を読み終えたあとも
ずっとずっと、何年も心に残り、折にふれ、思い出される、

そんな作品には、そうしょっちゅう、出逢うことは
できません。

私の場合、そういう、いつまでも心に残る作品のひとつが、
F・スコット・フィッツジェラルドの
<華麗なるギャツビー>でした。くだんの冒頭のみ引用すると、

*********

わたしがまだ若くて傷つきやすかった年頃に
父からうけた助言が、その日以来ずっと私の頭の中に巣くい、
私はその言葉について何かと考えさせられてきた。

父はこう言ったのだった。

<ひとを批判したい気持ちになったときには、
 世の中のすべての人間が自分と同じような
 有利な条件のもとに育ってきたとはかぎらないのだ、
 ということを、想い起こすことだよ。>

父の言葉は、その程度のことにすぎなかったのだが、私達親子は
前から控えめなものの言い方をしていても、ちょっと例にないほど
心が通じ合っていたし、わたしは父のその言葉の奥にはもっと
ずっと深い意味が含まれているものと理解した。

********** <華麗なるギャツビー 
            F・スコット・フィッツジェラルド
            橋本福夫訳>

もとより、私が<有利な条件のもと>に育ったという
わけではなくて。。ただ、よく言われるように、

<どれほどの痛みか、は、
 そのひとの靴を履いて、歩いてみなければわからない>

ということを、このフレーズはいつも
思い出させてくれます、
そのことを思い出すことが必要な折に、ふと
浮かんでくるのです、不思議に。

そんなことを考えながら、わきのベッドで寝ている母に

<あ~あ。。できることなら、お母さんに、
 私の靴をはいて、歩いてみてほしおすわ。
 結構、大変どっせ~!>

と言ってみましたが、

<他人(ひと)のことは、知~~らない!!>とのお返事でした。

まっ、そうですやろ、そうですやろ。
私も、そう言いたおすけど(*^-^*)

No.57 チクリタイムなるもの

うちには訪問リハビリに理学療法士さんと
作業療法士さんが、交替で毎週何度か来てくださいます。

1時間おられるうちの、3分の1くらいは、
私は、母と二人きりになれるように
わざと用事を作ったりして、部屋から離れているのですが、
(別名、<母のチクリタイム!>です(笑))

今日も何気なく、漏れ聞こえてきたところによると、

緑内障と白内障の手術のあとの目薬、4種類を1日6回、
両目と右目だけ、に、それぞれ目薬ごとに区別して
ささないといけないのですが、

<自分で、目薬、さしたはんの?>という問いに
ここぞとばかりに、

<へぇ!!自分で、全部、さしてます!
 最初は、差してくれてましたんやけど、なんや、
 <自分でできることは、自分でせなあかん!>
 とか言い出して、さしてくれへんようになってしもうて。。
 あの、表を見ながら、自分でさしなさい!言うて、
 渡されますねぇ。。ささんと、怒られるし。。怖いさかいねぇ。。
 怖おっしゃろ?>

って。。
なんか、知らない人が聞いたら、私がまるで鬼みたい
に、聞こえんばかりに。。

<自分でできることは、自分でやる!>って言わて
目薬をひったくらはったのは、どなたはんどしたやろ(笑)

で、理学療法士さんに、
<ぎょうさんやのに、えらいねぇ~>って言うてもらうと、
もう、満面の笑みで、

 <そんなことおへんね。。
  ただ、できることは、できるだけ自分でして、
  あの子に、世話かけへんようにしよう、思うて。。>

って。。

つい先ほど、ポッポ、ポッポと、
ティッシュをゴミ箱めがけて投げつけて、
床にばらまいてらしたじゃないですか!(笑)
 
でも、まぁ、
<頑張ってるなぁ~!>って思うことはあるのだけれど、
なかなか家族となると、ほめる、というのもなんか
こそばい、感じがして、
ついどうしても、言葉にして言わへんように、なるんで、

こうして、週に何度か、お気に入りのスタッフさんに
誉めてもらうことが、とても嬉しいらしいので、

あえて、<鬼>の役を引き受けつつ、
母の<チクリタイム>は、毎回作るようにしています♪

ただ、

ときどき、みなさんが、本気で、私のことを鬼のような人間と
思ってられるんじゃないかと、ふと、心配になることも
なきにしもあらずですが。(*^_^*)

No.58 だまし、だましの極意

葉牡丹

母のぐらぐらの歯をとめていたセメダインが
お正月のおせち料理を噛んだせいで、
とれてしまったので。。

<ゆで卵やと思って噛んだら、イカでしてん!!
 ほんで、アッ~~~!!って思たときは、もう遅うて。。>

のこのジェスチャーつきの再現シーンをもう千回ぐらい
聞かされたような気がしますが(笑)
訪問診療の歯医者さん、ドラマ海猿に出てくる、あの
俳優さんにそっくりの先生がやってきてくださいました。

<せんせ、せんせ、お正月にね、この子(私のことです)
が、おせち料理出してきましてね。。ほんで、ゆで卵やと。。>

<いいんですよ~!はがれたら電話してくれはったら
 いつでも飛んできますからね~!>と海猿の先生に言われて
 至極、ご満悦のご様子。さらに、先生曰く、

<この歯はね、抜くことができないから、こうやって、
 だまし、だまし>やっていきましょうね~>

だまし、だまし。。そういえば、わたしのこのところの暮らしも
そんな感じで、明日は。。来月は。。春になったら。。いつか。。
<きっと、いいことがある。。はず!!!>と自分を
だまし、だまし、やってきてるような、感じです♪

人をだます、と言えば、イメージ悪おすけど、
自分を<だまし、だまし>は、結構、役にたつもの。(*^_^*)

変わり映えのしない毎日でも
<だまし、だまし>やっているうちに、いつか、

<あ~、こんなとこにいたんですか!
 ずっ~とあなたを探してたんですよ、まったく!
 遅くなっっちゃって。。すみませんでしたね~>って、

大勢の人のなかを、かき分け、かき分け、
<幸せ>さんが、こっちへ向かってやってくる、
そういう日がきっと来る(はず)と、

笑われそうで、誰にも言うたことはありませんが、
ブルーがはいりそうになると、この光景をイメージしながら。。

いつか、そうなることを、
秘かに、信じて、日々を送っております。

No.59 語らざれば、憂いなきに似たり。。。

草の露

千峯雨霽露光冷(せんぽうあめはれて、ろこうすさまじ)
君看双眼色(きみみよそうがんのいろ)
不語似無憂(かたらざればうれいなきににたり)

これは、江戸中期の僧、白隠禅師の書かれた詩のなかにある
 一節なのですが、意味は。。

 「あんなに激しく降っていた雨が上がった。
  辺りを見回してみると、山の木々に、そして足元の草にも
  雨上がりの露が無数に光り輝いている。

  君も誰かの双眸を見るとき、
  何も語られなければ、憂いなど知らないように見えるかもしれない。
  けれどそこに、光る瞳があったとすれば、
  憂いの涙を流した証し、である」

 この詩をもとに、後に詩人の相田みつをさんが<憂い>という
 詩を書いておられます。有名な詩なので、ご存じの方も多いかと
 思いますが。。

 ***********

 むかしの人の詩にありました。

  君看よ、双眼のいろ、
  語らざれば憂い無きに似たり

 憂いがないのではありません
 悲しみがないのでもありません
 語らないだけなんです

 語れないほどふかい憂いだからです
 語れないほど重い悲しみだからです

  人にいくら説明したって
  全くわかってもらえないから
  語ることをやめて
  じっとこらえているんです

  文字にもことばにも
  到底表せない
  ふかい、憂いを
  おもい、かなしみを
  こころの底ふかく
  ずっしりしずめて

 じっと黙っているから
 まなこが澄んでくるのです

 澄んだ眼の底にある
 ふかい憂いのわかる人間になろう
 重いかなしみの見える眼を持とう

 君看よ双眼のいろ
 語らざれば憂い無きに似たり
 語らざれば憂い無きに似たり

                 <にんげんだもの> 相田みつを
                 さんからの一部抜粋です。

 *************
                 
 遠方で自宅介護されているお友達が
 贈ってきてくれた本のなかにあった一節です。

 2011年は、日本で未曾有の災害がありました。
 今も、きっとたくさんのひとたちが、
 語られることないまま、重いかなしみを
 抱えて、新しい年を迎えておられることと思います。

 2012年、被災者のみなさんであれ、介護者、ケアラーの
 みなさんであれ、独り暮らしの高齢者のみなさんであれ、

 さまざまな思いを抱えながら、日常を送っているみなさんの
 心に寄り添ってあげられる、必要なとき、いっぱいいっぱいに
 なったときに、少し心の風通しをよくしてあげられるような
 そういう支援のかたちができればなぁと思います。

 先日の訪問介護の際、看護師さんが、血圧を測りながら
 <お母さんは、幸せですよ~!
  ご家族が、一生懸命、お世話してくれてはりますやろ。
  感謝せんとね~、ほんまに。。>
 
 と、母にむかって、話しかけてくださったので、

 <そうそう、もっともっと、言うてやって~~!!>と
 ココロの中で思ってましたら、

 <はい、はい、ありがとさん、さん、さ~~~ん!!>
 とヤケクソのように、ひと言。(笑)

 私の双眼にも、きっと、
 <語られることなき憂いの色>がてんこもり、のハズ!(*^_^*)

No.60 ビューティークリニックの話

ビューティ デンタル クリニック

ずらっ~~~~~~~と白衣の美しい笑顔の女性ばかり
10人ほどが勢ぞろいの年賀状を前に、満足げな様子の
ジコチューファーザー。

<どっから来ましたん、それ?>と母。

<ワシの歯医者さんからや。
 べっぴんさんしか、ここにはやはらへんのや!>と父。

なんとこの春から父が新しく通い始めた歯医者さんの名前は、
<〇〇〇ビューティー デンタル クリニック>といいます。

<なんで、ビューティーいう、名前のとこに、
 おじじ、が行ってるン?>

と、ポリポリおかきをかじりながら素朴な疑問をぶつけてみると、

母が、したり顔で、

<そら、そこにやはるひとが、ビューティーはん、いう
 意味やおへんか!
 そやから、診てもらうんは、おじじ、でもかまへんのどっしゃろ!>

<おじじ、おじじ、言うな!!>と父。

<ふう~~ん。そやけど、お母さんの訪問診療に来てくれはる
 歯医者さんの先生も、若うて、優しい先生やね~
 △△△イケメン デンタル クリニック、いう名前に
 しゃはってもええくらいやね~。>

ほうじ茶を飲みながら、そう言うと、今度は、

<ふむ。。。あんたも診てもらいにいかはったら、よろし。
 せんせは、イケメン、どすけど、診てもらうんは、べつに
 おばば、でもよろしいんやおへんか?>

あの。。。お母さん、<おばば>言うの、やめなはれ!
ほんで、お父さん、年賀状見て、うれしそうにしてんの、
やめなはれ(*^_^*)

No.61 世の中は、気楽に暮せ 何ごとも。。日々是笑日の教え

日々是笑日

  世の中は 気楽に暮せ 何ごとも
     思へば思う 思はねばこそ

            後水尾天皇(1596-1680)

お正月の番組のなかで、母が
<あっ、これは見んとあかん!!!
 3日の朝、修学院離宮のことやらはりまっせ!!>

と、前々から言ってたので、今朝見てみたら。。。

修学院離宮をつくられた後水尾天皇が詠まれた句、
がこれで。。

まさに、母が、日々口癖のように言っている

  何にも、考えへんかったら、ええんどす!
     なるようになる!!

のまさに、江戸時代バージョンでした。

<ほれ、えらいひとも言うたはりまっしゃろ!>
と満面の笑みの母を見ていると、

その後水尾天皇がのちに、女官に作らせたとされている
<気楽坊>という指人形の表情にそっくりで(笑)

せっかくやさかい
2012年の、座右の銘は、これでいかしてもらいますワ(*^_^*)

  世の中は 気楽に暮せ 何ごとも
     思へば思う 思はねばこそ
      
      2012年も<日々是笑日>と、いきましょうぞ。(*^_^*)
 

No.62 THE ROSE ~愛とは、ようわからへんもん~

THE ROSE

昨日から父が、風邪で寝込んでるのですが、

母は、朝早くから、俄然張り切っていて(笑)
歩行器でトコトコ、トコトコと、父の寝ている布団のまわりを
動物園の檻のなかのクマさんのように、歩き回りながら、

 エアコンの温度、変えまひょか?
 喉はかわいたはったら、水もってきまひょか?
 パジャマ洗いまひょか?
 電気、眩しいことおへんか?消しまひょか?

(やるのは、すべてわたしなのですが(笑))

と、あれこれ、うるさい事このうえなし。

それにしても、
毎日毎日、あれだけ暴言が飛んできていても、

<風邪やったら、日にち薬どす!>とか言いながらも、

グズグズと、そばにいようとする、

夫婦のことは、当人同士しかわからへんもんやなぁ~と
あらためて思います。

あの、動物園のクマさん状態のウロウロも
夫婦愛ってもんなんでしょうかねぇ~

そやけど、お母さん、
あんたはんが病気にならはるのが、いちばん大変なんやから
どうぞ、おとなしい、お部屋で寝とうとくりゃす。(*^_^*)

そうそう、
さっき本棚からファイルを取り出そうとしたら
偶然、好きな歌で、日本語の訳詞を書いてたノートが
一緒に、出てきました。

ROSEっていう、かなり有名な歌で、曲も素敵です。
いろんな訳が出ているのですが、
自分の好きな日本語の感じで訳を
してみたものです。

愛とは。。。。正直、よう、わかりまへん。(*^_^*)

 ***************

  THE ROSE

人は言う、愛は川だと
柔らかな葦を飲み込んでしまう

人は言う、愛はカミソリの刃だと
人の心を容赦なく切りつける

人は言う、愛は飢えだと
どれだけ求めても、満ち足りることがない

けれど、愛は、花だと、私は思う
そしてあなたは、その種なのだと、思う

傷つくことを恐れる心では、
踊ることを楽しむことはできない

夢から醒めることを恐れていては、
決してチャンスをつかむことができない

奪われまいとするだけの臆病な心は、
与えることのできる喜びを、知ることがない

ただ死を恐れているだけでは、
生きることを学ぶことはできない

ひとりで過ごす夜に、あまりにも寂しいと感じるとき、
目の前の道が、あまりにも遠く長く感じるとき、

そして
愛とは、心と運の強い人のもとにしか
やって来ないものだと、思ってしまいそうになるとき
どうか、思い出してみて

厳しい冬、雪の下で、寒さにじっと耐えた種が、
春、暖かい太陽の陽射しのもとで、バラの花を咲かせるの

 *************

No.63 笑いの効用

似てるんです、クマさんに!

<カシュ~! カシュ~!言うんどすって!>

と朝から、にぎやかです。(笑)

<あんた、知ったはりますか?
 韓国語で、歌手のことをは<カシュ~>って
 言わはるそうえ!!>

なんで、そんなこと、知ってますかいな。。

最近は、韓国ドラマを見ながら
日本語と同じ音を見つけるのが、お気に入りのようです。(*^_^*)

そうそう、そう言えば、今朝の地元の新聞に、
笑いと認知機能の関係、という記事が出ていて、

1日によく笑うひとは、まったく笑わないひとに比べると
認知機能の維持がかなり認められた、と書いてあったので、

<よう笑わはるひとは、あんまり笑わへんひとに比べて、
 認知機能が、落ちひんのやって。
 お母さんは、1日中ほとんど笑ろてはるさかい、
 それで、認知機能(きのう)が落ちひんのやわ。。>と言うと。

<昨日のことは。。。ちゃんとわかってますえ!>

とのたまわれたもんで、

<ほな、聞きますけど、昨日の晩ごはんは、なんどした?>

<昨日の晩ごはん、どすか。。。>のあと、しばし<ムズ>の顔。

<昨日、美味しい、美味しい、言うて、
 食べてはったや、ないですか~!ほら!>と助け舟を送るも。。

<美味しいもんって。。最近食べてしまへんさかい。。
 わからしまへん。。>と、どえらい反撃。

悪おしたね~
いつも、美味しないもんばっかり、食べさせて(笑)

これは、しかし、

母の認知機能が。。。。落ちたのか。。はたまた
私の料理の腕が。。。落ちた、ということなのか、

真相は、藪の中ということで。(*^_^*)

それにしても、お母さん
いっつも晩ごはんのあとで、ジコチューファーザーに

  お父さん、ほれ、お口直しに、お茶、どうどす?

言うて、お茶、すすめるの、やめとおくりゃす。
なんか。。。ひっかかりますもんで(*^_^*)

N0.64 鶴、ならぬ、母のひと声

天龍寺の蓮

今日6日は、お寺さんの月参りの日で
ございました。

お寺さんといっても、若干20代前半、
ちょっと前まで、夢を追いかけて舞台に出てはったのが
実家の諸事情により、家業を継いで、
お坊さんになられた、好青年だもんで、

お経を聞いていても、
かなりの声量で滔々と読まれ、
こう<枯れた>感じがしない(笑)
生命力にあふれた、お寺さんです。

毎月6日に、こうしてお参りしていただくのですが、

来月はお正月明けになるので、

<なにかとお正月はお忙しいされてまっしゃろし、うちは
 よろしおっせ。。また2月に2月分、お布施させていただきますし。。>

と、やんわりとお断りをしてみたものの、

(ここだけの話、お寺さんの日は、
 お菓子やお煎茶の用意もあり~の、
 お掃除も丁寧にせんといけない~の、で
 パスできたら、ちょっと嬉しかったりするのですが)

そこは真っ直ぐな好青年のこと、
私のこの、姑息な思惑は、とんと通じず(笑)

<いえいえ、私どもは、お正月など関係ございませんので、来ます!!>
と元気よく、お返事が。。(泣)

で、来年のカレンダーを買ったかどうか、とお話していた、

まさにそのとき、です。

離れにある母の部屋から、
<あ~~あ~あ~~眠た~、まだかいな~>と
あくびとともに、大きな声が(笑)

母上、フォローのしようが、ございませんです。

お寺さん、慌てて、帰らはりました(笑)

それにしても、このお寺さんの月まいり、
せめて3ヶ月に1度、とかやとありがたいな~などと
いつも思うのですけれど。。

まぁ、ご先祖さんのことやし、仕方おへん、

お経が長~うなったら、そのときは、

また、母上にひと声、かけてもらいましょか。(*^_^*)

No.65 七草粥をめぐるあれこれ

<お粥さんは、わたしが作りますさかいな!>
 七草とお餅、買うといとくりゃす。>

なぜか、そう母が言い出した今日は、
七草がゆをいただく日デス♪

これまでは、こう、なんとなく、
どちらかというと、面倒な(笑)
<お決まりの行事>みたいに思っていましたが、

1月7日といえば、昨年、すってんころりんと
母上がうちで転倒された日で、七草がゆどころでは
なかったので、

今年こそ、無事、コケることなく1年過ごせますように、
ちゃんと七草がゆをいただかなくては!

それにしても。。
朝からお待ち申し上げているのですが、
いまだに、台所へ向かわれる気配はいっこうになく、
お気に入りの韓流ドラマの新シリーズを
そりゃもう、熱心に、ご覧になっておられますけれど。。

七草がゆ。。本日、いただけますのやろか(笑)

よく、なんでも手を貸さずに残存能力をできるだけ引き出し、
と言われますが、それには、こう、

<待つ>という能力を、介護してる側のほうが
うんと試される(?)、って気がします。
待ってるほうが楽なように一見おもえますが(笑)

自分でするほうが、全然はやいし、
あれこれ、後始末もいらないし~!。。と思いつつ

奥歯にグッと力を入れて、
<できひんのやったら、最初から。。。>と
口から出そうになるのを、こらえつつ、
ひたすら、waiting for a long long time♪

とまぁ、辛抱のいること、このうえなし!
もともと、気の長いほう、とは言えない私には、拷問とも言え(笑)

だけど、だけど、そうやって
不思議と、時間が経っていくうちに、
ちょっとずつ、ちょっとずつ、ですが、
<命にかかわらへんことやったら、もうどうでもいいや♪>
って、なんでもありって思えるようになってくるのが、
これまた人知のあずかりしらぬところで(笑)

1度言い出したら、絶対聞かない、
スーパー頑固母上のあれやこれやを
待つことにも、いつのまにか慣れてきました。

あと、どういう思考回路をたどって、そこへ行き着いたかは
とんとわからないときでも(笑)

突然出没する<そっちの世界>で、一緒に遊んだりすることにも
次第に慣れ、というか、馴らされというか(笑)
なんだかな~と思いながらも、結構、笑えたりすることも
あります。

これって、残存能力の引き出しへの貢献度高いって
ことなんでしょうか(笑)

さて、

<七草がゆは、まだ始めはらへんのどすか?>

<へっ?
 七草がゆて。。わたしが?
 あんたはんが作らはるんと違いますの?>。。って。。

<もう!そやし、できはらへんことは最初から~>(*^_^*)

No.66 まさか、この年になって。。。

お年玉

昨日の<ほんまでっかテレビ>の番組のなかで
<幸せなふりをしていると、幸せな気持ちになる>ことは、
科学的に立証されている、とかいうお話がありました。

温かい陽射しを浴びていると、冬の寒い日でも
だんだん温もりが、自分のなかにも伝わってくるような気は、
確かにするので、

<あったかいことや、あってほしいこと>をいっ~ぱい
考えることにしたいと、思います。

さて、昨日の出来事ですが。。

年明けの訪問看護のときに、来られるスタッフさんに、
昨年お世話になったお礼がしたい!
と、年明け早々、突然母が言い出し、しかも、

昔とても自分が気に入っていた、
あの、ハンカチを皆さんに、差しあげたおす!とのお申出が。

(個人的にお礼をお渡しすることの是非は、別として)

母上のご意向であれば、お供の者としては、遠方だろうと、
高島屋だろうと、大丸だろうと、自転車で買いに走らせていただくより
他はなく(笑)

さっそく、買いに馳せ参じました。

ハイカラな、とてもオシャレな箱に包装してもらった、
<これがハンカチの値段??!>とビックりするような(笑)
ハンカチを買って、戻って参り、これでよろしおすかと
おうかがいをたてると、

<ふむ。。>とうなずかれた後、

なんや、ゴソゴソと電動ベッドの
おふとんの下をまさぐっていたかと思いきや、おもむろに、
ゆうちょ銀行の封筒を、ずぃ!と、差し出され、

<あんたはんにも、お遣いにに行ってもろうたさかい、
 ほんの気持ちだけ、どすけど。。。>と。

見れば、ゆうちょ銀行の封筒の表の<12月分>
というマジックが鉛筆の二重線で消され、
その下に、鉛筆で<お年玉>と走り書き、いや殴り書き(?)
がされています。

あの、お母さん、それ、ずっ~と私、探してたんどすけど(笑)

実は、私は生来おおざっぱなもので、
1ヶ月の食費や光熱費、雑費などを、ゆうちょ銀行の封筒に
小分けにして、入れて使っているのですが、

まさにそのうちの1枚が、いつのまにか見あたらなくなっていたので
おかしいな~と思っていたら、こんなところに。(笑)

<はよ、遠慮せんと、とっとおくりゃす!!>とおっしゃるので、

この年で親からお年玉をいただくのもアレですし、

これは子供として、頂戴したものなのか、はたまた
<お供の者>としての、お遣いの駄賃なのかが、
よくわからなかったのですが(笑)

せっかくなので、<よ~~でけた娘>としては(笑)

たとえ千円札が透けてみえていようとも、
<ほんまに、心ばかりどすな~>とは、言わず(笑)

<いや~~!こんなん、もらえるとはちぃっとも思てへんかったし
 びっくりどすわ!!ほんまに、もろうてもよろしいの??
 ありがたく頂戴します!!私にまで気つこうてもうて~!
 ありがとさんどす!!!>

と大喜びしてみたところ、ニッ~~コリと満面の笑み♪

ほんとは、
<勝手に封筒持ってったさかい、探しまわってましたんえ!!>
と文句言いたい気持ちは、グッと押さえつつ(笑)

<このハンカチは、ほんまに趣味がよろしな~!>

とゴマをスリスリしながら、

いただいた封筒の<お年玉>の文字を消して、
<1月分>と書き直そうと思ったのですが、

この年にして、お年玉をいただいた記念に(笑)
貴重な封筒、はとっておくことにしました。

おおきに!ありがとさんどした!(*^_^*)

No.67 動物さんたちと一緒のリハ

riha

リハビリの先生が、毎週、母へ<自主トレ>という名の
宿題を、課して帰られるのですが、

来られるたびに、新たなメニューができるので、
なかなかずっとその全部を覚えていることはかなわなくて。。

最初は、言葉で、<ベッドの上で右を向いて。。>って
いうふうにリハビリのやり方を書いたものを
ベッドのわきの壁に貼っていたのですが、

なんやこう、言葉ではもどかしいというか
書いた自分でも、ときどき、わかりづろうて(笑)

で、イラストで運動を表わそうと思って、
介護に関するイラストのフリー素材を
PC上でずいぶん探してみたのですが、

なかなか、ほれ、こう、<動き>を表しているイラスト
っていうのが、なかったんです。

それで、苦肉の策と申しますか(笑)
私の部屋にあった、誕生日とかに友だちにもらった
ぬいぐるみの動物たちを総動員して、

あっち向かせたり、こっちへ曲げたり、
ペットボトルをもたせたりとかして、
リハビリのメニューを表したものを、

宿題が出た順番に、壁に並べてずらっ~~~と
この写真のようなのを次々貼っていきました。

私は、自分が苦心して創ったものだけに、
それぞれに可愛くて、気に入ってるのですが、
母には、これがまた、まったくの不評でして(笑)

<ようちえんみたいで、いやどす。。
 もう、できるようになったんやから、
 はよう、これ、とっとくなはれ!!>

と言われ続けてるのですが。。

<あきまへん!
 寝てても、これが目に入ったら、

   またコケたら、こういうのを
   最初からみんなやらんとあかんのやなぁ~

 と思うて。。ほな、ちょっとは 
 横着なこと、せんようになりますやろ?> 

と言いながら、今もベッドわきの壁に貼り付けてあります。

ホントはね、苦労して作ったので、はがすのがもったいない、
っていうのが、本音なのですが(笑)

それでも、このリハビリをひとつ、ひとつ、毎日
頑張ったおかげで、今日があるのですから。。
お母さん、やっぱり動物さんらにも、感謝せんとね!(*^_^*)

また、母の部屋にこられたお医者さんや看護婦さんが、
このメニューを見て、
<へぇ~こんなん作らはったんですか?
 マメやね~!家族のみなさんも頑張ってはりますね~!>
とかって、ほめてくださるたびに、母上が、

<わたしも。。頑張ってます。。>
とボソッと、つぶやくものだから(笑)

皆さん、慌てて、

<えっ!そらそうえ~~!!よ~う、わかってますえ!!
 そらもう、なんていうても、お母さんがいちばん、
 頑張ってはりますもんね!!!>

と、みんなから言ってもらって、やっとニッコリ笑顔。

ハイ、ハイ、いちばん頑張ったんは、母上でござりまする、
み~~んな、承知いたしておりますので、ご安心あれ!

それにしても、いくつになっても
負けず嫌いは、変わりませんなぁ~(笑) 

というか、負けず嫌いは、そなたのDNAどすな!(*^_^*)

No.68 節分をめぐるあれこれ

節分

毎年、節分のときの、お約束で、
いつも近くのお寺で、あの赤レンガで造った大きな丸い
お皿みたいな、<ほうらく>に家族の名前と
無病息災、家内安全etc.お願い事を
筆で書いて、奉納しているので、

今年も、人出の少ないうちに行ってこよう!
と思って、朝早めに出かけようとしたところ、

母上から、一枚のメモ用紙がやってきて、

<これ、みんな、ちゃんと、じょ~~~うずに、
ほうらくに、書いてきとうくなはれ!
あんたはん、お習字、習てはりましたやろ!>

とのご勅命が。

見れば、そこにはうちの家族だけでなく、あの、
<介護=スルー>主義の、わが兄弟姉妹の家族の名前
らしきものが、ずらりと(笑)

だいたい、ほうらくのあの、まあるい表面に、
あそこにおいてある筆で、文字を書くことだけでも
やってみたひとにはわかってもらえると思うのですが、
かなりの熟練の技が必要で、それを<じょう~~~ずに>
と、面倒くさいことこのうえなし!!

しかも、お習字、習てはりましたんは、もう
ウン十年も前のことです。

無病息災たら、交通安全たら、家内安全たら、
書くだけでも、一苦労やのに、何が哀しいて、
親戚一同の名前や生まれ年まで。。。。と思いながらも、

隣で、<こやつ、ホントに書いてきまっしゃろか?>
というような疑いの目で、じっ~~~~とこちらをにらんだまま、
こっちへ紙を突きつけてらっしゃるもんで、

<ハイ、ハイ、わかってます。
みんなの分、ちゃ~~んと書いてきますがな。>と言って、
メモ用紙を受け取りましたが。。。

お母さん、
だいじな、お孫さんの名前が、ちごてますえ。(笑)
ほんで、私の年も、えらい若うなってますけど。。
まぁ、それは、見た目、いうことで、よしとしときまひょ(笑)

そうそう、そういえば、
昨日も、訪問入浴のスタッフさんが
来られたときのこと、

節分の豆まきの話になって、

  豆まきもせんとあかんし、ほんで、お豆も、齢の数だけ
  食べるでしたっけ?

と二人で話していて、ベッドに横になってる母に、

<お母さんは、全部食べたら、おなか壊しますさかい
 食べたら、あきまへんえ!>(笑)と言ったところ、

なにやら嬉しそうに、笑いながら、

<あんた、知らはらへんのどすか?
 お年寄りは、みんな、齢の数から60ひいた数だけ、
 お豆さん、食べるんどっせ!!>と、得意顔、

そんなこと、初めて聞くな~ それ、ほんまかいな??!と
思っていたところ、看護師さんが、母に向かって、

<へぇ~そうなん?ほんなら、お母さん、18歳??!
 いや~、それやったら、ピチピチやないの~~!!>

と信じた様子で、言ってくれたもので、もう満面の笑み(笑)

<ピチピチはピチピチでも、お正月に太らはったさかい、
 寝間着がピチピチ、どすな!(笑)> と私が、言うと、

<節分やのうても、うちには鬼が、おりますさかい、
ほれ、ここに!>と逆襲に出てこられたので、

<さっきの、60ひく、言う話は、作らはったんどっしゃろ?
 今、とっさに、お母さんが作らはった話でしょう!>
と意地悪く返すと、

<豆、好かんので、いりまへん。。。>と今度は拗ねたご様子。

形勢が悪くなると、とたんに、話をすりかえようとするのは
いつもの手なのです。

<豆、嫌いどしたかいな。。
ほな、今年は、甘納豆も買わんでもよろしな?>と言うと、

<甘納豆は。。。。いります。。>

いっそのこと、うちは、豆まきやめて、甘納豆まきましょか?
ほんなら、お母さん、鬼役でも、よろしおすやろ。(*^_^*)

No.69 イケメンクリニックに行けへんのは。。。

doctor

虫歯が。。でけた。

私はこれまで、何度か開腹手術なんかもして、
麻酔で死にかけたりもしましたけど、
そういう大手術よりも、なによりも、実は、
歯医者さんが、恐いんです。(笑)

それやのに、それやのに、虫歯がでけてしもた。

うちから徒歩3分、中学時代の同級生のお兄さんが
歯医者さんの先生で、マスクをとった姿をちらっと拝見したら
当時の面影なんかも、あって。

でも、とっても、恐いのです。
どんなふうに恐いかと、いいますと、たとえば。。

<痛かったら、左手をすぐ、あげてください。>

とおっしゃるから、左手をあげるとします。すると、

<もうちょっと!辛抱して!!>と、言われます。(笑)

ほな、なんのために、わたし、左手あげたん???と思いつつも、
生来、辛抱づよい(?)わたしは、なんとか辛抱を試みます。

試みてはみますけれど、
いくら辛抱しようとしても、やっぱり痛いもんは、痛い!

なので、あの、ずっと昔にアニメで見た、あの、
パタリロのように左手をパタパタ上げ下げして、
激しくアピール!

したところが、

<もうちょっとやから! 
 どうしても我慢できひんかったら、麻酔しますから!>って。

なんで? なんで、最初から麻酔やったら、アカンの???!
もう意味不明です。

仕方ないので、爪で右足の腿のあたりをつねってガマンしてたら、
うちに帰ってから見たら、紫色のあざが。。でけてました。

はぁ~。

そんなわたしの、苦労(?)も知らず、
父は、うちからかなり遠くの、先月開院したばかりの
なんと<なんとかレディースクリニック>というハイカラな名前で
先生はじめ、スタッフさん全員が、若くて<超べっぴん>な女性ばかり、
という歯医者さんに通っていて、

<わしら、歯医者さんで痛い思いしたことなんか、
 いっ~~かいもない!>と得意げなご様子。

一方、母の訪問診療で、来てくれはる歯医者さんは、
テレビの連ドラの主役の俳優さんにソックリの
母曰く、イケメンで、<超優しい先生>とのこと。

なんで、わたしだけが。。。

とまぁ、そんな歯医者さんに通っていますもんで、
いつも、歯医者さんへ行く日、母に、

<歯医者さんへ行ってきます。>と言うと、決まって、

<そうか、そうか~。お気の毒なこって。。>との返事が。
 
それでも、こう気分が凹むのを、なんとか自分でも、
元気を出さなあかんと、思うて、

<そやけど、たいしたこと、ないと思うわ。 痛いいうても
 30分したら、必ず次の予約の患者さんがきゃはるんやし。。
 30分の我慢やさかいな。。>と言うと、母から、

<そんなもんは、行ってみんと、わからしまへんえ~~!>と
 
 ものすごう嬉しそうな顔で、お返事が。

 あのですね、お母さん、
 私が、あの、歯医者さんへ痛みをこらえながらも
 毎回叱られながらも、通ってるのはですね、

<うちから徒歩3分>やからでっせ!
 うちを空けてる時間が、短うてすむさかい、行ってるんどす!!
 
すなわち、<あんたはんのために>通うてるんです、
それ、わかってもうてますやろか?(*^_^*)

No.70 笑えたら、こっちのもん!

笑いには、<癒し>の力があることは、科学的にも証明済みだ
そうですが、厳しい現実も、笑いにできる力、があれば、
しんどいときには、百人力!になると思われます。

わらう、と言っても、他人を哂う、嗤う、のではなくて、
<自分を笑う>ってことなんですが、

<もう限界!もうヤダ!!もう絶対無理!!!>
そう思うときでも、結構、人間は笑うことができるんや、
いうことに、介護をし始めてから、気づきました。

<なんで、よりによって、いっつも、
 私がお風呂から上がったあとで、こうなるわけ??!!>
と、ひとりブーブー文句言いながら、おしもの世話のあと、
床を拭くときにも、

<なんで、寝入ったばかりのときに限って、
 お呼び出しコールがかかるん?!>
と真っ暗ななか、寝惚けまなこで、駆けつける際に、
一枚ガラスの戸に衝突して、高いメガネがひん曲がったときでも(笑)

最初は、こう血圧がぐ~~~んと上がっていくのが
自分でわかるくらい、どんどん頭のてっぺんにむけて
血がのぼってても、

しまいになんか、こう、そういう自分の姿が、ふいに
可笑しうなってきて、クスクス笑い始める、なんてことがあって、

そんなふうに<笑えたら>あとはもうこっちのもんで、

<もう笑うしかしゃ~ないな~(笑)、ほんまに!>
そう思えたら、

あの宿敵!たる、<何で私が、こんな。。>の、
<自己憐憫のぐるぐる回りの輪>から、一抜けすることができる、

そういう意味において、

人生の後半に向けての備えに必要なもん、そう言うて、
<お金、家族、人のつながり、情報。。。>
などなど、いろんなことが挙げられますけど、

私はぜひともこの、<自分を笑える>才能を磨くこと、
これに、一票を捧げたいと思っています。

なんてっても、これは<無料(ただ)>やし、
金庫に入れとかんとひとに盗られる、いうこともありませんし♪

これから、ますます手強くなってくるであろう家族を前に、
研鑽を積まねば!!と意を新たにしている今日この頃です。

今日も、今日とて、

昨日から眼にキズができたらしい痛みで眼科に
行ったところ、白内障手術の説明を受けるためということで、
年配のおばあちゃんがひとりで来てはって、

耳が遠くていらっしゃるので、まず説明が聞き取れないうえに、
説明自体が医学用語などもあって、わかりにくい、ご様子。

おそらくご家族が同伴されてないのは、ご事情がおありなのだと
思うのですが、大変だな~と思いながら見ていて、帰宅した折に、
今日、こういうことがありましたんや、と母に話しながら、

<お母さんみたいに、
 家族がこうやってなんでもやってくれる、いうことは
 ほんまに、幸せなことなんえ。>と言ったところ、ひと言、

<そら、精進!!日頃の精進どす!!!>と。

どなたの?? だれが??いつ、精進を??
と思わず聞き返したところ、

<私に、決まってまっしゃろ!! 
 わたしの日頃の精進が、ようて、そのおかげどす!!!>と。

あんまりあきれたお返事やもんで、ムッとして、

<ほんなら、私も将来、
 うまいこと神さんがしてくれはりますやろな~
 毎日、こうして、お母さんのお世話してるっちゅうことは、
 もうえらい、精進を積んでる、いうことどすし、
 なぁ、そうどすやろ?>

と尋ねてみたところ、こちらの顔を、チラっと見たあと、

<ひとのことは、わかりまへん。>と、一言だけ返ってきました(笑)

なんですの、それ?!

たとえ心のなかでは、そう思うてても、せめて

<そやね~、ほんまに、ほんまに!>

ぐらいは、あるいは、100歩譲ったとしても

<そうや、とええね~>

ぐらいのことは、言えへんもんどすか?!

まぁ。。たしかに。。
ひとのことは。。わかりまへんけど。(*^_^*)

No.71 ディカプリオのお父さんとズロースの話

リーチャーの先端に!

先日、実に、いいこと、を聞きました。
医学的に言っても、

 <いらいら>しないと。。。心臓病になるリスクが激減する、らしい。

 <くよくよ>しないと。。。ガンリスクが、激減する、らしい。

そうです。

ってことは、これを心がければ、よく言われる、3大疾病のうち
2つも大きく遠ざけることができる、ってこと。

 <いらいらしないで、くよくよしない>でいた1日は、満点!

 <いらいらしないで、くよくよしない>でいられた人生なら、満点!

と思いながら、暮すことに、しよう!
このお話を聞いてから、そんなふうに思って、過ごしてます。
これだけやれてれば、もう あとのことは、みんな、良くも悪くも
<オマケ>ってことで!

と言うのは、ずっと昔、雑誌で
あの、ハリウッド俳優のディカプリオさんのお父上が
毎朝、ディカプリオさんをベッドに起こしにきたときに言っていた
心に残ったフレーズ、というのが紹介されてたんですが、それが、

 おい、坊主! 朝起きて、自分でパンツがはければ人生、満点だ!
 あとは、なにが起きたって、オマケってもんさ!

というものだそうで、今も、その言葉はずっと心の中にあります、と
いうお話でした。パンツと言えば、

うちの母は、片方のひざが曲がらないもので、
とてもオリジナル(?)な方法で、毎朝、
おパンツをはいてらっしゃいます。

はかせてあげる、いうんですが、
自分でベッドわきに立つことができるようになってからは、

<自分でできることは、できるだけ、自分でせんとあきまへん!!!>
と言って、きかず、

いわゆる、残存能力の最大限活用ってことで、
私はいつも、見守り役、に徹して見学しているのですが、

ベッドわきに立つと、おもむろに、グンゼのズロース、サイMを
床(といっても綺麗にタオルをしいてあります)にポトンと落とします。

それから、ベッドサイドにひかっけてある<リーチャー>、いわゆる
落ちたものを拾う、あのマジックハンド、ですわ、
あれで、ズロースの両足を入れる部分を作るために、丸あるい穴を
2つ、作ります。

その穴にところに、片方ずつの足をはめこむと、またまたリーチャーで
ズロースの片方の腰の部分の布をつまんで、グイッとひざのあたりまで
引っ張りあげます。

ひざ上あたりまで引っ張ってこられたら、もう一方の手でそれを掴んで
グイッと腰のあたりまで、もいっかい、持ち上げて、

反対側も同じ要領で、腰のあたりまで、ズロースの布を上げます。

順調にいけば、この間、1分ほどで、おパンツはけます。

母曰く、
<最初にわっかをうまいこと、作るンと、
 リーチャーでひっぱりあげるときに思い切りようすることが、
 熟練の技>やそうです。

それにしても、
いつも、この作業(?)を見てて思うんですけれど、
グンゼのズロースのMサイズは、どう~~~~~~見ても、あれは
ふつうでいう、<LL>サイズどすな。(笑)
あれでMなら、Lは、カバさんでもはけそうやおへんか?と
言うのですが、母は必ず

<これは、Mどす!!!!!大きいことおへん!!!>
の一点張り。

ぜひ、機会があれば、グンゼのズロースMサイご覧になってみて
くださいまし。きっと私に一票いただけることと、存じます。

で、なんのお話をさせてもろてたん。。。
そうそう、くよくよしない、いらいらしないことが、大事、いうこと
でした。(笑)

ディカプリオさんのお父上ではありませんが、

母にしても1年前は、こうして自分でおパンツを上げることも
かなわへんかって、ひたすらリハビリの先生のお言いつけを守って
リハビリを続けたおかげで、こうしてパンツをはけるようにまで
なったんやさかい、

自分でおパンツをはける、いうのはあたりまえのことやのうて、
ほんまに、ありがたいことやと、実感しています。

なんというか、こうして
おんなじような毎日をひたすら、続けているようでいて、
でもなにかしら日々のなかでは、ええことも、また、ようないことも、
起ってきますけど、そういうときは、またこのお話を思い出して、

 おっ! ええオマケがころがりこんできた!! もしくは、

 まあ、ええわ! パンツはけたんやし、
 こんなんオマケみたいなもん!

そう思うて、なんとか、くよくよせんと、いらいらせんと、
お布団に入れるように、頑張りたいと思います。

それにしても。。。お母さん、やっぱり、あのMは大きおすわ。(*^_^*)

No.72 チャンネルを回すように。。。

花

今でこそ、テレビのチャンネルは、
リモコンのボタンを<押して>変えるのですが、

ず~~っと昔、まだテレビが一家に一台で
居間にど~んと王様のように陣取っていた頃には、
チャンネルは、ガチャガチャと、<回して>
変えるものでした。

マザーテレサの本を読み漁り、感銘を受けながらも
感銘を受けるに、終わったままの(笑)、ごくごく
いっぱんぴーぷるで、どちらかというと自慢やないですけど
堪え性のないほうにはいる、私は、

ジコチューファーザーの暴言に、そして
マイペースマザーの自宅内徘徊に、
毎日、<この~~!>と思う瞬間が、幾度も、あります(笑)

できることであれば、相手にしているのは、
平均寿命を超えたご高齢で、ご病気でもある方たちですので、
穏やかに、優しく、思い遣りの心でもって、
失礼のないように、丁重にお世話をさせていただく、
 
そんな<人徳>を身につけられると、誠に望ましいわけですが、
それはもう<言うは易し、行うはなんとか>の世界でして、
 
仁徳なしの娘としては、<この~~!>ってなったときには、
この<旧式テレビのチャンネル>を頭に思い描くことに、しています。

そして、頭のなかで、<ガチャ!ガチャ!>と、チャンネルを回し、

<この~!>の怒りの画面を、頭から追い出して、かわりに
楽しいこと、楽しみなことを、考え始めるようにしています。

<何があっても、怒らない介護>というのは、おそらく凡人の私には、
この先何年介護が続いたとしても、おそらくその域に到達するのは
まず、インポッシブル(不可能)に思われますし、そもそも

そんな高みを目指すことそのものが、日々、よけいな
プレッシャーを自分に課すことになるので、

ここはひとつ、自分にもできそうな、
<怒りを抱き続けない>ことを、もって自分の介護における
努力目標にさせていただきたいと思います。

そして、もうひとつ、日々の、私の、強力な味方は、
ターシャ・テューダーさん、です。

NHKのBSの番組でよく特集されていた、アメリカの絵本作家の方で
少し前に90歳を超えて少しして、お亡くなりになったのですが

彼女が、あの夢のようなイングリッシュガーデンを自宅の庭に
造り始めたのは、なんと56歳の時でした。

   自分が置かれた立場を、状況のせいにしてはいけません。
   楽しみは、創り出せるものよ。

はそんな、ターシャさんの言葉です。

怒りや、憎しみが、長続きしないように、
怒りや、憎しみにとらわれ続けないでいられるように、
楽しみを、創り出していきたいと、思います。

好きな花、好きな場所、好きな映画、好きなひととのお喋り、
好きな小説、好きなスィーツ、好きな歌、好きな詩、
なんでもいい、どんなに小さな喜びでもいい、

楽しみを、創りだすこと、
楽しみをたくさん創りだすこと、創り続けること、
それが、とても大事な気がしています。

今日は、上等の箱入りチョコをひとつ買いました。
口に入れると、幸せ感がいっぱいに広がりました。

そやけど、お母さんには、あげまへんえ。

さっき、私が片付けしてるまに、
こっそり、おかき、食べてはりましたやろ?
右のほっぺが、異様に膨らんでましたさかい、
すぐわかりました。(*^_^*)

No.73 スヌーピーと天ぷらうどんの関係

snoopy

今日BSを見ていたら、チャールズ・シュルツさんの
奥様がインタビューに出ておられて、
2000年にチャールズ・シュルツさんが亡くなられたって
ことを、初めて知りました。

チャールズ・シュルツ言うても、
あまりピンと来られないかもしれませんが、

あの、<スヌーピー>の生みの親と聞けば
あ~、あのスヌーピーの作者さん!って
きっとみなさんご存じかと思います♪

もう20年以上前になりますか、
英語の本のなかにスヌーピーシリーズが
使われてることがあって、とてもお世話になったので、

ふと思いたって、本の最後にのっていた住所へ
シュルツさん宛てで、手紙を書いて送ったことがありました。

スヌーピーと仲間達が大好きだってこと
(とくに毛布をひきずってるライナス君が)
英語の勉強をするのに、スヌーピーシリーズの
漫画を読んでいること、などなど、を書いて、
送ってみたことがあったのですが、

しばらくすると、ご本人から自筆署名入りで
お返事が届きました。

もちろん、間違いだらけの英語の手紙を
送っていただろうと思うのですが、

とても丁寧に、手紙をもらって嬉しかったこと、
スヌーピーと仲間達を気に入ってもらえて
嬉しいこと、など、便箋にぎっしりと綴られたお返事が
スヌーピーの便箋に綴られていて、
とても、嬉しく思ったものでした。

今も、スヌーピーと仲間達の本は、
うちの本棚に、何冊か並んでいます。

ときどき、読むことがあるのですが、
4コマ漫画のような、短いストーリーなのに、いつもなぜか
とても癒されます。

疲れたとき、
チャーリーや、ルーシー、ライナス
シュローダー、フランクリン、ウッドストック、
ペパーミントパティのような、ピーナッツのなかまたち、
こんな仲間がいてくれて、
チャーリーをなぐさめるように、声をかけてくれたら、
きっと、癒されるだろうなぁ~と、思ったりします。
チャールズ・シュルツさんは、ひょっとしたら
そんな思いをこめながら、あの
ピーナッツシリーズを描いてられたのかもしれません。

彼らのように、癒し上手になるのには、
どんな魔法があればいいのでしょうね~。

そう思うて、ふと母に、

<お母さんは、なににいちばん、ほっこり、癒されたり
 しゃはりますの?>

と尋ねてみたところ、

<セブンイレブンのお鍋、欲しおす。。>と思いがけないお返事が。

なんでも、最近発売になったとテレビで宣伝されてたようで
アルミの容器に、同封されてるおつゆとお水をいくらか注いで
そのままIHにかけるだけで、てんぷらうどんやきつねうどんが
こさえられる、そうな。

<便利どっせ~~!あんた、そのままIHにかけるだけで、
あと、洗いもんも、せんでええんどっせ!!。
ほんで、てんぷらうどんやったら、あれどっせ、
うどん食べてしもたあとで、
おつゆに、さとうのごはんいれて、おじや、作れますやろ?
どんだけ、美味しおすか!!!>

と、まるで食べたことがあるようなご様子で、猛プッシュ!(笑)

まぁ、IHにのせるだけ、洗いもんがない、いうのは、
私にも、かな~~り魅力的なことやさかい、

明日は、ぜひ、セブンイレブンに行って、
お鍋を仕込んできて、二人して、
ほっこり、癒されましょうぞ(*^_^*)

No.74 猫の手くらぶなるもの

みなさん、<猫の手くらぶ>ってご存じですか?

これは、病気を機に山梨の八ケ岳山麓に
移住された歴史家の方が、

引っ越してみると、まわりに
ひとり住まいの高齢者の方がとても多かったことから
作られた、仲間内での助け合いの会、の名前だそうです。

猫の手くらぶの趣旨及び活動というのは、

ひとりでいること自体は、なんともないけれど、
何かのときに困る、ので、仲間内の通貨<ニャン券>
というのをやりとりすることで、

たとえば、駅までの車での送迎、とか
犬の散歩をさせてもらう、など
互いに助け合いましょう!というような、会
なんだそうです。

ただし、
みんなでおかずを持ち寄って、分け合ったり、
誰かの具合が急に悪くなって、病院に付き添ったり、
っていうときには、ニャン券なし、なんだそうです。

もちろん介護保険を使っての医師の往診とか
ヘルパーさんを利用したり、とかもしているけれど、

このくらいまでは、行政に頼らず相互扶助でカバーできる、
という、新しいコミュニティーのかたち、を作りたかったと、
話されていました。

猫の手でも、借りたい、
そんなときに助け合うので、
<猫の手くらぶ>というネーミングだそうです(笑)

また、<猫の手くらぶ>に入会するには、
守るべきルールが3つあって、

 1.昔のことを掘り出そうとしない
 1.自慢話は、しない
 1.ひとのうわさはしない

この3つの決め事を守って、
今、目の前にいるそのひと、を尊重する、
ということをなにより大切にする、のがモットーの会で

みんなにとって
風通しのいい、大人同士の集まり、であることを
心がけておられるそうです。

高齢になるということは、
当然ながら、それぞれの方に、
その日に至るまでの、<人生>があるわけですが、

だからこそ、

高齢になってお知り合いになるときに、大切なのは、
車でいうなら、車間距離、
<ひと同士の距離感>のように、思います。

なにかのきっかけで、急に仲良くなったり、また
何かをきっかけにして、まったく疎遠になったりすることは
たやすいことに思えますが、

お互いに、居心地のいい距離間でもって、
長くお付き合いをしながら、
困ったときには、手を差し伸べ合える、

そういう関係でいるのには
互いに、努力や心がけが必要で、また

自分は、このくらいの距離かな~って思っていたら、
相手にとってみれば、それは近すぎてツライ、なんて
ことも、あったり、またその逆もしかりで(笑)

たしかに、たったの3か条、ではありながら、
なかなか、これが、<言うは易し、行うは。。>ってところは
あるかとは、思います。(笑)

でも、それができれば、それこそ、とても素敵な関係を
長く続けていけるような気がしますし、また

そういう<ひととの距離感>を自然につかめるようになれば、
それはもう<人生の達人>の域に達した、という
ことなのかもしれません。(笑)

<猫の手くらぶ>
うちのほうでも、できるとええなぁ。。
そやけど、3か条、守れますやろか、
とくに3番めのは、むずかしおっせ(笑)

そう思いながら、そばにいた母に、
<お母さん、猫の手くらぶ、いうのがあるんやそうでっせ。
そやけど、ひとのうわさするひとは入れへんのですって。>
と言うと、

<そら、あんた、猫の手も借りたい、いうときに、
 ひとのこと言うとられしまへんわな。>

いやいや、そうやのうて。。(*^_^*)

No.75 レンチンで、行きまひょ!

料理をしていると、ときどき思うのは、
費やした労力や時間と、気に入ってもらえるかどうかが、
必ずしも比例しない、という事実。

ちょっと上等なスーパーまで足を運んで
ハイカラ(?)な食材や、珍しい和食の食材などを
せっせと買い揃えて、好みも十分配慮しながら

いろんな香辛料も使って、長時間かけて、完成させて
<どうよ!>とばかりに、美濃吉やなんかの器に出したとしても、

一口食べただけで、お箸で、文字通り、ズズズイ~と
器ごと押し返されてきて、一巻の終り!

ということもあれば、一方で、

たまにしか作らないため、作り方も調味料の量も適当で、
下ごしらえもレンチン(電子レンジでチン!)で済ませ
ささっと和えて盛っただけの、文字通り3分クッキング、
の品が完食!

なんてこともあって、

<こんなに手間をかけて、時間をかけて頑張ったぞ!>が
<適当もいいとこ、楽してチン!>に、負けた日には、

どっと疲れも出るわ、怒りもこみあげるわ、で、

ほんに時間も手間暇もうんとかけたものが、お箸でつついて
もどってきたときの忸怩たる思いたるや(泣)
誠に、やりきれなさもいかばかりか、という感じなのですが、

きっと食べる者にとっては、まさに
<自分にとって美味しいかどうか>、これがすべてであって、

どんな苦労があって、とか、どんだけ時間を使ってとか、
料理する者のことなどあずかり知らぬところ、ってことなのでしょう。

これって、介護に、似てませんやろか?

よかれと思ってあれこれ考えて、何から何までお世話して、
時間もいっぱい使って。。。それが、
た~~~んまにお土産もってきて、優しいこと言って帰る、
のに、負ける(笑)

もしくは、人生に、似てませんやろか?

すっごい真面目な努力家で、優しく思いやりもあって、
(※注 わたしのことでは、ありませんヨ)
こんなひとこそ、幸せにならないと!!ってひとが苦労続きで、

いつかきっと、罰があたるぜ!!と思いながらみているひとが
次から次へと、棚からぼた餅的に、<ついて>ることばかりで、
なんてね。

つまりこの世で起こるおおよその出来事は、
料理の法則によれば、
<頑張ったからって、それだけ、報われる>ことは、ない、が、
<楽したからって、バチがあたるもの>とも決まってないってこと、

ならば、この際、料理も介護も、そして人生も、
<レンチンで行こう!>と、本日決心した次第です♪

といっても、もって生まれた性分もあって、
慣れない法則には、なかなかすっと転身ともいきませんやろけど

不器用者にとっては、きっと
<レンチン、レンチン、レンチンで行こう!>
そう思うてやってるぐらいで、
ちょうど、<ええかげん>になるんやないかと、
思うわけです(笑)

少なくとも、<怒らない技術>なんて本を買わへんでも
ええようにはなるんやないか、とは思います。(*^_^*)

No.76 ええかげん、がいちばん!

今日、朝のNHKの番組、朝イチは、
<ネット依存>の特集でした。

出演者のお医者さんの経験によると、

真面目で律儀なひとほど、<ハマる>危険性があって、
ネット依存にならへんためには、
<いいかげんな人間>でいることが一番!
いうことでした。

京都弁で言うと、
<ええかげんな人間>、いうことになりますな。

私の介護生活なんかは、おそらく
介護してはる、みなさんのなかで言うたら、
とても<楽チン>な部類に入るんやろうなぁと思います。

そやけど、そんなわたしでも、
自宅での介護を長いこと続けていくとき、
行き詰まらへんようにするには、そこそこ
<ええかげんな人間>でいることが、大事なような気がします。

つまり、
してあげんとあかんお世話はきっちりしてあげてても、
なんていうか、こう<気持ちの部分>において、
言うことですけど。

だいたい、世の中では、
<いいかげん>いうのは、一般的には、あんまり、
いい意味で使われへん言葉で、反対に、
<真面目、几帳面>いうのが、日本人には、美徳と
称えられがちですけど、

ずっと長いこと介護を続けていると、
この<ええかげん>の大事さ、つまり
命にかかわらへんことやったら、
<まぁ、よろしわ、そいでも。>と
流せることで自分がいっぱいいっぱいに
なるのを助けてくれるような、そういうことを
感じたりします。

そんなことを考えながら、母のことを思うと
母というひとは、ほんまに
<ええかげん>が服を着て歩いてる、いうような
そんなおひとで。(笑)

なので、
<今さら言うのもなんですけど、お母さんて、
 ほんまに、ええかげんな、ひと、どすな~>

と言葉をかけてみたところ、

<へっ?なんどす?ええかげん??
 そうどす、わたしは、ええかげんな人間どすえ。
 ええかげんなんが、いちばん、どす!!
 そやないと。。。。あないになってしまいますえ(笑)>

 といいつつ、
 エイリアン1号(几帳面が服着て歩いてる、父のこと)
 のほうをチラ見(笑)

 たしかに。ええかげんが、いちばん、どすな(笑)

 ただ、そのあと、もうひと言あって、

<そやけど。。あんたも<ええかげん>には、なれまへんえ。
 あんたはまた、ええかげんにしなアカン!!思うて
 いっしょうけんめいに、ならはりますやろ?(笑)
 それでは、ええかげん、に、なれしまへん。

 ええかげんになる、いうのも、なかなか難しおっせ!(笑)
 だれでもなれる、いうもんやおへん!!>

とのお言葉。

そないに、<ええかげんな人間>やって、
自慢されても(笑)

いえいえ、お言葉ですが、母上、

あなた様のお世話は、かな~り<ええかげん>な人間でないと、
言われること、ひとつひとつ頭にきてては、
つとまりまへんさかい(笑)

わたしも、そこそこ<ええかげん>になる極意は、
お母さんからのDNAのおかげか、
介護生活の賜物か、身についてるようどすけど。(*^_^*)

No.77 サンダルをめぐるひと騒動

<また、誰かがワシの下駄履き、履いて帰ってしもたんや!!>
と激怒しつつ、ジコチューファーザーがご帰宅あそばしたのは、
これで、3度目。

<そやから、言いましたやんか~
 洗濯ばさみひとつ、持ってって、ピチッ!と右のサンダルと
 左のサンダルをひっつけときなはれ!って。。>

<誰が、洗濯ばさみで、靴はさんだり、してはる?
 そんなんしてはんの、お前は、見たことあるんか!!>と激怒。

そら、近所のお医者さんでは、見たことあらへんけど、
大人数の学校に通っていた私は、いつも体育館で集会があると
ピンクの洗濯ばさみを持ってって、運動靴をピチッと
はさんでいたのでした。

こうしたら、右と左がバラバラに離れしまへんし、
ひとさんの靴と間違うこともあらしませんし♪

<あかん!!!とにかく、新しいサンダル、買うて来る!!>と
お医者さんで借りてきた下履きのまま、近所の履物屋さんへ
いって、新しいのんを買って来たのを見るやいなや、母が、

<お父さん、お父さん!!それ、貸しなはれ!!!ほれ!!>と。

見ると、母の手には、なぜか、真四角に切った、ガムテープが
握られており、

サンダルを受け取るやいなや、ペタン!!とそのガムテープを
ちょうど、足の裏の土踏まずのあたる部分に貼り付けて、
上からゴシゴシとこすって、とれへんように、
しているやないですか。

<なんですの、それ?なに、貼ってますの?>と尋ねると、

<ほれ、見とうみ!こうしといたら、
 もうほかのひとの靴と間違うことあらしまへんやろ?
 よう似たもんがあっても、ガムテープのあるもん、
 探したらよろしいし、すぐわかりまっせ♪>

なるほど。(笑)

と、母にガムテープをはって、ゴシゴシしてもらったのにも、
かかわらず、またまた、それから、父は、そのサンダルを誰かに
履いて帰られてしまい、またしても、お医者さんの下履きで帰っては、
あらたなサンダルを買いに。。。ほんまに、あほちゃうやろか(笑)

と思っていたら、これにはさらに、後日談があって、

それからしばらくして、
父がまたそのお医者さんへ行ったときのこと、
待合室で、順番を待っているときにふと、下駄箱を見たところ、
自分のサンダルの、すぐそばに、同じ、あの、
真四角のガムテープが貼られたサンダルが!!!

<これ、これっ、私のどすわ!!!!私のサンダルや、ほれ、
 ここに、四角いテープ貼ってまっしゃろ?あれが目印ですねん!!!
 ほれ、ほれ、こっちにもおんなじ四角いの、貼ってまっしゃろ?!>

なんでも、そのサンダルを履いてこられたおじいさんは、
そう父に指摘されるやいなや、

<ワシは、ひとのもん、履いて帰ったりすることは、
 絶対せえへん!!>

と強く否定されたそうですが、

同じ待合室で、順番待ちをしていたおばあちゃん軍団が、
みんな顔寄せ合って、あの例の、<必殺!真四角のガムテープ>
を確認してくださって、

<ほんまや、ほんま!!これはおんなじテープや!!!
 このサンダルは、おたくのもんに、間違いおへんわ!!!!>と
 証人になってくださったそうで、

最後には、そのおじいちゃんも、間違って履いて帰ったということを
認められたとか。

やれやれ、一件落着!というところまできたところで、

お医者さんの受付嬢のおじょうさんが、<残ってたサンダル>いうて
新しいピカピカの、上等そうなサンダルを、持って参上され、

それが、そのおじいちゃんが本来、おうちから履いて出てこられた
サンダルやと、無事確認も、すんだのでした。

<ほら、お父さん、私が言うたとおり、貼っといて
 よろしおしたやろ?>と満面の笑みの母は、さておき、

父は、また手ぶらで帰ってきたのが、私は納得いかず、

<なんで、あの、間違うて履いて帰らはったサンダル、
 持ってはらへんの? 最初にシール貼ったん、
 あれ、返してきてもらわはったんどっしゃろ?>

と、尋ねると、なんと、

<今日は、雨降ってるさかい、
 その新しいピカピカのが濡れたらいかんさかい
 そのままそれ、履いて帰りなはれ>言うてやった、とのこと。

ええっ?!ほんなら、返してもろてはらへんの?? 
アホちゃうか、ほんまに。。

そのうえ、母が、興味津々といった風情で、

<ほな、お父さん、そのおじいさん、あのガムテープ貼ったまま、
 そのサンダル、履いて帰らはりましたんどすか?>と、お尋ねに。

もう!どっちでもよろしいがな、
サンダル、もどってきいひんのやから!
そこやないでしょう?怒らんならんのは!!

それにしても、この夫婦、
ほんまに、どないなってますんやろか、
もう、わたしには、ようわかりません。(*^_^*)

No.78 厄よけ粽が、きかへんのは。。。

この半年で、

家族が、交通事故に遭うこと2回、
家族が、外での、財布置忘れ1回、
うちに酔っ払いの車が突っ込むこと1回、
私が、精密検査を受けるよう言われること2回、
(幸い、どっちも、大丈夫でしたが)

と、あまりに災難が続くので、
今朝、祇園祭の鉾建て(ほこたて)が始まると聞いて、
それなら!!!と、<厄除け粽(ちまき)>なるものを
買いに、走りました。

これ、粽とはいいながらも、中身はからっぽで
食べるためのものではなくて、玄関に飾るためのもので、
(でも、千円!!千円どっせ!)

うちの玄関を入ったところには、

8月の大文字の送り火、
これを点した火(護摩木を焚いたもの)の消し炭を
半紙に入れたもん、ほんで、

その隣には、この祇園祭の粽(ちまき)とが、

うちの厄除けとして、
<災厄さん、どうか、うちには来ないでね~!>ということで、
飾りつけをしてあるのでした。

祇園祭のあいだじゅう、この厄除け粽は
手に入るものではあるのですが、とはいいつつも、

初日に、駆けつければ、その心意気をば
祇園祭の神様も、かってくださって、

なんとか、今年の後半戦、
我が家を災厄からお護りいただけはしまいかと、
それだけのことなんですけど(笑)

梅雨明けの炎天下、えっちらおっちらと
自転車で、鉾町まで急ぎ、
鉾建てが思うように進まないせいでか、
お世辞にもご機嫌うるわしいとは、言えない
鉾町のおっちゃんに、

<そこの自転車、どないかせんか!じゃまやないか!>
と叱られながらも、

<粽はどこ? 厄除け粽!!もう、売ってはる?>と
あちこち聞きまくってようやく手に入れて、再びダッシュで帰宅、

押入れから、脚立をえっちらおっちら運び出し、
高いトコ、嫌いやのに、玄関の高い釘のあるところ、
大文字の消し炭のお隣さんの定位置に、ようやく、
<長刀鉾の厄除け粽>を飾れました!!

と、ほっとひと息して、脚立を降り始めた、
そのとき、居間のほうからなにやら音がして、
振り返ろうとした途端、足がすべって危うく落下寸前!!

<あぶな~~~~~い!!!>と大声を出して
脚立から、飛び降りたとたん、表の間を見れば、

カッタン(歩行器)ももたずに、

<どないしたん? どないしましたんえ!!!>と
こちらに揺れながら、歩くというより、前のめりに突進してくる母。

<すと~~~っぷ!!!!すと~っぷだす!!
 あぶな~~~~い、のは、あんたはんどす!!!
 カッタンは!!? カッタンは、どこやらはりましたん??!>

<へっ?!(都合が悪いことがあると、このへっ?!が出ます)
 どこて。。。そら、どっかに、やはるんやないでっしゃろか。。>

どっかにって。。。
カッタンとは、一心同体やって、そう言いましたやろ!!

あ~、いくら<厄除け粽>を買うてきても、
<厄除け消し炭>を、朝早うから大文字山に登って
もろうてきても、これでは、あかんワ。。。

なんか、びっくりして歩きだしてみたものの、
カッタンはないわ、後ろにももちろん、下がれヘンわ、で、
表の間でパタリロのように、手足をパタパタと
揺れてはる、その母のひたいに

<厄>ってシールをペッタン!!貼りたい気分になり、

<あれだけ、歩行器から離れたらアカン!!
 またコケまっせ!!て言うてんのに、
 何回言うても、きいてくれはらへんのやったら、
 <厄>ってシール、おでこに貼りまっせ!!!>と言うと、

<シールなんか、いやどす。。>とのたまわれたので、

自分の頭のなかのイメージの上だけですけど、
災厄の<厄>のシールを2枚(笑)、調達して、
父、母、それぞれ、の、おでこに、ペタペタする様子を
思い描いてたら、なんだか笑えてきました。

そらまぁ、粽でも消し炭でも、追い払てもらおう!いうのが
もとから無理ってもんやわ。

なんせ、もう、うちのなかに、どっこい、
居座ってはるんやさかい。(*^_^*)

No.79 夫婦が添い遂げるための極意とは。。

今日はめずらしくジコチューファーザーの具合が悪くて
夫婦ふたりとも寝たきり、という、我が家にとっては
いとも悲惨な状況でして、

いくら普段は、罵詈雑言浴びせまくられている
ジコチューファーザーとはいえ、
ベターハーフがダウンしてしまっては、
母もさぞ狼狽してるかと思いきや、

いつも寝たきりのほうの母が、いたって元気、っていうか
いつもにましてしじゅう笑顔で、気のせいか
ちいさい声で鼻唄まで(笑)

弱った敵(?)をカッタン(歩行器)のうえから
見下ろしている、その表情が、
いと嬉しそうに見えるのは、
わたしの思い過ごしでしょうか(笑)

いつもは、1日ほとんど寝たきり状態の母に向かって

<お前は、毎日寝て、食べて、テレビ見とるだけで、
 なんにもせんと、極楽でええな~。>

と暴言を吐いてるんは父のほうですが、
今日ばかりは母のほうが、

<お父さん、何もせんと寝てばっかりいるんも
 なかなかたいへんどっしゃろ?>(笑)

といっつも言われてさかい、ささやかながら
リベンジに出ていました。(笑)

そういえば、今朝のNHKで、
夫婦の会話がない、話をきいてもらえない、
相手の考えてることがわからない、と、妻のほうからの
不満を取り上げる特集をやってたのですが、

それをじっと見ていた母が、やおらテレビの
画面を指差し、

<みなさん、真面目に考え過ぎどっせ!
 そんなもん、なに考えたはったってよろしやないですか~ 
 どうせ、ひとのこっちゃし、ほっとかはったら、ええんどす。
 
 そんなことをあれこれ思うて、気にやんだりせんと、
 自分でさっさと楽しいことしてたら、そいでよろし!>

との感想を。

なるほど、どうせ、ひとのこと。。。。ほっときなはれ!
これが、長年もってきた極意どすな(*^_^*)

No.80 365歩のマーチ、知っといやすか?

365歩のマーチ

昔の歌のなかで、
たまにふと、耳にすると、あらためて
<あ~、こんなエエ歌やったんやな~>と
歌詞に、思わず聴き入ってしまうものがあります。

そういう歌に、めぐりあえたときは、
自転車で買い物に走るときの鼻唄に、
すぐに、採用させていただいてるのですが(笑)

そのなかのひとつが、子供の頃に流行ってたような
<365歩のマーチ>というとても懐かしい
歌謡曲なんですけど、

水前寺清子さんが歌っておられました。
この歌詞のどんなところがエエかと言いますと、
たとえば。。。
 
  幸せは歩いてこない だから歩いてゆくんだね~

とか、あるいは、
 
  幸せの扉は狭い だからしゃがんで通るのね~
  百日百歩 千日千歩 ままになる日もならぬ日も~

とか、はたまた

  幸せの隣にいても わからない日もあるんだよ~
  一年365日 一歩違いで逃がしても
  人生はワン・ツー・パンチ
  歩みを止めずに夢みよう
  千里の道も一歩から
  始まることを信じよう~♪

  といった、ところなんです。

近頃、なんとなくこの歌をよく鼻唄で歌ってるもんで、
今日も、母が、毎日のおきまりのリハビリ、
カッタン(歩行器)でのうちのなか歩き、を始めたときに、

せっかくなので、後ろから、ついていきながら、
BGMなりと、つけてしんぜよう!と思い、

  腕を振って 足を上げて ワン・ツー ワン・ツー
  休まないで歩け~♪
  ソレ ワン・ツー  ワン・ツー  ワン・ツー  ワン・ツー♪

と歌ってさしあげてましたところ、ふと見れば<眉間にシワ>の
いつものムズの顔でふり向き、こっちを見てひとこと、

<うるさおすなぁ~もう~~!
 カッタン、持ってますね! どないして、腕ふりますの!
 足上げたら、コケまっせ!!!よろしおすか、コケても!!>と。

 ハイハイ、そうでございましたな。

 まぁ、とりあえず、休まんと、歩いてってくれなはれ♪
 幸せに向こうて、ほれ、ワンツー! ワンツー!! (*^_^*)

No.81 入射角と反射角の話

理系の友達が、学生の頃に
<入射角と反射角は、同じ角度である>
という説教(笑)をよく、してくれたことがありました。

光は入ってきたのと、同じ角度で、
反射する、すなわち、

<お前の言い方が優しくないから、
 相手も、優しくない態度になる>のだそうで、

つまり、私の相手に対する態度が変われば
相手も変わる、ということらしいです。

<そやけど、優しうすることで、
 相手がどんどん許されてると思わはって、
 甘えてきゃはって、わがままにならはるってこともあるやん?>

と言うと、優しい彼は、
こりゃダメだと言わんばかりに、<だから、そうやなくて。。>と
ため息をついて、椅子にどっかりともたれこみながら、
なんで、コイツとつきあってるんやろう。。。っていうような
顔をしてはったもんでした。(笑)

それは、遠い昔の話ですけど、ココ最近の話、

あまりにジコチューで、プライドいのち!
人の迷惑省みず~~!!人の心配どこ吹く風で
誰に何と言われようが、わが道を行く!!!の実父に、

怒髪天を衝きまくり、
自分の堪忍袋の緒がブチッと切れる音が聞こえて
どっかへふっ飛んでって回収不能の事態、
そういうときがあったんですけど、

気の毒なことに、まさにそんなさなかに
偶然、訪問看護に来られたスタッフさんにも、
勢いが止まらず、

  あんなことも言われた!こんな迷惑かけても知らんぷり!
  あれだけ言うたのに、またこんなことも勝手にしてしもて!

と、次から次へと、思い浮かぶ限りの、愚痴をぶつけていたところ、

ベッドに横になったまま、長いことじ~と黙って聞いていた母が、
ぼそっと。。

<あんたも、同じやあらへんの。。
 ひとのいうことはちっとも聞かへんし、
 どんだけ心配しようが、なんでも絶対、
 自分が決めたとおりにしか、せーへんやないの。。
 ずっと、そうしてきたやないの。。。

 心配してるもんの気持ちがなんでわからへん!、いうたら、
 あんたも、おんなじどっせ。。>と。

<何が同じなもんか、フン!!>
とその場では、そう言うてみたものの、

今日になって、ようよう考えてみたら。。。

今はさておき、うんと若い頃の自分は、そらもう
若気の至りで、好き放題に、なんでもやってきてて、ほんま、
恥ずかしながら、母が言うてたように、ひとの心配省みず~という
たしかに、そんな風だったのでした(笑)

あ~あ、
思いがけのう、痛いところをつかれてしもうたな。。

そう思たら、父にも、
<もうちょっとだけ、優しい言い方、してみようかな。>と、
ちょっとだけ、そんな気になったりもします。

いうても、ほんの、ちょっとだけ、しかできひんやろうけど(笑)

なるほど、母上、

<小さいとき、親に心配かけただけ、
 こんどはあんたが心配しなはれ!>

きっと神さんがそう言うたはる、
と、そういうことなんでっしゃろな、きっと。(*^_^*)

No.82 できないんだ、から始めるべし!

茂木さんという脳科学者の方の話を聞いて、
面白いな~と思ったことがあります。

そもそも怒りや、憤りや、苛立ちや、自己嫌悪っていうのは、
だいたいにおいて、<なぜ、できないのか!>という
思考を経て、怒りをともなって、自分のなかに生まれてくるのですが、

なぜ、義援金が、スピーディーに分配されないのか?
なぜ、国をあげて取り組むといいながら、国会の審議が
ちぃ~とも進まないのか?
なぜ、原発の事故が終息しないのか? もひとつおまけに、
なぜ、兄弟にだけ介護を任せるのか? も入れといて(笑)

これらは、みんな、理由はいたってシンプル、

<できない>から、なのです。

それぞれに、諸事情があり、限界があり、
できない、から、されない、のであります。

そこを、出発点と、してみましょう、というお話です。

そう、あれもこれも、できない、のです。
専門家でも、政府高官でも、高学歴の知識人でも、政治家でも、
自分と同じように、たくさん、できない、ことがあります。

その<できない>を、できる、にするには、
どうすればいいのだろう? どんなことが考えられるだろう?
自分には、なにができるだろう?

そんなふうに、
できないんだってことを認めて、
そこを出発点として、考えていくことができるといいな、と
茂木さんは、最近、考えるようになられたそうです。

確かに、理由はいろいろあれ、
できないんだ、と、まずいったん、認める。
そして、認めたところ、そこを出発点とする。

そこから、心を動かすことで、
<怒りや憎しみに、振り回されずにすむ>のは、
とても大切なことのように、思えます。

そうしないで、もしも<いったい、なぜ、できないんだ!!>
<これも、できないのか!!あれもか!なにやってるんだ!>と、
怒ることのほうに、先に全精力を費やしてしまうと、
怒りや絶望のうちに、力尽きてしまいそうですし。

あ~、できないんだな~と、そこは、認めてしまい、
そこを、思考のスタートラインとして、
<それじゃ、どうしたもんかな~>とそこから、
気持ちを動かし始めてみましょう、というのは、
とても新鮮なお話でした。

なるほど。

なぜ、完璧に、介護できないのか?
なぜ、みんなのように長いこと、うちを空けられないのか?
なぜ、介護を兄弟等しく分担することができないのか?
なぜ、こうも体力が続かないのか?
なぜ、こうも、機械ものに弱いのか?

できないことは、自分にも、ぎょぅ~~~さん、あります。(笑)
でも、そう、たしかに、できない、のです。それを、

だれのせいやから!、何のせいで!と
憎しみや怒り、はたまた妬みといった気持ちが、心の内で渦巻き、
パワー全開! やがては、自分も全壊!、となると
えらく困ったことになってしまうので(笑)

できないことは、できない、んだと、あっさり認めて、
そこから心を動かすことに、気持ちを向けましょう。

そのほうが、うんと、楽になれるし、前向きになれます。

なるほどなぁ~。

怒りや、憎しみを、自分がコントロールできなくなると
怒りや憎しみのほうに、自分の人生をコントロールされて
しまいます、いや、正直に言うと、
コントロールされてしまった経験が、幾度もあります。(笑)

そんなことを考えながら、
買い物から汗だくで帰って、母の部屋に入ったところ、

あろうことか、この真夏にエアコンが<暖房>になっていて、
おぞましい暑さに!!! つい、プチきれてしまい、
また今日も、完璧な介護が、できませんでした(笑)

でもまぁ、ここは、茂木さんにあやかり、

できないことは、できない、と認め、
関係修復のために、如何なる手を打つか!
ということに気持ちを切り替えまして

夕食のお買いもののときに、母上の大好物である
<都こんぶ3個パック100円>を、買うて差し上げることに、
いたします。(笑)

そう言うたら。。。
<できひんもんは、できひん!!>いうのは、
お母さんの座右の銘である、あの
<考えてもしゃ~ないもんは、考えてもしゃ~ない!>
にちょっと、似てはりますな~(*^_^*)

No.83 298円の至福のとき

298円の至福!

あんまり朝から風が冷とうて寒い日やったんで、
昼前に立ち寄ったコンビニの<鍋>の文字に魅かれて、
<てんぷら鍋>なるものを初めて、買ってみました。

このてんぷら鍋のすごいところは、
水とついてるお出汁を注いで、あとはそのまま
IHにのせれば、数分で、熱々のてんぷらうどんが
出来上がること。

ぶっとくて、コシのある麺は、食べ応えが十分で、
なによりも、感激したのは、
おうどんをみんな食べ終わったあと、

昨夜の晩ごはんのときに残って冷凍してあった
おにぎりを入れて、ひと煮たちさせれば、
これまた、とってもコクのあるおじや(雑炊)が、
数分でできあがり!

このおじやの味が、絶品なのです♪

さらに、このてんぷら鍋の最も嬉しいのは、
洗いものがでないこと!最高!(笑)

298円で、待つこと5分ばかりで、フーフー、熱々の
おうどんと雑炊とが楽しめる、コンビニのてんぷら鍋、
この季節には、至福の時間をもたらしてくれます。

独り暮らしのひとや、風邪やなんやかやで
もう、ご飯ごしらえなんか、してられまへん!!
というときに、みなさん、ぜひ、お試しください♪

ちなみに、母の分も作って一緒にいただいたのですが、
<どうえ?おいしおすか?>とたずねたみたところ、
<ふむ。。。おいしおす。それに、
 まぁ、なんでも、<らくチン>が、いちばん!どすな。>と。(笑)

ほんまに、ほんまに。<らくチン>がいちばん!
<やすうて><おいしいて><らくチン>ときたら、
これはもう、至福、ですが、

できたら、介護も、<らくチン>がいちばんどす!(笑)

などと言っていたら、

<チン>つながりで、思い出さはったんかどうか、
わかりませんけど、隣でニコニコしながら、母が

<チンする、蒸し寿司~♪><チンする、蒸し寿司~♪>

と言いながら、踊ってはりますけど、

おんなじ、チン、でも、あれは、高おすさかい、
そう簡単には、買うてはこれまへんえ!
なんぼ、踊ってくれはっても。(*^_^*)

N0.84 <おしめ>があれば、大丈夫~!

芝生広場

まったくの寝たきりの状態からは
おかげさんで、うんと元気にならしてもうたものの、

家の外へは出られへん、ということにおいては、
30年来、母としては、何も状況が変わることはないので、

私はいつも外出するときは
ポケットに古いデジカメを持っていて、

道端に咲いている可愛らしいお花や、公園の梅林の梅の花や
公園の芝生広場の、広~~~い青空の写真を撮っておいて
うちにもどってから、母に見せることにしています。

今日も、
<ほら、今日はほんまにええ天気になりましたえ~>
といいながら、デジカメの画面を見せると、

<ほんまに!
 初詣に行かはったみなさんも、喜んだはりまっしゃろな~>

とひとこと言ったあとは、箱根駅伝のテレビ画面に釘付け。
(そうそう、箱根駅伝は、毎年、お気に入りのお正月番組
 なのでした。)

<はよ!!行きなはれ!!
 後ろから、もう、来たはりますやろ!!なにしてはりますの!
 誰か、道にやはるひと、教えてあげたら、どないどす!!
 あ~~あ!>

と叫んだかと思うと、

<そんなすぐから、えらい走ったら、最後までもたしませんえ!!>

などと、ペース配分のアドバイスまで飛び出したり、
画面に夢中になってらっしゃいます。(笑)

そういえば、いつやったか、お正月に一緒に見ていたとき、

<箱根駅伝の中継車に乗っってはるひとらは、
 ず~~っと車に乗ったはるけど、
 トイレとか、どうしたはるんやろうねぇ~
 水分とらはらへんのやろか。。>と母の隣でつぶやいたところ、

<ふむ。。。そら、あんた、あれどす!
 みなさんきっと、おしめ、したはるんどすわ!>

と、訳知り顔で、教えていただきました。

それを聞いて、私は、

<まぁ、結構、自分の経験で、言うてるんやろなぁ~>
とクスクス笑えたりしたのですが、

お正月で帰省していた、大真面目人間で、
まったく冗談の通じない兄弟は、それを聞いて、

<なにをいい加減なことを言うてるんや!そんなわけないやろ!>
と、えらく憤慨したことがありました(笑) 

そんな~、怒らんでもええのにねぇ(笑)

と、話はもどりまして、

あの<ええかっこしい>なジコチューファーザーが
<そんな恥ずかしいことは、でけん!!>と
大反対されてますんで、なかなか、実現するのは
らくなことやないと思いますけど(笑)

私には、かなえたい、ささやかな夢があります。

それは、

春、桜の咲く頃になったら、
今日のような、青空の気持ちよい日に、
介護タクシーのストレッチャーを頼んで、
近くの公園まで運んでもらって、

たとえ、こ1時間でも、30分でもええさかい、
満開の桜の花に囲まれた、
あの広~~~い芝生広場に、ストレッチャーを下ろしてもらって、
母と一緒に、まったりと、青空の下での日向ぼっこ、をしたいなぁ~
と思てます。気持ちええこと、このうえなし!どっせ。(*^_^*)

いつになるかは、わかりませんけど、

そのときには、ちゃ~んと、<おしめ>は忘れませんので、
母上、大丈夫で、ございますとも! (*^_^*)

No.85 ペッチ ルル イブン チョンガ

ダイエットのお約束!

母は毎日、韓流ドラマを、それこそ、朝の9時から
夕方まで、訪問看護のスタッフさんが来られてる時間、
そして、食べてる時間と、寝ている時間以外は、
ずっ~~~~と見ており、

<そんだけ見てたら、韓国語も、勝手に
 頭に入ってきて、しゃべれるようになりますやろ?>

と朝のお世話の折に、イヤミの1つも言いたくなって、
ある日、言ってみたところ、

<ちっとも、わかりまへん!
 そやけど、日本語とおんなじ言葉が、ぎょ~~うさん
 ありますのえ! あんたはん、知っといやしたか?>

ということで、それ以来、韓流ドラマを見ていて、
<にほんごとおんなじことば>を見つけるやいなや、

<ちょっと!!ちょっと、来とうくりゃす!!!!>と
母のハングル講座が、始まるようになったわけですが、

今朝も、朝のお世話にお部屋へうかがったところ、
挨拶もそこそこに、

母<な、あんさん、知っといやすか?
 独身の男のひとのこと、<ちょんがー>って言わはりますやろ?
 韓国でも、<チョンガ>って言うそうどす。>

私<へ~、さよか。>

母<それだけやありまへんえ。
 <ぱっち>ありますやろ?男のひとがはかはる、
 <ぱっち、すててこ>のぱっち、どす。
 ぱっちも韓国語で、<ペッチ>っていうそうどす。 
 日本と韓国と、どっちが、さきに出けたんどす?>

私<知りまへん。というか、<ぱっち、すててこ>のぱっち、
  のところからようわからしまへんのやけど・。。>

と言いながらも、なんとなくそれがずっと気にかかっていて、
お昼前に、PCでの前まで来たので、ちょこっと調査をしてみたところ、
なるほど、母の言うとおりで、さらに例文なるものがあったもんで、

お昼の焼きそばを差し出しながら、母に、

私<お母さん、<ぱっちをはいたチョンガー>って韓国語でどう言うか、
  知ったはります? 韓国語にしたら、

    ペッチ ルル イブン チョンガ

  言うそうどす。知っといやした?知らはらへんでしょ?>(笑)

とちょっと、得意気に、告げたところ、

自分の焼きそばが、私のお皿のそれより、かなり小さい盛りに
なっているのを、恨めしげに<チラ>見していた母が、ひとこと

母<パッチをはいた、チョンガー>言うの、知ってて、
 あんたはん、どないしゃはりますの?>

まぁ。。たしかにそうどすけど、

そもそも、あんたはんが、朝に、ドヤッ!って顔して
教えてくれはったさかい、なんとのう気になって
調べてみたげたんやないですか(笑)

  ペッチ ルル イブン チョンガ

あえて、会いたい!。。。。とは思いまへんけど 。。(*^_^*)

そういうたら、日本語の<約束>も、韓国語で<ヤクソク>
でしたな。

あと、1キロ、痩せるのに頑張る、いうおヤクソクどしたな。
意地悪で言うてるんやおへんえ!
お膝が痛うならんように、言うてんのどす。(*^_^*)

No.86 人間のプロの流儀とは

今日、NHKのBSの番組のなかで聴いた言葉、

<いろんなことが起こるけれども
 問題を悩みに変えてはいけない。

 問題は問題として、解決すればいいこと、
 問題を悩みに変えてしまってるのは、人間だから。>

先日亡くなられた井上ひさしさんが、闘病中に娘さんに
語られた言葉です。

また、井上さんは、クリスチャンだったので、
あらゆることの答えはすべて聖書のなかにある、とも
語っておられたそうです。

私は仏教のうちに生まれて、クリスチャンの大学に通って
いましたが、どちらにも、深く影響を受けずに、
信仰とは縁なく、今日まで過ごしてきたのですが、

この言葉を聴いて、
<なるほど、人間には2種類、あるなぁ~>
と思ったのです。つまり、

 問題を悩みに変えてしまうひと、と、
 問題を問題として、考えるひと、の2種類。

私は、年がら年中、<どうしよう。。>とばかり思っていて(笑)
夢のなかまでも、まだ<どうしよう。。>と悩んだりしているので
もちろん、前者なわけですが、母は、もうこれは間違いなく、
後者なわけで、

いつぞや、静脈炎が悪化して、ヘタすれば片足を切断しないと
いけないかも。。という状況のときに、そう告げられて、
さぞ、落ち込むだろうと、周りが心配していたところ、

<足が一本どすか。。。まぁ、しゃあおへんな~
 せんせ、足一本と松葉杖でやったら、
 今度は、どないして歩いたらよろしやろ?>と

 即座に、尋ねたのに、みんなビックリ!(笑)

きっと、ああいうことも、問題は問題として、解決すればよい、
嘆いてもしかたあらへん、とスッパリ、切りかえられるからこそ
言えるンでしょうね~

そういえば、母がいつまでもグズグズ悩んでいる、という姿は
小さい頃から、ほんまに、見た記憶があらしません。

いつまでもグズグズ言うては、
<いつまで言うてんのえ!しっかりしなはれ!!>と
叱られる役まわりはいつも、私でした。(笑)

 問題を悩みに変えないように。。。問題は問題として解決する。

マーフィーではないけれど、この法則は、ひょっとしたら、
日々、ご機嫌で暮すために、とても役立つ大切な法則かもしれません。
いわば、人間のプロの<流儀>とでもいいましょうか。

そういえば、井上ひさしさんと言えば、
あの、有名なNHKの番組<ひょっこりひょうたん島>の
作者でもあります。

そして、子供の頃から愛唱歌だった、あの
ひょっこりひょうたん島のテーマソングには、やはり。。。

 苦しいこともあるだろさ、哀しいこともあるだろさ、
 だけど僕らはくじけない、泣くのは嫌だ、笑っちゃおう、進め~!

と歌詞にありました。
これもまた、母上の流儀にピッタリどすな。(*^_^*)

No.87 これまででいちばん哀しかったサーカスの話

これまで生きてきたなかで、
何種類のダイエットに挑戦したか、は定かではありませんが、

だいたい、流行のダイエットには、一度はチャレンジ
し。。。そして、あえなく撃沈となるのが常でした。

それでも、懲りもせずに、また新たなダイエットが
テレビなんぞで取り上げられるやいなや、<今度こそは!>
と、チャレンジしてみたくなる、のがひとの常ではないでしょか。(笑)

で、少し前から、食べるのを制限するのはツライので
運動して痩せよう!と、なにやら、骨盤を中心にグルグルと
回すだけで、痩せる!、とかいうダイエットに毎日励んでいまして、

母がリハビリをする間とかにも、隣でセッセとやるもんで

<また、ダイエットどすか?>と母にも公認になっており、

自分のなかでは、心なしか、鏡に映った自分のウエストの
あたりに明らかな曲線があらわれてきたかな~~と
嬉しく思っていたところ、

本日、訪問看護の看護師さんが、我が家にやって来られ、

<この前、サーカスに行ってきましたえ!!
 面白かった~!いろんな曲芸があってね。。。>と

信じられないほど身体が柔らかい団員のひとの球技とか
オートバイで、空中に作った道をグルグル回るお兄さんの話とか、
階段をバネのように登っていくお姉さんの話とか、

いろいろ面白そうな話を語ってくれて、最後に、

<そうそう、最後は、フラフープのお姉さんやったわ!
 まぁ、お姉さんっていうても、こうど~~んって
 貫禄のある、腰のあたりもしっかりお肉のついたおばちゃんが
 何重にも、からだにフラフープを巻きつけて、回さはるんやけど。。。

 あれを見て思い出したんやけど、
 ほら、あの、腰をグルグル回すダイエットとかいうの、
 テレビで、見ますやん?
 あれでは、絶対ヤセへん、いうのが、よ~~うわかりましたわ!

 考えてもみとうみ!
 あのフラフープのお姉さんいうたら、毎日、ああやって
 ずっ~~~と腰回して、フラフープ、回したはりますやん?
 それで、あのどっしり、体型なんやもん!!!
 いくら腰回しても、ヤセへん、言うのの、証明ですやん?>と。

<。。。。。>あまりのショックに呆然の私。

それをベッドの上から、チラ見しながら、
心の底から、嬉しそうな笑顔で、

<そうでっしゃろ、そうでっしゃろ!
 そないなことは、私には、ちゃ~~んと、前からわかっとりました。>と母。

なんどすの、それ。。
わかってたんなら、もっと早う、そう言うとくなはれ!

ていうか。。。。ご自分も、ウエストに効く、言うたら、
リハビリ用のペットボトル持って、おいっちに、おいっちに!って
腰の周りで回してはりましたやないですか!(笑)

それにしても、私もサーカスが大好きで、
これまでいろんなサーカスのお話を聴いたことありますけど、
今日のこのお話ほど、哀しい、お話はありまへんでした。 (*^_^*)

No.88 サックドレス、ありまっしゃろ?

NHKの朝のテレビ小説、
<カーネーション>を毎朝見るのが、母の日課で、

このところ、物語に登場する、
<トラなんたらライン>と<サックドレス>のお話に
夢中です。

<ほれ、あんたらと琵琶湖行ったとき、
 私が着て行きましたやろ?
 遊覧船に、乗りましたやないの!!
 あのとき着てたんが、サックドレス、どす!
 よ~~う流行ってましたんどっせ!!>

と、言われましても、数十年昔のこと、
琵琶湖へ行った記憶もおぼろげやのに、
そのとき母がどんな服を着ていたかなんぞ、
覚えてますかいな!(笑)

そういうても、こう、身振り手振りを加えながら、
こう、トラペーズライン、たらいうのと、
サックドレスが、どうちがうかを、熱心に説いてくれはるもんで

<ふ~~ん。そういう服が流行ってましたんやな。。>

といちおう関心のありそうなふりなどして
親孝行をしてみたのですが、

<そやけど。。。サックドレス、あんたには、着られまヘンえ!
 あれは、足が細~~うないと、似合いまへんし。。。
 かというて、トラペーズラインも、ウエストがないと
 あきまへんしな。。あんたはどれも、無理どす。。>

と言われて、親孝行する気もすっかり失せました。(笑)

とはいえ、よ~~う考えてみたら、
これはみんな昭和も30年代のファッションのこと、

昨日の晩ごはんのおかず。。いやいや、
さっき、薬飲んだかどうかも、さだかでない、母ですのに
半世紀も前の記憶が、こんなにも鮮明だとは、

人間の記憶、いうのは、たいそう、面白いもんです。

そういうたら、数日前にNHKのBSのほうで、
<世界で一番記憶力のいいひとを決める大会>の
ドキュメンタリーが放送されていました。

なんでも、トランプを20秒ほどで、ぜんぶめくって
ハートの4、とか、記号と数字を全部、順番に覚えて、

記憶をたどりながら、
もうひと組のトランプを、まったく同じように、
並べ替える、とかいうのが、決勝戦の課題で、

中国の青年が、見事すべて正解で、優勝!となったのですが、

そのドキュメンタリーを見終わった母が、ぽつりと。。

<あ~、さすがに、あれは、ちょっと、
 わたしには、難しいかもしれまへんな~>と

至極真面目な顔で、のたまわれたもんで、ビックリ!!

ちょっとやないでしょ!!ちょっとや!(笑)

まぁ、ちょっとこれから、アルバム見て
サックドレス着たはる美女を探してみます。

ほんで、サックドレス、私も着れるように、
ダイエット体操も、忘れんとせんとあきまへんし! (*^_^*)

No.89 ピンチ ピンチ チャンス チャンス ラン ラン ラン!

子供の頃よく歌っていた中山晋平さんの童謡に
<あめふり>という歌があります。

  あめあめ ふれふれ かあさんが
  蛇の目で おむかえ うれしいな♪

たしかそういう冒頭の歌詞だったと思うのですが、

いつか、地元の新聞の夕刊のコラムで、
この歌の最後の部分の雨の音、

  ピチ ピチ チャプ、チャプ ラン ラン ラン!

を、こんなふうにして歌うと面白い!っていう
お話があって、それが、

  ピンチ ピンチ、チャンス、チャンス、ラン、ラン、ラン!

というフレーズでした。つまり、

とても困ったことが起きたとしても、
ピンチのときほど、考えようによっては、チャンスでもある!!そう思って、
明るく元気に、事態を前向きにとらえて、乗り越えようじゃないか!

みたいな、そんな意図の替え歌だと思うのですが、

結構、このゴロが気に入っていて、ふだん、
<うっ!これは、また、最悪の事態発生か!!>みたいなときに、

  ピンチ、ピンチ、チャンス、チャンス、ラン、ラン、ラン!

と、頭をフリフリしながら、鼻歌を歌わせてもらってます。(笑)

もちろん、こう言ったからといって、状況が変わるものでは
ありませんが、なんとなく、このフレーズのもつ
明るさというか、軽いリズム感、みたいなのが、
事態の深刻さを、軽いものに、してくれるような気がして、気に入ってます♪

いちど、困ったことがあったら、試しに、口ずさんでみてください。
なんとなく、気が軽くなったような気がしてきますし、

ほんまに、なんか、ピンチに姿を変えたチャンスかも!!!って
そんな、気さえしてきますので、オススメです。(笑)

余談ですが、この歌の題名がなかなか出てこなくて、
部屋で寝ている母に、尋ねてみたところ、

<雨??中山晋平はんの歌どすか? そら、あんた
 雨降りお月さん、どっしゃろ!!!>

と言うもんで、

<そら、ちがいますわ!!
 雨降りお月さん、いうのは、
 雨降りお月さん、雲のかげ~ お嫁に行くときゃ誰と行く~~!
 ひとりで、傘、さして行く~~~! とかいう、
 あれ、どっしゃろ? そやのうて。。。>

とここまで話したところ、また途中からええかげんな聞きかたをして、

<お嫁に??誰と?? 行かはりますてか? へっ? あんたが?!>って。。

もう。。。だれが、これから、お嫁に行きますかいな。。
あ~、気分悪 (*^_^*)

No.90 バレンタインの相討ち

事件は、晩ごはんのときに、起りました。

母には、実は歯はぜんぶで5本、
しかも前歯しかないため、
咀嚼するというより、飲み込んでる、
といったほうがより近く、

食事どきには、みんなと同じおかずをいったん
作ってから、少しずつ、プチナイフで
母の分を、小さくして食べてもらっているのですが、

とにかく、食べるのが速いこと、速いこと!!!(笑)

母に言わせると、

<戦時中に疎開していた先の親戚が大所帯で、
 ちょっとでも早う食べへんかったら、
 もうご飯があたらへんかったんどす。。>

ということが、速食い、の理由らしいのですが、

ほっておいたら、テレビを見ながら、
どんどん、目の前の食べもんを、口のなかに放りこんでって
のどが詰まりそうでこわいので、

少し食べたら、<はい!1回、お休み、しよし!!!>と
休憩させるために、腕をつかんで、お箸を口に運ぶのを
押さえつけねばなりません。

ほんま、めんどくさい、こってす。(笑)

右手で、ちょっとずつおかずをちいちゃくして差し上げながら、
左手で、ぐぐっと、リハビリでやけに力のついた母の右腕を
押さえつけながら、の食事なもんで、

正直、自分が何を食べてるんか、
あんまりじっくり味わうような時間もなく(笑)

で、今夜もことほどさように、

<ハイッ!食べられまっせ!>と<ハイッ、休憩~~!!>を
せっせと繰り返していたのにもかかわらず、

どんどん、口に入れてしまう母をじっ~~~と不穏な目で見ていた
ジコチューファーザーが、突然、お箸をおいて、

<何をしとるんや!!! 
 なんでそんな次から次と食べてばっかりおるんや!
 ほんまに、もう。。。
 にぎりめしが、踏まれたような、顔しおって!!>と。

<うん・・・?!
 今、なんて??! にぎりめしが、踏まれたような、かお??!>

と、思いがけないひとことに、
思わず母の顔をじっと見てしまいました。(笑)

何を言われたかは、はっきりはまだわからないものの、
なにやら、いつもにもまして、ただならぬ暴言が放たれた、
ということだけはわかったようで、

母は、ムスッっとした顔で、食べるのをやめてしまい。。。

家族やから、かばうわけではないのですが、母は、まんまる顔に
羽二重もちみたいに、ぷっくりした頬におちょぼ口で、なかなか、
可愛らしいおばあちゃん顔、なのですが、
(私に、言いたい放題、ブーたれてないときには、ですが(笑)

それはそれとして、
<にぎりめしが踏まれたような。。>というような表現は、
生まれて初めて耳にするもので、自分のなかで、あれこれと
イメージがふくらんでしまい、なにやら、
可笑しいて、可笑しいて(笑)

クッ!クッ!!クッ!と下を向いて、ご飯を食べながら
ひとり笑っていたのですが、そのときです、

今度は、母が、こちらを向いて、ボソッと、

<なんどすの。。。自分かて、てっぺん、はげといやすのに。。
 てっぺん(頭頂部)やさかい、自分だけ見えてはらへんのどす!
 みんな、知っといやすのに!!>と。

もう、やめときなはれって!!!
<にぎりめし云々。。>で、お怒りはごもっともやと思いますけど、
わたしかて、言われたら腹も立ちますけど、
ジコチューファーザーの一番気にしてる、そこに触れるのは、
なんていうか、慈悲にかけるというか、なんというか、

本物の紳士いうんは、相手がほんまに痛いところ、いうのは、
衝かんようにするもんと、ちがいますやろか。。
いや、紳士やのうて、淑女、ですかいな、この場合。

という気持ちを込めながら、母に向けて、
<もう、やめときなはれ!!あきまへん!!>のサイン、
つまり、首を小さく横にふってみたところ、

一瞬、父に、フン!という目を向けたのみで、
この場は、なんとか鉾を収めていただけたようで、
修羅場へと展開せず、ほっとひと安心、だったのでした。

それにしても、
今日は、バレンタインデーどすのに、夫婦で、
<にぎりめし>と<てっぺん>で相討ちとは、

いやはや、なんとも、緊張感のある
バレンタインディナーどした。(笑)

そうそう、バレンタインといえば、チョコレート、
チョコレートといえば、

最近、イオンのなかにあるコーヒー豆を売っているお店で、
スヌーピーの面白いチョコレートを見つけたんです。

ひとつの箱に、3つのチョコレートでできた卵が
入っていて、その卵を割って食べていくと、なかから
カプセルが出てきて、スヌーピーファミリーのフィギュアが
ひとつ、出てくるようになっているんです。

スヌーピーやチャーリーブラウン、ルーシーetc..と
集まってきて、あと、ライナス、あの毛布をいつもかんで
ひきずって歩いてる男の子です、が登場してないので、

ライナス登場を楽しみに、買いものに行くと、買っています。

まぁ、ささやかな、と言われれば、ものすごうささやかな(笑)
楽しみではありますが、こんなちいさい楽しみを、ちょっとずつ
集めていくことでも、おんなじように過ぎていく毎日のなかに、

ふっと笑顔になれたり、笑えたりする瞬間を、創ることができます。

これが、結構、いっぱいいっぱいになって爆発してしまいそうな時に、
ふっと、張りつめた気持ちに風を通してくれたり、
<まっ、ええか!!>って思えるようにしてくれたり、するもんで、

小さい、楽しみを、見つけること、
どんどん見つけること、に、日々、いそしんでおります。(*^_^*)

No.91 ICカードをめぐる話

<IC、ICって、いったい、なんのこっちゃ??!>

と、朝からジコチューファーザーの大きな声。

父は、自分にわからへんことがあると、必ずこうして
大きい声で怒り出すもんで、つまりは、そう、
それで、結局朝から晩まで、怒ってんならん、
いうわけなんですけど(笑)

久しぶりに市立病院で診察を受けることになった母が
診察券があるとかないとか、で病院へ問い合わせたところ、
長いこと受診していない場合には、ICカードになってない
はずなので、今回、新たにICカードの診察券をお作りします、

というお返事をいただいたのでした。

<お母さん、ICカード、今度、作ってくれはるんやって。>

<アイシーて。。わかった!いう、こってすか?>

<・・・・>

<あ~、そのアイシー(I see)は、英語どすやろ?
 そやのうてそのなかにICチップが入ってて。。>

<ポテトチップ。。。>

子供と一緒で、おんなじ<音>の単語には、すぐに反応するんです。
しかも、食べ物に関するものは、鋭く(笑)

<いや、ポテトチップのチップやのうて。
 いや、もともとの語源は、おんなじかもしれへんけど、
 今いうてる、診察券の話は、カードのなかに、ICチップいうのが
 埋めこんであって。。>

<こんな薄いもんのどこに、それが入っとるんや!!!!>
と父の横やり。

もう、ええから、お父さんは、ちょっと黙っておくんなはれ。

<お母さん、そのチップのなかに、お母さんの情報が埋めこんで
 あるさかい、カードを機械に入れたら、あ~、〇〇さんが、
 きゃはったんやね!いうて、機械が、受付、してくれはるんやわ。>

<カードを機械に入れたら、アイシー、わかった!
 言うてやってくれはるのすか?>と母。

そやから、そのアイシー(I see)やのうて。。
あ~~もう、面倒くさいなぁ、ほんまに。。。と、

そこへもってきて、父がまた、自分のカードをおもむろに持参。

<ワシはこのまえ、行ったとこやさかい、
 ほんなら、ワシのカードには、なんたらいうもんが
 なかに入ってんのか!?>

と話に割り込んできたので、見てみると、
たしかに、こちらはICカードです。
その証拠に、ICカードのマークと、その下に、
バーコードも入ってます。

はい、はい、そうです、入ってます、
ほんで、よろしやろ?と答えたところ、

<ほな、この、黒い線が何本もあるんは、何や?>

とまた、バーコードに気づいた父が尋ねるもんで

<それは、バーコード、それで読み取らはるんやわ、機械が。>と説明。

<バー。。なんやって?コード?
 コードいうのは、またちがうもんなんか?!>

と怒声が飛んできたもんで、これまた説明しようとしていたところ、

母が横から、ものすごう得意げな顔、と声で、

<おとうさん、あれどっせ!!!ほら、バーコードいうのは、ほれ、
 <おとうさんのあたま>みたいになってる、やつどす!!!
 お菓子のふくろに、ついてますやろ?>

<おとうさんの・・・・あたま・・>

お母さん、その発言は、さすがに、いけまへんわ。。
いくらなんでも。。いくら、わかりやすうても 。(*^_^*)

と、なぜ母が、英語のI see に、これほど反応するかといいますと、

母のお気に入りのテレビが、NHKのBS、でして、
なかでも、どくめんたり(ドキュメンタリー)と、旅の番組と、
もうひとつ大のお気に入りが、COOL JAPAN という、
日本で暮しておられる外国人のみなさんが、

日本の文化、慣習、などについて、
それがCOOL(イケてる)かどうか討論する、
という番組で、いつも欠かさず見ています。

そのせいで、たとえば、日々の暮らしのなかで、
どちらかひとつを選ぶ、という場面で、迷っているようであれば、

<お母さん、こっちのほうが、COOLどっせ!>と言うと、

<ふむ。。。ほな、こっち!>と即、決まり!!となる、
たいへんありがたい、番組なのですが、

そのなかで、いつぞや、アメリカ人かイギリス人か、はたまた
オーストラリアのお方かが、<I see!>と繰り返し、相槌をうたれ、
それで、生粋の日本人の母のおつむのなかにも、いつしか
I see = 了解!! がインプットされたのでした。

いまでも、お世話を終えて、部屋を後にしようとして、
<お母さん、ほな、行きまっせ! これで、よろしいか?>
とお尋ねすると、

<アイシー!!!!>とVサインとともに元気なお返事が
返ってくることがあります。

ほんまに、めんどくさい、おひと、どす。 (*^_^*)

No.92 幸せモンは、どっち?

今朝の地元紙のコラムに、面白いクイズを見つけました。

とある旅行に出たとき、
車中で、バスガイドさんが乗客に向けて出されたクイズで、

<旅には、絶対に必要なもの、があります。
 お金と、時間と、健康、
 あと、残るひとつは、さて、何でしょう?>

というものです。

知識? 地球の歩き方? スマホ? 人脈?

とあれこれ浮かんできたものの、正解は、

<自分の帰りを待つ人> だそうです。

帰りを待つひとのいない旅は、旅ではなく、放浪、
と名づけられるそうな。(笑)

また、今でこそ、日本語で、旅といえば、遠くに出かけることを
いうそうですが、昔は、住まいを離れることは、
すべて、<旅>とそう呼んだそうです。

毎日、毎朝、ひとは旅に出て、
毎日、毎晩、ひとは旅から、もどる、

そのとき、必要なものは、<帰りを待つひと>
<自分を待ってくれているひと>ってわけです。

昨今、ひとがツィッターやフェイスブックで、大勢のひとと、
ときに見知らぬひととさえ、<繋がろう>とする風潮は、

松尾芭蕉や李白の頃には、なかった世界ですが、
ネットという、新しい世界のなかにあって、

<自分を待ってくれているひとがいる>

そのことを、確認したい!という、強い想いのあらわれ
なのかもしれません。

同じく、実家で親を介護している友達が、先日

<昨日は、ホンマにびっくりしたわ。
 お母さんが、私の顔を見て、しみじみと、
 <お前は、私がいて、ほんまに幸せやね~>って言うんよ。

えっ? それ、逆やし!
私は、お前がいて、の間違いでっしょ!!!!と、
そのとき、友達は、思ったそうですが(笑)

ひょとしたら、お母様は、

<こうして、あんたをいつも待ってるひとがいる>いうのは
実は、幸せなことなんや>と言いたかったのかもしれません。

一方、うちでは、もう<お母さんがいて幸せ>どころか(笑)
あんまり<ご無体な>ことをおっしゃったときには、

<お母さん、もう!ええ加減にしよし!
 お母さんのせいで、私の人生はもうメチャクチャどす!
 みんなお母さんのせいやって、わかってはりますの!!>

などと、つい、口から、本心(笑)が飛び出してしまって、

ドラマとかだと、よくここで、母が娘をひしと抱きしめ、
おおいに詫びて泣き、娘はまた、母に涙ながらに
ひどいことを言ったと、謝罪する、という、おきまりの
感動のシーンとなるところが、

それはそれ、百戦錬磨、この途30年の
ベテラン要介護者たる母上のこと、
怒るでもなく、泣くでもなく、な~~んともない顔で、

<ふむ。。。
 みんな、や、あらしまへんえ。あんた、
 みんな、私のせい、とは違いますやろ?
 なんでも、かんでも、ひとのせいに、せんといて~~♪>と。

たしかに。
みんな、では、あらしまへん。。
とくに前半部のメチャメチャは、そら、自分のせいどす(笑)

悔しいけど、母上に、一本!(*^▽^)b

ほな、晩ごはんの買い物にでも、行かせてもらいまっさ。

お母さんが、うちで待っててくれはる、わたしは、
大~~~いに、幸せ者に、ござります、ハイ。(*^_^*)

No.93 免許証返納をめぐる憂鬱な一日

えらいことになってしもた。。。載っている。。

今朝、バタールを頬張りながら、朝刊を見てビックリ!

あ~、なんてこったい。。。。
う~~!あの、教習所のおじさんのせいや!

ことの始まりは、

3日ほど前のこと、地元紙の読者投稿欄に、
とある教習所の教官たらいうおじさんの投稿が掲載されたんです。

  自分は、教習所で、高齢者の免許証の更新のテストを担当
  しているのだけれど、もう、危なくてしゃ~ない!!
  高齢になって、自分が運転するのが危険やと<自覚>したひとは
  いち早く、免許証を返納すべきである!

これを読んで、長年、齢80を超えた家族に免許を返納させるために
悪戦苦闘している私は、ブチッと、堪忍袋の緒が切れて。。。

というか、久々に、だいぶ前に、あの井上真央ちゃんが主人公やった
元気のええ、昼のドラマのタイトル、

  ざけんなよ~~!!(ちょっとお下品で、失礼!)

と、この教習所の教官に、言って差し上げたくなりました。

私の免許証の返納に関する闘いは、すでに長期にわたっており、

もとより、本人の説得も何度も試み、そのたびに、

親をバカにしおって!。。ワシはボケとらん!。。出て行け!!!
そんなもん、プライドが許さん!!危ないことなど、一度もない!!!

と、拳骨を振り上げられながら、怒られること、数知れず。

そのうえ、

これまで、地元の警察、交通安全協会、免許の更新試験場、
実地テストする教習所、はたまた、市役所の高齢福祉課などなど、

おもいつくありとあらゆる機関に相談をさせてもろてきましたけど、
い~~~っつも、どこでも、言われることは、おんなじ、

  本人さんが、自覚されんとね。。。こればかりはね。。。

って、うちの爺さんに、そちらの御家族がぶっとばされても、
あんさん、そう言えますのんか?!と言いたい!

さらに、免許の更新係のひとからは、驚くべき内部事情が。。

つまり、高齢者が更新の際に受ける、実地テスト、あれは、
どんだ~~~け危なっかしいても、誰も落ちひん。。
つまり合格させることになってる、そうな。。。
なんと。。ほな、なんのためのテストですのん??!

たしかに、うちの爺さまも、

  危ないな~~!て何回も言うとったけど、
  ほいでも、受かったさかい、乗ってもええんや!

言うて、ついこのまえ、ポロっと、言うてましたわ。。はぁ。。

そんな、かたちだけの試験して、みんな受からしといて、それで
高齢者の交通事故が増加の一方!!と困った顔されても、
そらみんな、あんたらのせいやおへんのか!!とも、言いとうなります。

そんなこんなで、今だに、ずっ~~と、どないしたら、爺さまの免許を
無事返納させられるか、と悩んでいるところに、先日、この教官の投稿を
目にしたもんで、

つい、何をおっしゃる、うさぎさん!!!と、

教官への反論を、地元紙に投稿して。。。しまったのでした。

   うちの齢80の爺さんは、いまだになんぼ言うても免許を返さず、
   事故しまくらちよこ、の身で、毎日車にも、バイクにも乗っております。
   それもこれも、かたちだけの試験で免許を更新していただいた、
   お上のおかげでございます。

   自覚? 自分が運転したら危険や、いうような判断ができひんから、
   ちぃ~~とも、免許を返さず、話もきかず、家族は、困っているわけで、

   本人や家族の自覚に待つ、いうような無責任なことをいわんと、
   教習所へ試験受けにきて、危なっかしい爺さんや、
   さっさと、事故しまくらちよこな爺さんは、免許を返納せよ!との
   規則なりなんなり、お上のほうで、作ってもらわれへんやろか?!

というような、内容をもちっと、上品な(?)言葉で書いたのでしたが、

もとより、新聞に載る、なんてことは、考えてもいず、
(前に投稿したときも、何ヶ月も、ずっと載らなかったので)

それでも、例の教習所のおじさんの投稿が載ったあと、
こういった、困っている家族の涙ながらの訴え、みたいなのが沢山届けば、

そこは新聞社、なにかしら、高齢者の免許証返納に関する特集なんぞを
組んでもらって、それがきっかけとなって、自治体でなにか、取組みなり
始まるかもしれん、そのためになら、自分もひとつ、書いて送ってみよう、

というような、気持ちだったのですが、
まさか、それが、2日後に、こんなに大きく、載るとは。。

ご存じかどうかわかりませんが、新聞への投稿は、本名で、住所、職業
などもきちんと書かなければ採用されませんので、私も、そこは、
ちゃんと正直に、そのまま書いて送ったわけですが。。。

ともかく、おそるおそる父に朝の挨拶をしてみることにしました。
とくに、変わった様子は見られず。
ってことは、まだ、新聞を読んでいない、
もしくは、読んだけど、気づいていない。

さらに、どうやら早朝から、お出かけのご様子。。

このまま、どうか、新聞を読まずに出て行ってほしい。。。
いや、待てよ!うちで読まなくても、外で、
いつも立ち寄るイノダコーヒーで、新聞を読むかも。。
あるいは、本名に気づいた誰か、近所のおばあちゃんとかが

 これ、おたくの娘さんやおへんか?

などと、親切に教えてくれはるかもしれん。(汗)

う~~ん。。帰ってくるまで、気は抜けヘン。。。

あまりの心配に、母の部屋へ言って、かくかくしかじかと、
相談してみました。

<お母さん、なぁ、どう思わはります? もし、アレ読まはったら。。
 正直に、言うとくなはれ。。>
 
と、話終えて、母の顔をじっと見つめると、

<あんたは、もう、終わりどすな。。
 怒る、どころやあらしまへんやろな。。
 なんでまた、そんないらんこと、しゃはりましたんや。。

 あんたは、いつでも、そうどす、いらんことしては、
 ドツボにハマッてしまうんどす、 ちいさいときから、そやった。>

小さい時、いつ、私がドツボにはまったんか。。
どの時代の、どのドツボのことを言われてんのか、
見当がつかへんまま、

やっぱり、読まれたら、終わりか。。。。と
ガックリしていた、そのとき、ひとすじの光が!!!

<そや、お母さん!!!どうもないかも、知れへん!!
 ほれ、私の名前、〇〇、って、ようある、名前ですやん?
 どこの町内にでも2人や3人は、いそうな。
 そやさかい、〇〇区だけやったら、よそのひとのことやと
 思わはるかもしれへん!!!>

と、母にも同意してほしくて、強くアピールしてみたところ、

<ふむ。。。たしかに。。どこにでもある、名前やさかいな。。>

<・・・・>

どこにでもある、思うんやったら、
そんな名前、あんさん、なんでつけはったんどす?!
という恨みは、ちょっと今は、こっちへおいといて、

<そやろ、そやろ、大丈夫かもしれへん!!>と、
今思いついた、ありふれた名前説、に我、望みを託さん!!と
思った瞬間、母が、

<そやけど、免許証のこと、あんた、ここんとこ、
 ずっ~~~と、言うてはりましたやろ?
 そら、いくら、なんでも、ピンときまっしゃろな~ 
 まっ、お気の毒なことで♪>

と、無残にも、かすかな希望は粉々に。。

そのあと、父がもどるまで、の長かったこと!

とりあえず、できる限りのことはして、
人事を尽くして、天命を待とう!と、

お部屋を暖め、お風呂を沸かし、献立を爺さんの好物に変更し、
玄関で、夕刊の届くのを待って、朝刊と差し替え、

あとは、
外にいるあいだに、どっかで、爺さんが新聞を読んでいないこと、
もしも読んでいたとしても、私の投稿だと気づかないこと、
を祈るのみ!!!と、

部屋じゅうにあった、お守りに、手当たり次第祈ってまつこと数時間。

爺さん、帰宅。
おそるおそる、声をかけてみました。
<おかえりやす。。。>

母は、我が身の防衛のため、部屋から出てこず。

<なんや、ワシが帰ってきたらいかんのか!!ヘンな顔しおって!
 ひとがうちにいいひんほうが、嬉しいんやろ、おまらは!>

と、いつもどおりの悪態が。。。でも、ほかに発言はなし。。

ヨッシャ~~~!!!と心の中で、ガッツポーズ!!!
そして、母の部屋へ飛び込み、勝利のハグ!!

<気持ち悪いさかい、離れとうくりゃす!!!!>

と、叫ばれても、なんのその。良かった~~!と、やっと
ホッとひといきつけたのでした。

なんと、長い半日だったことでしょう!
また、自分が、どこにでもある名前で、良かった!と思ったのも、
これが初めてのことでした。(笑)

そやけど、ようよう考えてみたら、
そら、うちのことを書く、いうのは、恥ずかしいことかもしれへんけど、

どれだけ悩んで、真剣に困っているか、という家族の思いを伝えるには
それよりほか、あらしまへんでしたし、
こういう手立てを考えるまでに、思いつく限りの、家族、親戚、そして
公の機関にも相談してきて、どうにもならんと、困っていたところに、

例のあの教習所おじさんの登場だったのでした。

それもこれも、爺さんが心配やから、
爺さんに事故を起こしたりしてほしいないさかい、
爺さんの事故で、どなたにも、怪我してもらいとうないさかい、

なんとか、免許を返納してくれへんか、頭を悩ませてきてるんや、
いうことを、わかってほしいんですけど。。。

それがわかるくらいなら、
とうに、免許返してくれてはるやろな。。。。
ほんまに、困ったもんです。

そやけど、わたしは、返してくれはるまで、
あきらめしまへんえ、絶対!(*^_^*)

No.94 ハイッ、退場!となるまでは

要するに、<ハイ、退場!>って、いう
そういうこと、なんやね~、そうか~。

昨日、偶然本屋さんで手にした文庫本のなかに
<死>をめぐる、なかなか興味深い説がでてきて、
思わず、そうか~~!と、唸ったという、お話です。

この興味深い説によりますと、

自分の一生、とくに<死>について考える時、
人間は、たいてい、<自分をこの世界の主人公>にして、
つまり、自分を中心において、考えてしまう、んやそうです。

そやから、死=自分の命が尽きるとき、いうのは、すなわち、
世界の終わり、これで、おしまい!、すべてが無!!
と、バシャ!と目の前でシャッターが降りるような、

そんな気分になるもんやから、
死について考える、いうことを、ついみんな、
極度に、恐れてしまうのやけど、

一転、<自分>を世界の中心には置かずに、
<世界>を中心にして、考えてみなはれ!
いうのが、この説のポイントになるとこで、

いわゆる、天動説から、地動説への
コペルニクス的転回、とでも言いましょうか、

つまりは、こういうこと、

自分が生きている、今のこの時間、いうのは、
過去からずっ~~~と続いてきて、この先もずっ~~~と
未来へと続いていく、永遠に続く時間の、ほんの合間、

<この世界>という永遠に続く舞台の、
ほんの一幕に過ぎず、しかも、

自分、いうのは、その<この世界>いう舞台の、
ぎょ~~~~さんいる、登場人物のうちのひとり、
にしかすぎひん、と、そう考えるのが、ええんやそうです。

この、永遠に続いていく<この世界>劇場に、
永遠に登場し続けることができる役者はおらず、

誰しもが、神さんの書かはった脚本によって、

あるとき、ぽっと、舞台上に登場し、
自分にふられた役割を演じ、同じ舞台に立つ他の役者さんとからみ、

そしてまた、あるとき、またすぅ~~と、きた時と同じく
舞台の上から、去っていく、ことになっているのだとか。

ここで、中心になっているのは、あくまでも、
<この世界>いう、舞台のほうであって、われわれでは
ありません。

<この世界>は、誰がぽっと、出てきても、
また誰がぽっと、いなくなっても、
何も変わることなく、明日も明後日も、ずっとずっと
続いていく、のです。

であるからして、

われわれ、ひとりひとりの人間の<死>いうものは、
決して、最初に言うたような、<この世界の終わり>やのうて、

たんなる、舞台上の、あまたいる出演者のなかのひとりに
<出番の終わり>が来た、いうだけのことです。

そら、もちろん、役者もそれぞれ、色々役回りがあって、

なかには、出番の短い役者さんも、長い役者さんもおられます。
また、セリフの多いひとも、また少ないひともありましょう。

また、シンプルな筋書きの一幕があれば、
複雑怪奇なストーリーの一幕に登場!!なんていうことも、
ありますが、

哀しいかな、私達、役者には、それを選ぶことはできません。
そのシナリオは、神さんの手元に、すでに出来上がってるもんで。

つまり、日頃、私達が<人生>いうて呼んでいるもんは、

ほんまのところは、神さんが決めたシナリオどおりに、
ある日、ぽっと、<この世界>に、上手から登場し、
やがて、神さんの、<ハイ!退場!>のお声がかりとともに
すっ~と、また下手へと去っていく、

そのあいだの、舞台におられる時間、のこと、らしいです。

ほな、いつ登場するかも、いつ退場になるかも決められへん、
シナリオは、ちゃんともう神さんによって、完成済み、
そんな<この世界>いう舞台で、

ただ、いっときだけ、登場して消えていく役者である我々に
いったい、なにができまっしゃろ?

いうことになってきますけど、

その答えは、ごくごくシンプルでして、
イタリア語で言うなら、Goditi la vita !!

自分なりに、自分に与えられたお役目に誠実に向き合い、
まぁ、こんなとこやな!と思うぐらいには、そこそこ(?)頑張って、

ほんで<できるだけ、舞台にいるあいだを楽しむ!>
これに、尽きる!ように思います。

たとえば、こういうことって、ようありませんか?

いつも通る道沿いの家が、ある日、突然、解体されて、
平地に変わってたとき、

昨日まで。毎日目にしていたはずやのに、そこに在ったのが
どんな家やったか、そこに居たひとがどんな人らやったか、
ちっとも、思い出すことができへん、

ずっと長い間、その家の前を通り続けていたのに。。

でも、同じく、ある日どこかの家が、急に解体されたとき、

もし、その家族に同級生がいて、よく遊びに行っていたら、
もし、その家の前を通る時、毎朝おばあちゃんに挨拶していたら、
あるいは、ガーデニング好きなおばさんが住んではって、
ある日、お花を摘んでもろたことがあったら、

きっと、その家のことを、その家のひとのことを、
忘れることは、ないと思います。

建物がなくなってしもうても、その家のことや
そこにやはったひとのこと、そこであったこと、は、
ずっとこちらの心の中に残っていって、
ずっと思い出として、一緒に生き続けていくんやと、思います。

誰も、永遠に生きること、はできません。
永遠に、<この世界>という舞台に立ち続けられるひとは
誰もいいひんけれど、せめて、そう、

縁あって、あるとき舞台に上がることになったら、
ついに神様から、退場コールが、かかる、そのときまでは、

縁あって、同じ舞台に立つことになったひとらと
笑い、泣き、なんでもみな面白ろがって、
ぎょうさん、楽しい思い出を一緒に作ってって、

そのことで、誰もが、誰かの心のなかで、
ずっと、ずっと、生き続けていく、

それでええんやないか、いえ、
それが、ひとにできることのすべてやないか、という気がします。

ほんで、それがいつかはわからへんけど、
神さんが、<ハイ!キミ、今度退場!>そう言うて
ポンと肩をたたかはったら、そこで、みんなに

 あ~、おかげさんで、面白かった!ほな、お先に!

そういうて、手ふりながら、さっさと下手へ向かう、
それでええんやないかと、思います。

そう思うたら、なにかしら、<死>いうもんが、
今まで思てたほど、恐ろしい敵、
なんとしても避けんならんもん、やないような気がして、

また、生きていく、いうんも、日頃あれこれ思うてるより、
ちょっとは、楽なような、そんな、気がして。。。

この<人生とは一幕の舞台説>に、一票!と思うのでした。

こんなことをあれこれ考えていて、
母の毎晩の静脈炎のお世話を終えて、部屋を出るときに

<お母さん、今生の別れになるかもしれまへんえ!!
 なんか、私に、言うとかんとあかんこと、あらしまへんか?>

と、言ってみたところ、

<へっ?!なんどすて?!
 言うこと。。 あ~、ほな、バイバ~~イ!!>

と大きく、手を振られました。

バイバイやのうて、<ありがとさん!>どっしゃろ?(*^_^*)

No.95 吸引ノズルをめぐるあれこれ

あれはまだ、母の白髪がちょぴっとだけやった頃、

朝のぎょうさん用事のある時間帯にわざわざ

<ちょっと、来とうくりゃす!!早う!!!>

とお呼びがかかったので、なんのことかと
馳せ参じてみれば、

自分のおつむのてっぺんを指差しながら、母が

<ほれ、ここ、ここに白髪がありまっしゃろ?
 よ~~う見とうみ!!これのな、新しい生えてきた髪の毛、
 黒おっしゃろ??どうどす!>

とドヤ顔で。

なにをこの忙しいときにまた、アホらしいことを。。
と思いながらも、母の前髪の白髪の生え際を覗き込むと、
白髪と頭皮の間に、短いけれど5ミリほど
たしかに、黒い髪に、なっています。

<ほれ、やっぱりどす!毎朝、海苔、食べてまっしゃろ?
 ほんで、黒い髪が生えてきたんどす!!
 やっぱり効果が、ちゃんとあるんどす!>と。

その日以来、母、
それから、生まれたときから猫っ毛で、先々が心配な私、
そして、てっぺんが、いわゆる<バーコード>になってきている父、
家族みんなが、毎朝、海苔を3枚ずつ、食べるのが日課となったのでした。

そんなわけで、その日以来、我が家には、ひんぱんに、
海苔のつまった箱を持って
宅急便のお兄さんが、やってくるようになり、

いつもなら、なにかしら宅急便が届くと、
<お金もないのに、またしょ~~むないもんを、買いおってからに!>
と玄関に出ようともしない父が、

<バーコード>のバーがちょっとずつ幅広になってきているだけに、
さすがに、切羽詰った感がそうさせるのか、

この海苔の宅急便だけは、ハンコを手にいそいそと受取りに
玄関まで、出てくれます。

で、本日もその海苔の宅急便が届いたわけですが、
今日はその海苔の箱の上に、もひとつ細長~~いダンボール箱が
のっかっており、

<これもです、ハイ!と>お兄さんに渡されたモンで、
わけわかめなまま、私のところへ持ってきてくれたのをみると、

おっ!あの先日注文しておいた、あの、吸引ノズル!!!!!

そうです、あの、お餅をのどに詰めても、
これを掃除機に装着(?)すれば、
のどの奥のお餅をたちどころに吸い取ってくれる、
とかいう話題の品、です。

お餅ならずとも、ゼリーでも、飴ちゃんでも、
なんでも使えるということなので、

母はもともとからだが不自由な上に歯が数本しかないので、
ほとんど、食べてるっていうより、飲み込んでいる、
っていうほうが正しいような食事なので、
万が一のことを考えて、最初は母用に、買おう!と
思って注文したのでしたが、

そういえば、父も最近、食道が細くなったとかで、
しょっちゅう、食事中にゴホゴホとむせてるいるので、

まぁ、二人用にお買い上げ、ってことで。

商品を箱から出し、掃除機をヨイショと運んできて、いざ、
父に、使い方を説明しようとすると、

<お前は、アホか!!!
 ワシがのど、詰めてるときに、ワシがこれ、使えるか?!
 お前が、使えたらええんやないか!>と。

いったいこのひとは、どこまで、ジコチューなんでっしゃろ。。
ふつうは、寝てることの多い母にもしものことがあったら、と
自分が使えるようになろうと、いうのが、夫婦いうもんやないかと。。

仕方なく、母に向かって、掃除機を持ってきてもろうたら、
こうして、ひっつけて、スイッチを入れて。。と説明を始めると、

<なんで、私がやらんとあかんのす?
 あんたが、したげはったら、よろしやないの。。。>って。

あの、お言葉どすけど、
私がのどに飴ちゃん、詰めたら、
いったい、誰がこれ、やってくれはるのす??!

<私が飴ちゃん詰めるかもしれへんのやから、
 いちおう、お母さんも、覚えといておくなはれ!>というと

突如、満面の笑みとともに、
<御意(ぎょい)!!>とのお返事が。

はぁ~。。最近、母は中国の古い時代のドラマ、
孫子がなんとか、いうのに、えらいハマッておりまして、

ドラマのなかで、呉の大王さんとかいう、エラいお方が、
家臣になにかしら命令を下すと、みなが、<御意!!>と
一斉に返事をするのが、なぜか気に入って、

なにかというと、ハイ、のかわりに、<御意(ぎょい)!>
と、お返事が返って参ります。

わかりやすう言うと、あの<家政婦のミタ>のドラマで
でてくる名セリフ<承知いたしました。>、
あれが、<御意(ぎょい)>いうこと、です。

<そやから、お前が、どうやるのか、覚えておけ!!>
<御意(ぎょい)!>

<すぐ使えるように、掃除機とくっつけとけ!>
<御意(ぎょい)!>

<さきっちょのビニールのとこは、洗とかんといかん!>
<御意(ぎょい)!>

って。。ここは、中国か。。呉の時代か。。
あんたは大王か。。ともう、ほんまにメンドクさい夫婦。。

とブツブツいいながら掃除機に、吸引ノズルを洗って
ひっつけていたところ、父が思い出したように、

<そういうたら、お金払わんかった。。
 お金出さんでも、送ってきたんか?>と。

そんなわけないやおへんか。。。
わたしのクレジットから落ちてますんどす。。
そやから、送ってきたんやおへんか。

<お前のとこから落ちたんか? ほな、ええ。。>

って、ちっとも、エエことあらへんでしょう?!

朝から晩まで、足の先からおつむの先まで、
365日、鍛冶屋さんのように、しばしも休まず
(ってことはあらしませんけど)
まぁ、それなりに、母上のお世話させてもうて、

アホやらなにやら毎日、父上の暴言の嵐のなかを
せっせと家事もみんなこなし、

いるもんがあったら、みな、私の口座から、
落ちていくって。。

これって、もう、介護者、ケアラーへの虐待と
言わずして、なんと言いましょうぞ!!!

と、言い返そうと、思っていたところに、母の声が。。

<この、ノズル、いうの、これ。。。
 どこへつっこんでも、よろしのか?吸いますのんか?>って。

もう~~、ややこしいことは、やめなはれ!!!
というか、お願いやから、やめてとうくなはれ!
どうせまた、私の仕事が増えるだけどす。

それにしても、

お年寄りのやはるうちには、ひとつあったら安心、
たしかに、そう思える吸引ノズルどすけど、

この調子やと、きっと私がお餅のどにつめたら、
うちでは、誰もちゃんと使うてくれはらへんのやろうなぁ。。
そう思うと、哀しおす。はぁ~

ケアラーのケアは、いったい誰がしてくれはるんやろか。

まぁ、言うてても、せんないことどすし、
おぜんざい食べるときは、よ~気いつけまひょ!(*^_^*)

No.96 白やぎさんからお手紙着いた

生まれてまもなく、遠い親戚にそれぞれが引取られ
別れ別れになった、母の実のお姉さん、齢83歳の和ちゃんからは、
月に1度ぐらいの頻度で、うちへ手紙が届きます。

この、手紙を書く、いう習慣がのうなってきてるご時勢に、
毎回、鉛筆で、8枚程度、縦書きの便箋にびっしりと、
小さい字で手紙が書かれているのをみると、毎回、驚くとともに、

からだの不自由な妹を案じる、お姉さんの想いが切々と綴られていて、
毎回、私は感動しながら、読ませてもらうのですが、

母ときたら、

<何を書いてあるんか、ようわからしません。
  なんや誰がどうしたとか、私は元気かとか、おんなじことばっかり
 繰り返して書いてはるだけどす。。。>

とそっけないこと、この上なく、翌日に手紙はどこ?と尋ねれば、

<へっ?昨日来たやつどすか? 破って捨てましたえ。。>

破って?!捨てた?!
って、8枚もあったのに。。一生懸命案じてくれてはったのに。。

<なんで手紙を破って捨てるなんてこと、しゃはりますの?!
 私ら生まれてこのかた、そんなこと、したことあらしませんえ!>

とびっくりして、問い詰めると、不思議そうな顔で、

<ほなかて。。読んだら、もう、書いたあったことは、
 頭に入ってますもん。。。なんで、あかんのす?>と。

なんであかんて。。。そらあんな鉛筆で、ぎょうさんかいてくれはったもんやし
大事に残しとかはらんと。。

<頭に入ったら、いらしまへん!
 あんたみたいに、なんでもかんでも、捨てられんと置いとくさかい、
 いえじゅう、モノだらけになってしまいますのんや。
 いらんもん、い~~~っぱい、置いてて、
 ほんで、肝心なモンは、案外捨ててしもたりして。。>

たしかに。。それは。。。悔しいけど、認めます。
私は、ヒトもモノも、捨てられしまへんのどす。

そやけど、そういう性分やさかい、ほんで、こないして、ずっと
お母さんのお世話させてもろてますんやけど(笑)

<そやけど、返事は、出さんとあきまへんえ!
  書かはりましたんか?喋らはったら、PCで打ったげましょか?>

<よろし。。もう、書きました。。ほれ、3枚。>

<見して。>

<絶対、いやどす。。。>

<なにを書かはりましたん?
 また、娘がキツいことばっかり言う、とか、書いてはるんやないですか?
 様子見に来なあかん!思うて、みんなできゃはったらどないしますのん!

 また、どこぞで、仕出し弁当とらんとあきまへんやないの。。。
 暖こうなったさかい、お花見がてら、とかいうて。。あ~あ。。
 仕出し弁当もみんなできゃはたら、高おっせ~!
 ほんで、泊まる、言わはったら、おふとんがまた。。。あ~あ。。

 元気やさかい、安心しておくれ、言うて、書いといてもらわんと。。>

<元気や、いうて書いときましたし、大丈夫どす。
  心配してこないして、手紙もらわんでも、元気や、て書いといたし、
  もう手紙が来ることは、おへん。>と言いながら、

封をしようとする便箋をチラッとのぞいてみると、
ミミズの這うたような字、というのはまさに、このような字のこと、
薄い鉛筆で、えっ、これ草書???!っていうような
字というか、曲線というか、ものが並んでおります。

えっ?下書きやのうて?? これを、出す??!

と思っていると、やはりどうやらそれが清書だったようで、

なるほど、なぜ、こうも、手紙のやりとりが、繰り返されているのか
これがその、理由(わけ)なのです。 つまり、

お姉さんから手紙が来る、
一度読むと破ってしまうので、読み返すことができずに
母が、勝手なことを、また読めるような読めへんような字で書いて、
和ちゃんに、返事を出す、

それでは、様子がようわからへんので、また和ちゃんから手紙が来る、
またそれを破って、マイペースなことをミミズの字で書いて出す、
なんのことやらわからへんので、また和ちゃんから手紙が来る、

と、これが、まさしく、白やぎさんと黒やぎさんのように
ずっと、繰り返されているのでした。

ほんまは、電話で、ああやこうや、言うて
話ができたら、いちばんなんやけれど、二人とも耳が遠いので
それがかなわへんのです。

そやし、こうして80歳になって、字読むのも書くのも大変になっていても、
こうして、長~~いミミズの字のお手紙のやりとりを、続けてはるんやけど、

ひょっとしたら、この手紙いうのんは、

生まれてすぐ離れ離れになって、一緒におられへんかった時間を、
こうして、今、仕事や子育てやらがみ~~~んな終わって、やっとゆっくり
してもええようになってから、取りもどしたい、いうような、そんな気持ちの
あらわれなんかもしれません。あるいは、

仕事や子育てやと、ずっと忙しいて、お互いずっと離れてしもうて
行き来できひんようになった、あるいは、もらわれた先の家族に気使うて、
行き来せえへんようにしてきて、逢えへんかった、その長い時間の間も、

こころのどこかで、ミミズ字で手紙を綴るように、ずっとお互いのことを
姉妹で、案じてはったんかもしれへんなぁと、思ったりもします。

読めても、読めへんでも、中身はなんでも、ええんかも。。
ただこうして、手紙が届きさえすれば、それでええんかも。

<また送ってくるさかい、ええんや。。また来る>そう思いながら、
和ちゃんの手紙を、お母さんは、いっつも、破ってはったんかも、
しれまへんなぁ。。そやのに、

なんや、ひとでなし、呼ばわりして、申し訳ないことどした。(*^_^*)

この白やぎさんと黒やぎさんの手紙のやりとりが、
どうか、ずっとずっと、できるだけ長う続いてきますように、
そう、願っています。(*^_^*)

No.97 どっちもどっち

アッツザクラ

<おかしいさかい、見て来い!!
 ひとりしかおらんのに、ずっと話し声がする!!!>

台所にいると、ジコチューファーザーが、
この世の終わり、というような顔で、怒鳴りにやってきました。

また何事かと、たずねてみれば、

ひとりでいるはずの母の部屋からなにやら話し声がするのが
おかしい、いうことでした。

<どうもあらしません、またテレビとしゃべってはりますのやろ。>

<テレビとしゃべるて、どういうことや!!!>

<そやさかい、テレビに<つっこみ>入れてはるだけどすて。。>

<なんや?! テレビに、何をつっこんどるんや?!
 お前らの話は、ぜんぜん、わからん!!!
 あいつは、もう完全に<いっとる>な!!
 あ~~、ほんまに、困ったこっちゃな。。。>

と、ご立腹のまま、ブツブツ言いながら去って行かれました。

<いっとる>というのは、うちでは、別の世界のほうへ行っておられる、
つまり、認知症が進んできた、という意味で使わしてもろてるようです。

母はいつもテレビ番組を見ながら、
(とくに食べ歩き番組や料理番組なんかが、至極お気に入りなようで)

やれ、

<そんなすぐ、そっからそこへ、行けますかいな!!>
<食べてそんなすぐに、味がわかりますかいな!>

などと、出演者のコメントや番組につっこみを入れながら
テレビを見ているわけなのですが、

あの、冗談が通じひんことでは、ちょっと比類ない父に
<つっこみ>とは、なんぞや、というのをいくら説明しても、
わかるはずもなく。。。

しばらくすると、今度は、母が、カッタン、カッタンと、
歩行器で、お部屋から出陣されまして、またしても
台所にいる私のところへお越しになり、

いかにも、内緒話をするように、耳元で、ヒソヒソと、

<今朝、また探したはりますね。。
 この前も、同じもん、探したはりましたやろ?
 ほんで、わたしにお前のせいでどっかいった、言わはりますんえ。。
 あんた、あれはな、ぜったい、<いってはり>ますわ。。
 困ったこってすな~、ほんまに。。。>と。

夫婦でお互いに、連れ合いが、かなり<いっとるらしい>と
心配してはるようで、

毎日の晩ごはんの食卓などでも、ときどき、
お箸をとめて、こっそり、連れ合いのほうをちらちらと眺めては
またお茶碗に視線をもどし。。というのを、それぞれに繰り返されて
おられます。がしかし、

ときどき、タイミングが悪くというか、良くというか、
おふたりさんのタイミングが微妙にズレてしまい、

こっそり相手の様子をのぞき見る、つもりが、
案に反して、思いっきり、<にらめっこ>状態になってしまい

<何を見とるんや!!ひとの顔をじっと見おって!
 なんかワシの顔についとるんか!!!!>

<なんどす? わたしのほうばっかり、じっ~~と見てんと、
 さっさとご飯食べはったら、どうどすの?!>

と、バトルが勃発!ということもしばしば。

もう、なんだかな~とふた親の顔を眺めていると、

それぞれが、正面にいる私のほうへ顔を向け、声に出さずに
口パクで、

<いっとる!>と、メッセージをくださいますけど、

そんなことより、ちょっとは味おうて食べてもらえへんもんやろか。
血糖値やコレステロールや中性脂肪や、尿酸やと、
いろいろ考えながら、何品も作らしてもろてますんやさかい。

あ~もう、どっちも、どっち、
行っとる方向性(?)が違うだけで、どっちもどっちです。

ただ、ひとつだけ、たしかなことが、ございます。

ホンマに困ってますのは、おふたりやのうて
わたし、わたしで、ございます。

そこんとこ、わかってもろてます?

不思議なことに、
そこんとこには、とんと関心がない、いうことだけは、
おふたりとも、ずっと気が合うたはるようですけど。(*^_^*)

N0.98 ありがとう!って伝えてほしくて

<そらね、家族いうもんは、言えませんわ、絶対に!
 心のなかには、そら、思うてはってもね、

 そやから、その分、お医者さんやら、看護婦さんやら
 周りにおるひとが、本人さんとこへ行ったとき、
 介護してはる家族さんに
 
 <よ~、頑張ってはるわ!!
  おばあちゃん、こないしてもろて、ほんまに幸せやね~!>

そう目の前で、言うてあげんと、あかんのですわ!
 
ほんで、それ聴いて、嬉しいのは、介護してはる家族さん
だけやのうて、そういう思いはあってもなかなか口に出せヘン
本人さんも、嬉しいんです! 

自宅で家族さんが看てはるうちへ行ったら、
私はいつも、そう言うんですけどね、ほな、
本人さんのおじいちゃん、おばあちゃんが、
いちばん、嬉しそうに、ニコニコしゃはりますわ!>

先日、高齢者のかかりやすい病気、いうテーマの講演を
聴きに行ったときのこと。講演のあとの、おしゃべり会のとき、

なんでもええので、今思てはることを言うとくなはれ!

いうことやったんで、

ずっと、ながいこと、うちで親の介護をしてますけど、
だ~れも褒めてもくれへんし、ねぎろうてもくれへんし、
仕方あらへんので、いっつも、自分で、自分のことを、
<エライなぁ~、ほんまに!なかなかできるこっちゃない!>
いうて、褒めてますねん!

と発言したときの、お医者さんのお答えでした。

なるほど。。

そう言うてもろたら、たしかに、嬉しおす。

なにせ、うちの母ときたら、以前、

<たまには、ありがとうのひとつも、言うてもよろしやおへんか。。>

と、ごくごくひかえめに、言うてみたところ、

<そんなもん、ぜっ~~~~たいに、言わしまへん!!!!
 死んでも、言いまへん!!!>と、キッパリ。

そら、死んだら、言えまへんやろ。。
そやさかい、今のうちに、心に思てはることは、
素直に言うといたほうがええんとちがいますか?と、畳みかけても、

<アンタには、絶対、言わしまへん!>と、さらに。

言うたさかい、いうて、へるもんやなし。。
いったいこの、朝から晩まで、わがまま放題の主君にひたすら
お仕え(?)さしてもろてる苦労は、どこで、癒されるのやら。。

と思っていた矢先、グッドタイミングで、

訪問介護に来ていただいてる、馴染みの看護師さんが、

<〇〇さんは、幸せですよ。こんな、いろいろ考えてしてくれはる
 ご家族さんは、ありませんよ!>

と母のベッドの掛け布団をポン、ポン!とたたきながら
言うてくれはったので、

<よし!!そうそう、これ、これ、こうでなくっちゃ!
 もっと、もっと!!言うとくなはれ!!!>

と心の中で思いながら、あのお医者さんの言うてはったように
看てもらっている本人である母が。
 <ニッコリ嬉しそうにしているかどうか>
を確認するために、看護師さんの背中ごしに、
寝ている母の表情を、そっと、のぞきこんだところ、

なんと、仏頂面。しかも、私の顔を見るなり、
<アッ!!!!>とひとこと、奇声を発しました。

<アッ!って何どす? どうかしゃはりましたんか?!>

いよいよ長きにわたって、感謝の念を伝えるのを忘れてた
そのことを思い出して。。。いよいよか!!と思って、
勢い込んで、尋ねてみると、

<アッ。。。とおどろく、ためごろう~~!!>とニッコリ!!

なんですのそれ。。

若い看護師さんには、この、
とんでもなく大昔のギャグは、まったく通じず、

<えっ?為五郎さんて、どなたです?>とこちらに尋ねられますが、
知りませんがな、どなたのことかは。

というか、昨日や一昨日のことも、もうすっかりご記憶には
あらしまへんのに、どないして、そんな何十年も前のギャグが
突然、口から出てきますのやら。。

結局、あのお医者さんの言うてはったような、
言いたいことを代わりに言うてもろた、<感謝のニッコリ>やのうて、
<アッ!とおどろく、ためごろう>さんを思い出した、嬉しさの
あまりの<ニッコリ>なのでした。

まぁ、どうせ、そんなこってす。

やっぱり、自分で自分を褒めるしか、おへんな、
うちでは。(*^_^*)

No.99 ヘアカットをめぐるあれこれ

<動くな!!どこ向いてるんや!!
 ハサミが刺さってもええのんか!!!死ぬぞ!!>

座る、ということがまったくできない母は、
美容院へ行くことがかなわないので、ウン十年ものあいだ、

髪が首筋にかかるようになると、うちで、布を裁断するときの
いつもの、あので~~~っかい<裁ちばさみ>で(笑)

ちびまる子ちゃんのように、というか、
サランラップのCMの女の子のように、というか、
いわゆる<ざるかぶって切った>ような、自家製カットをしています。

まずは、縁側に、新聞紙を床にどんどん敷きつめていき、
そのセンターサークルあたりに、カッタン(歩行器)を
持った母を立たせると、

あたまから、100均で買った、カットした髪が床におちないように
受けるようになってる、ドーナツ型のビニールをかぶらせ、

あとは、ひたすら、じぃっ~と動かないように、と
ひたすら肩を押えているのが、私の役割です。

もともとは、私がひとりでのんびりとカットをしていたのですが、
あるとき、なんの気まぐれか、

 ワシが、切ったるから、ハサミをかせ!

と横入りしてきた父が、カットをしたのを、
うちへ来られたときに、看護師さんが見て、上手にカットしてあるね~!
と褒めてくださって以来、母の髪を切るのは、自分の使命!
とばかりの得意顔で、

以来、ずっと、カットするのは、父、そして、
動かへんように、母を抑えつけているのが、わたし、との役割分担に
なったのでした。

2月に1回、時間にすれば、そう20分ほどのことですけど、
まぁ、この、カットタイム、の気の重いこと(笑)

動くな! 切れるぞ! どこ見とる!! 
おまえの頭(のかたち)は、ものすごうヘンや!
なんで長さがバラバラになっとるんや!
しっかり押えとらんか、アホ!!!

と、暴言につぐ暴言の嵐!!

そやけど、そんなもん、このときばかりは、気にしてはおられません。
とにかく、神経を<裁ちばさみ>の先っちょに集中せねば!!

とくに首筋に沿って、

段段(だんだん?)になるように、カットしてやるしな!!

と言いながら、父の手が進んでいくときには、なおさらのこと、
全力で母の肩を押えてつけてへんかったら、

あっちをチラチラ、こっちをチラチラ。。

<あ~もう、お母さん、ちょっとは、じっとしておられまへんか?!>

と言うと、

<そやかて。。恐おす。。。鏡、見せとうくりゃす。。。
 鏡見んと。。。けったいな、頭になってしもてたら、どないも。。>

もう、けったいなもなにも、ちびまる子ちゃんなんやから、
よろしいやないの。。と思いながら、頭もグッと押えて気がついたのは。。

頭が。。。ちっちゃい。。。

<お母さん、頭、ちいさおすなぁ~。ってことは、
 脳みそも、ちょっとや、いうことどすな~。なるほど。。> 
とちょっと意地悪を言うてみとうなったところ、

<ちいそうても、つまってますのんや。。>と。

なるほど。

と、お喋りをしていたら、またしても怒声が!!

<動くな!!!!坊主になるぞ!!
 そろえて切ってたら、なんやどんどん短こうなっとる。。なんでや。。>

って、なんでか、知りまへんがな。

<えっ?!なんどす?? お父さん、なんかおかしいなってますのんか?
 間違ごうて切らはりましたんか? 血、出てますのんか??
 ぎょうさん、出てますのんか?!>

って、今度は、母がウルサいこと、ウルサいこと。。

もう、エエ加減にしとうくりゃす。。と思いかけたところ、

<よし!!今日は、このぐらいにしといたる!!上出来や!!>

と、どや顔の父が<裁ちばさみ>を私のおなかへ向けて
ぐぃっと、突き出してきたので(危ない!)
無事、カット終了!

あ~、ほんまに、カットいうのは、疲れますワ。

そういうたら、ちょっと前に、いつもの朝のお世話をしていたときのこと、
母のすぐ近くを父が通り過ぎたことがあって、そのとき母が、やおら、

<お父さん、お父さんがそば、通らはったら、ドキドキしますわ!>

と、ニッコリ。

ウン十年も連れ添うてきて、刺すぞ!ヘンや!アホ!と
暴言を浴びせられながら、またいったい、なにを言わはることやら。。

<なんでや、なんでドキドキするんや?>

と、やはり父も同じように、突然のこの発言を疑問に思ったらしく、
めずらしく、不審そうに、母に問い返しました。

<なんでて。。またなんぞ、叱られるんやないか、思うて、どす。>

と、ニッコリ。

<・・・。そういうときは、ドキドキする、やのうて、
 ヒヤヒヤする、言うんや、アホ!>

と、また、叱られては、

<アハハハ!!>と笑って、終わり。

ほんまに、おかしな夫婦やなぁ~と、思いますワ(*^_^*)

No.100 小さな村の物語 イタリア

<なぁ、それは、おかしおすやろ?
 負けず嫌い、いうて、今言わはりましたやおへんか。、
 そやのに、もう2敗もしてはりますって、いったいどういうこってす? 
 負けんの、嫌い、やないのすか。。>

と、相も変わらず、というか
ついに大相撲中継にまで、<ツッコミ>をいれている母。

その母が、一切、つっこみを入れることなく、
見入っている番組が、あります。

それが、BS日テレさんが放送してはる、
<小さな村の物語 イタリア>いう、1時間番組で、

イタリアのおもに山間地にある、小さな村で
昔からずっと変わらへん素朴な暮らしを続けてはるご家族の歴史、
それを、三上博史さんの静かなトーンのナレーションで、追っていく番組です。

イタリア、いうても、そこに登場するのは、
踊って、歌って、食べて、というあの、陽気なイタリアンのみなさんではなく、

田舎のおじいちゃんや、おばあちゃんたち。

そして、昔からずっと変わらへん、村をとりまく自然と、
幼馴染みの友達、そして、家族のみんな。

それに、番組のなかで流れる音楽がまた素晴らしく、癒されること。

なんでも、オルネッラ・ヴァノーニさん、いう女性が歌ってはる
<L’APPUNTAMENTO>という、曲やそうです。

最初、母の部屋でついていたのをなにげなく、見てから、
毎週、わたしもこの番組を、楽しみにするようになりました。

ここに登場するおじいちゃんやおばあちゃんの
話を聴いていると、

人生でほんまに大切なもんは、そんなにぎょうさんやない、

家族と、友達と、自然と、家族のような動物達。

人生でほんまに大切なことは、とてもシンプル、

よう食べて、よう寝て、そして真面目に働くこと、
くよくよせず、笑って暮らすこと。

そんなことを、思います。

<イタリアのおじいさん、おばあさんは、
 ほんまに、立派どすな~>

番組を見たあと、お母さんは、よう、そう言わはりますけど、

いえいえ、日本のおばあさんかて、負けてはらしまへんえ。
日本のおばあさんも、立派なもんどす。

わたしは、そう思てます。。絶対に、言わしまへんけど(*^_^*)

No.101 あっちへ行っとおくなはれ!

めずらしく、鼻がグズグズいいだしたと同時に
なにやら目のほうもウルウルしだし、

おかしいな~、花粉症やないんやけど。。。
そう思いながらも、目医者さんに行ってみたところ、

アレルギー性の結膜炎とのこと。
流行り目ではないし、うつる心配はないですよ、

というお話にホッとして帰宅。

お昼の焼きそばを一緒に食べながら、
そのお話をしていたところ、

いままでガツガツと、
大好物のひとつ、焼きそばのお皿にくらいついて、食されていた母が、

とたんに、お箸を止めて、すっ~~とお皿を
向こう側へ移動させるやいなや、

<あっち、行っとくりゃすな。。>

<へっ? なんですって?>

<そやから、あっちへ行っとおくりゃす。。。
 わたしにうつったら、お医者さんへ行かれしまへんのやし。>

<そやから、言うてますやん、お母さん!
 うつる結膜炎やあらへんて、お医者さんが言うてくれはったさかい、
 心配せんでも、大丈夫どすって!>

<そやけど、鼻もグズグズする、言わはりましたやんか。。
 風邪うつっても、かなわしまへん。。。>

<大丈夫ですって!咳も出てへんさかい、風邪も、うつらしません。>

<もう~、とにかく、なんでも、うつったら、かなんのどす!!>

と癇癪ぎみ。なんでキレルかなぁ。。と思いながらも

<なんでも、て、なにがうつる、いわはりますのんえ? 
 言うとうみやす!>

と尋ねてみたところ、しばらくじっと考えている様子をみせたあと、

あろうことか、

<アホが、うつったらかなん。。
 アホかて、うつるかもしませんやろ。。アハハ!!!>と大笑い。

<・・・・・>

こんな憎まれ口ばっかり、毎日言うては、ひとり大笑い、
これで、80歳にして、腹筋連続40回、の腹筋を日々鍛えあげているのです。

ほんま、疲れますワ。(笑)

そやけど、お母さん、ひとこと言わせてもらいまっせ。

アホは、うつる、んやのうて、
あんたさんからもろた、DNAどっせ!(*^_^*)